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ボーカルの息遣いや、適用されているエフェクトも綺麗に抜き出す。最先端のAI技術で常識を超える分離精度を実現する「音声分離」ソフト

2021年12月24日 20:00 by toy

最近では当たり前のように身近に存在する「音声分離」。WEBミーティングのノイズ処理をはじめ、様々な分野で「音声分離」の技術が活用されています。音楽業界では、更に精度の高いノイズ処理の他、既にミックスされた音源を分離する製品が目覚ましい進化を遂げています。既出作品のリミックスやリマスターでの活用、ボーカルを取り除いたカラオケトラックの制作や、普段聴いている楽曲がどのような構造で作られているかを確認するために活用されています。

音声分離技術の進化により、専門的な知識を必要とせず、誰でも簡単に扱えるような時代になってきています。

今回は音声分離技術を研究し、ソフトウェアの開発を続けているAudioSourceRE社『DEMIX PRO』Ver.3.0 を題材に、先日行われたアップデートで追加された機能に焦点を当てながら、今までにない「革新的な音声分離」をご紹介していきます。

Ver.3.0で追加された「ギター分離」の性能について

Ver.3.0で追加された新機能「ギター分離」。まずは下記の動画をご覧ください。

Electric Guitar Stem Separations with DeMIX Pro V3

いかがでしょうか?今までの「音声分離」技術では、複雑な周波数特性を持つギターの音を取りだすことが難しいものとされていましたが、AudioSourceRE社の研究によって、高品質なギター分離を実現しました。

こちらのデモ動画では、ただ自動分離を行った結果のステムを再生していますが、かなり綺麗に分離が行えていることもわかりますよね。『DEMIX PRO』では、処理後のステムごとにスペクトル成分を見ながらの波形編集も行えますので、少し混ざった音を手動で分離したり、潰れてしまった音を元に戻したりといったことも行えます。iZotope社「RX シリーズ」にも備わっているスペクトル成分の調整機能を使用したことがある方は、直ぐに使えるようになると思います。

上物だけのステムを簡単に用意できるので、ギターの耳コピがしやすくなるのは大きな魅力です。また、今までだとギターの音も混ざりながら分離されていた、ドラム/ベースのトラックなどをキレイに生成する事もできるので、ギター向けのカラオケトラックを作成し、練習に活用することもできます。

「リードボーカル」と「バッキング・ボーカル」への分離をしてみる

いわゆる「ボーカル分離」もどんどんと進化しています。まずは動画をご覧ください。

Separating Lead and Backing Vocals from a track with DeMIX Pro

いかがでしょうか?今までは「ボーカル分離」といえば、分離対象のトラックに存在する「声」の周波数を解析して、取り出すことしかできていませんでした。

今回の「ボーカル分離」のアップデートにより、リードボーカルとバッキング・ボーカル(コーラスなど)に分離できるようになりました。

弊社では過去にも、Audionamix社「TRAX シリーズ」といった“ボーカル自動分離の先駆け”のようなソフトを取り扱ってきた中で、自動分離だけでここまで自然にボーカルを抜き出せるケースは、ほとんど見たことがありません。

もちろん、楽曲中に存在しない音を作り出すわけではないので、2mixの中から聞き取れるボーカル/声の成分を分離してくるという範囲にはなりますが、弊社の手持ち楽曲で試した範囲では、音圧の高い楽曲にも対応できており、ボーカルの息遣いまでを抜き出せるような、今までにない分離性能を誇っています。

素早くかつ簡単に行える音声分離

下記の動画では、『DEMIX PRO』を用いた分離がいかに簡単に行われるのかをご覧いただけます。是非ご視聴ください。

Remixing with DeMIX Pro V3

タイトルの通り、『DEMIX PRO』を使用したリミックスの手順を紹介しています。リミックス版を制作したい時に、権利的には問題なくてもステムが残っていないケースがあると思います。そういった時に簡単にステムを作成できます。

なお、リミックスを行う際には、日本だと法的/権利的に難しい点もあるので、制作する際には注意してくださいね。

また、他にも活用方法としては、以下のようなことが挙げられます。

  • カラオケトラックを作成して練習する
  • セッションが残っていない曲からステムを取り出す
  • ライブ録音した音源のミックス
  • リミックス版の制作
  • サンプリング用の音ネタを作成する

まとめ

本記事では「音声分離」に焦点をあて、題材としてAudioSourceRE社の『DEMIX PRO』でできることを紹介してきました。

まずそもそもの「音声分離って何?」というところは省いてきましたが、とある記事で「ふたつのジュースを混ぜたものから、片方だけ取り出す」といった分かりやすい説明がありました。まさにその通りで「重なった音を1つずつに分解する」というものが「音声分離」です。

これまでは技術はあれど、一般の市場にはあまり出回っていないものでした。しかし、現在ではこうして一般的なPCに向けた手に取りやすい製品としてリリースされています。興味を持たれた方は比較的お求めやすい1年限定のライセンスも用意しておりますので、この機会に是非音声分離にチャレンジしてみてください。

2ミックスからマルチトラックへの分離を可能とした音声分離ソフトウェア
税込価格 ¥93,346
  • メーカー:AUDIOSOURCERE
  • カテゴリ:ソフトウェア/ツール
2ミックスからマルチトラックへの分離を可能とした音声分離ソフトウェアのサブスクリプション・ライセンス!
税込価格 ¥42,504
  • メーカー:AUDIOSOURCERE
  • カテゴリ:ソフトウェア/ツール

また、今回題材として紹介してきた『DEMIX PRO』は、先日Ver.3.0にアップデートされ、常識を超える分離精度を誇る製品へと更に進化しています。他の分離ソフトウェアと比較しても、随一のクオリティです。

Ver.3.0でアップデートされたギターやボーカルの分離機能にフォーカスしましたが、元々備わっていたドラム/ベース分離の性能も向上されており、更に分離後のステムを一度に再生すると、分離前の楽曲のままとなる「完全な非破壊分離」に対応しています。これまでは分離処理によってどうしても削れてしまう部分があった中、これを克服して更に精度が向上しているといった点も推しポイントの1つです。