SONICWIRE

ボカロP “マイナスP”さん(ワンダフル☆オポチュニティ!)に聞く!大人気曲のボーカルトラックに使用しているプラグイン・エフェクトと、ソフトウェア音源、その設定をご紹介。

2021年12月24日 14:00 by toy

音楽制作の中で、ボーカルやコーラスといった”声”に挿すエフェクトというのは非常に重要です。エフェクト1つで音量や音像、距離感などの聴こえ方が大きく変わってくるため、楽曲の世界を形作るのに欠かせない大きな構成要素となります。

SONICWIREでは、クリエイターの皆さんがボーカルエフェクトに対してどのようなアプローチを取っているかお話を伺い、まとめていく企画、題して「クリエイターバトン」を実施中です!この企画では、「実際に楽曲に使われているボーカルトラックに挿しているプラグイン・エフェクト」をご紹介。
実際に楽曲を聴きながら、どのような変化をしているかをご確認いただけます。また各エフェクトのパラメータが公開されることも。具体例を確認しながらボーカルエフェクトについて学ぶことで、クリエイターのノウハウやテクニックを日々の制作にご活用いただけます。
 
さらにこの企画では、次のクリエイターさんをご紹介で繋いでいくバトン方式を採用。次回は担当されるのか、、、是非そちらにもご期待ください!

 


■ クリエイター紹介「マイナスP」さん
第10弾は、『しんでしまうとはなさけない!』『ぼうけんのしょがきえました!』『鬼KYOKAN』などの楽曲を手掛ける、クリエイターサークル「WONDERFUL★OPPORTUNITY!/ワンダフル☆オポチュニティ!」より、マイナスPさんにご担当いただきました。

 

今回 マイナスPさんには、大人気楽曲「リモコン」を題材に、使用されているプラグイン・エフェクト、ソフトウェア音源について教えていただきました。じーざすさんによる作詞/作曲、マイナスさんによるMIX/マスタリング。サークルならではの楽曲はどのようにして制作されているのか。当記事をご覧いただく前に、まずはフタリが織りなす、国内外から支持されるポップな楽曲たちを是非ご視聴ください!

 

■ 鏡音リン・レンに適用しているエフェクト・チェイン

01.Tokyo Dawn Labs / TDR NOVA GE

マイナスPさん:
ダイナミックEQで、鏡音リン・レンの声の瞬間的に飛び出す部分を
滑らかにする目的で薄めに使っています。

02.Logic Pro付属 コンプレッサー

マイナスPさん:
一つ前の処理を自然な仕上がりにする目的のコンプ。奇数倍音も足します。
リダクション量は最大-5目標でうっすら。曲によってコンプのキャラを変えます。
大体OPTOかFET。

03.Logic Pro付属 Vintage Tube EQ

マイナスPさん:
EQP1AのモデリングEQで、声の美味しい部分を足します。
基本的なEQはここで処理します。

04.WAVES / RENAISSANCE VOX

マイナスPさん:
声の押し出し感を調整します。曲によって深くかけたりうっすらにしたり。

Waves『RENAISSANCE VOX』製品ページ »

05.WAVES / RENAISSANCE DEESSER

マイナスPさん:
シビランスを調整しています。最大リダクション量は-8くらいにしています。

Waves『RENAISSANCE DEESSER』製品ページ »

■ ボーカルのバス・トラックに適用するエフェクト

06.Universal Audio / UA1176LN


マイナスPさん:
リンとレンの音量差を調整します。リダクション最大で-3になるくらいでうっすら。
曲によっては、Teletronix LA-2Aの時も。

07.Maag Audio / EQ4

マイナスPさん:
声のエアー感を調整します。ローも足してバランス取ります。

08.Brainworx / bx_limiter

マイナスPさん:
ピークだけがリダクションするようにかけます。

09.Voxengo / SPAN Plus

マイナスPさん:
各プラグイン処理の処理前と処理後を確認します。
歪な形にならないように常にこれを見て作業しています。
■ ボーカルSEND

10.Soundtoys / MicroShift

マイナスPさん:
少しゴージャスにしたいときに薄く使います。
コーラストラックにもよく使う好きなプラグインです。

11.D16 Group / REPEATER

マイナスPさん:
掛け声的なコーラスとかにショートディレイ設定でよく使います。
曲にあった細かい設定ができてGOOD。

D16 Group『REPEATER / VINTAGE MODELLED DELAY』製品ページ »

12.Valhalla / Valhalla Vintage Verb

マイナスPさん:
質の高い奥行き感が出せて嘘っぽくない空間づくりができて好み。
■ よく使うソフトウェア音源

01.Piapro Studio

マイナスPさん:
ずっと使っています。
RewireでDAW外のところも最近ではボカロエディットに
集中できていいなと思っています。

『PIAPRO STUDIO』同梱製品一覧ページ »

02.Native Instruments / REAKTOR 6 MONARK

マイナスPさん:
音が本物っぽくて太いので気に入ってます。主にベースに使用。
これを使い出してから実機のアナログモノシンセは出番減りました。

03.Logic Pro付属 Alchemy

マイナスPさん:
オシレーターの音がいいので使っています。
有名どころのOSCモデルもツボを押さえてて雰囲気出せるので好きです。
ファーストチョイスはこれ。

04.Logic Pro付属 EVOC 20 PolySynth

マイナスPさん:
リモコンでも使用しているボコーダー音源です。シンプルで好き。

05.Brainworx / bx_oberhausen

マイナスPさん:
2VCO 1VCFのシンプルなシンセ。オーガニックなOSCの音がします。
ポリフォニックもいけるので愛用しています。
― ミックス・マスタリングの際に心がけていることはありますか?

マイナスPさん:
うまくいかない場合は、アレンジやエディットに戻ることと、
各メーターの確認をすることです。
■ 次回クリエイター紹介:「Dios/シグナルP」
マイナスPさん、ありがとうございました!

 

次回の第11弾は、マイナスPさんのご紹介により、『サンドリヨン(Cendrillon) 10th Anniversary』『カタストロフ(Catastrophe)』『リンリンシグナル』などの楽曲を制作したDios/シグナルPさんのエフェクトチェインをご紹介いたします。
次のクリエイターバトン企画にも是非ご期待ください!
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マイナスP

​ワンダフル☆オポチュニティ!

2009年からじーざす、マイナスの二人でサークル活動開始。
じーざすの持ち味である8bitサウンド+αにコミカルな歌詞を合わせた楽曲で、国内外から支持を集める。ゲームや様々なアーティストに楽曲を提供。
ミックス、マスタリングはマイナスが担当。

代表曲:
「リモコン」「しんでしまうとはなさけない!」「ぼうけんのしょがきえました!」等