SONICWIRE

ボカロP“R Sound Design”さんに聞く!最新曲のボーカルトラックに使ったプラグイン・エフェクトと、ソフトウェア音源、その設定をご紹介。

2021年3月10日 16:00 by toy

音楽制作の中で、ボーカルやコーラスといった”声”に挿すエフェクトというのは非常に重要です。エフェクト1つで音量や音像、距離感などの聴こえ方が大きく変わってくるため、楽曲の世界を形作るのに欠かせない大きな構成要素となります。

SONICWIREでは、クリエイターの皆さんがボーカルエフェクトに対してどのようなアプローチを取っているかお話を伺い、まとめていく企画をスタートいたしました!この企画では、「実際に楽曲に使われているボーカルトラックに挿しているプラグイン・エフェクト」をご紹介。
実際に楽曲を聴きながら、どのような変化をしているかをご確認いただけます。また各エフェクトのパラメータが公開されることも。具体例を確認しながらボーカルエフェクトについて学ぶことで、クリエイターのノウハウやテクニックを日々の制作にご活用いただけます。
 
さらにこの企画では、次のクリエイターさんをご紹介で繋いでいくバトン方式を採用。記事中で次に紹介いただくクリエイターさんを発表いたしますので、そちらにもご期待ください!

 


■ クリエイター紹介「R Sound Design」さん
第5弾は、『帝国少女』『flos』や、『神曲』などの楽曲を手掛ける、ボカロP“R Sound Design”さんです。

 

 

今回 R Sound Designさんには、最新曲「Forward」で使用しているプラグイン・エフェクトを教えていただきました。
『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』へ書き下ろししていただいた、初音ミクのキュートな歌声とR Sound Designさんのポップサウンド、そしてメロディアスな旋律が心地良い「Forward」。是非下記よりご視聴ください!

 

■ ボーカル・プラグイン・チェイン

0.Piapro Studio

R Sound Designさん:
VOCALOID5も持っているのですが、僕の場合はPiapro Studioの方が使い勝手がよく使用頻度が高いです。
基本的に画像のような設定で使っていて、Cross Synthesisは曲によってOriginalとSweetの割合を変えています。

1.Melodyne

R Sound Designさん:
細かいタイミング、ピッチ、フォルマント調整に使用しています。
普段ボカロには使用しないことが多いです。

2.RDeEsser

R Sound Designさん:
基本的にサ行、タ行でモニタリングし、かかるときはしっかりリダクションするメリハリのある設定にしています。

Waves『RENAISSANCE DEESSER』製品ページ »

3.Neutron3-EQ

R Sound Designさん:
下処理としていつも控え目な設定で使用しています。
今作ではシンプルにローカットとハイカットのみ適用しています。

iZotope『NEUTRON 3 ADVANCED』製品ページ »

4.CLA-2A

R Sound Designさん:
コンプはこれだけでもある程度音量バランスがとれるよう基本的に深めにかけています。
HiFREQは80程度まで上げてしまうことが多いです。

Waves『CLA-2A』製品ページ »

5.SSLChannel

R Sound Designさん:
ここでオケとのEQバランス、コンプ感を調整しています。
EQで11kHz付近をBell型ブーストすることで明瞭感を出しています。

Waves『SSL E-CHANNEL』製品ページ »

■ ボーカル・センド・エフェクト

H-Reverb

R Sound Designさん:
特に決まった設定はありませんが、基本的にあまりWetな使い方はしません。

Waves『H-REVERB HYBRID REVERB』製品ページ »

H-Delay

R Sound Designさん:
こちらもあまりWetな使い方はしません。
ANALOGを上げたときのノイズが僕の曲にとっては好ましくない場合が多いので基本OFFにしています。

Waves『H-DELAY HYBRID DELAY』製品ページ »

Doubler2

R Sound Designさん:
サビのメインボーカルにかけてステレオ感を増したり、コーラスでセンター成分をオフにする際に使用しています。

Waves『DOUBLER』製品ページ »

■ よく使用するソフトウェア音源

MassiveX

R Sound Designさん:
今作のシンセは全てMassiveXを使用しました。
Xになってからより現代的なプリセットが増えて使いやすくなった気がします。

Omnisphere2

R Sound Designさん:
今作ではイントロなどで鳴っているエレクトリックピアノで使用しました。
今作に限らずエレピ音源、ベース音源として他の曲でも多用しています。Keyscape、TrilianのライブラリもOmnisphereで使用しています。

Battery4

R Sound Designさん:
今作ではドロップやワンショットで使用しました。普段もエレクトロ系のドラムやパーカッションで多用しています。
セルごとに内蔵エフェクトをたくさんかけることも多いです。

BFD3

R Sound Designさん:
今作のドラムは演奏家さんによる実演を録音したものですが、普段生ドラム系の曲を作るときは基本的にBFDを使用します。
パラデータ納品時などAmbient Micsをオフにするかいつも迷うので、使用している作家さんはどうしているか是非教えてください。
― ミックス・マスタリングの際に心がけていることはありますか?

R Sound Designさん:
今作のミックスではいろいろな方の力を借りましたが、基本的に個人で完結するようにしているため、常にPAZ AnalyzerやInsight、Tonal Balance Controlでミックスバランスをモニタリングしながら制作しています。
さらに制作初期の段階でもL2などで適宜マキシマイズに対して忍容性があるオケかどうか確認して制作を進めています。
マスタリングではOzone9でAI機能を使って客観的に評価しつつ、自分の耳で微調整しています。
■ 次回クリエイター紹介:“一二三”さん
R Sound Designさん、ありがとうございました!

 

次回の第6弾は、R Sound Designさんのご紹介により、『猛独が襲う』『花が落ちたので、』『美しく、闇』などの楽曲を制作した一二三さんのエフェクトチェインをご紹介いたします。お楽しみに!
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R Sound Design
Musician/Doctor
 

バンド活動を経て単身で楽曲制作を行う男性アーティスト兼医師。
動画サイトを中心に作品を発表。自身による歌唱、演奏、動画制作、各種デザインにも精力的に取り組んでおり、メジャーレーベルへの楽曲提供や全国各地での音楽イベント出演などの実績を重ねている。