サンプルパック『VOCAL RNB』製品レビュー by “Roths Mk” – 『SONICWIRE』×『OPEN PORT CLUB』コラボ VOL.1
本記事は、音楽を通じた札幌とベルリンの都市間交流プロジェクトである『OPEN PORT CLUB』の参加アーティストがSONICWIREの製品レビューを行う、『SONICWIRE』×『OPEN PORT CLUB』コラボシリーズの第1弾です。当シリーズは、SONICWIREのオフィスが所在する街でもある北海道札幌市を拠点とするプロデューサーに焦点を当てた内容となります。
【OPEN PORT CLUB とは】
2016年に札幌とベルリンの音楽文化交流プロジェクトとして発足。様々な形でそれぞれの街のアーティスト同士の交流プログラムを実施。現在は北海道のラジオ局「FM NORTH WAVE」で放送中の「4 STEPS JOURNEY」 にてレギュラーコーナーを担当し、札幌とベルリン各都市のキュレーターがアーティストの紹介とオリジナルMIXの放送を行っています。
第1弾では、札幌を拠点に活動するプロデューサー/シンガー/ラッパーである『Roths Mk』さんに、インタビュー形式でサンプルパック『VOCAL RNB』のレビューをいただきました。今回のレビューにあたって実際に製品を用いて制作されたデモ楽曲もRoths Mkさんにご提供いただいております。本記事後半でリスニング可能ですので、ぜひチェックしてみてください!
SAMPLE TOOLS BY CR2『VOCAL RNB』は、SONICWIREのサンプルパック売上ランキング上位の人気製品です。キャッチーなボーカル・アカペラや汎用性の高いドラム、メロディ等のワンショット/ループ素材が多数収録されており、メインストリーム路線のトラップ/ヒップホップ/ポップスの制作にマッチします。
サンプルパックは使っています!シンセやメロディなど、楽曲の上モノはソフトシンセを使って自分でフレーズを弾くのがメインではありますが、要所要所でシンセやパッドのライン/コード系のサンプル素材を使ったりしてます。
サンプルパックは自分一人では思いつかないフレーズのアイデア源になったり、音作りの時間短縮になるのが便利です。また、ドラムやパーカッションは基本的に自分のお気に入りのサンプルパックからワンショット素材を組み合わせて、シーケンサーで打ち込んで使っています。使用しているDAWソフトは「FL STUDIO」です。
普段からポップスやトラップの制作がメインなので、自分にはバッチリはまる製品だと感じました。サンプルパックのメロディを聴いた時点で即インスピレーションが降ってきましたね。
メロディのループもワンショット素材も、こちらであまり手を加える必要がないほどクオリティが高いものがすでに「できあがってた」ので、アイデアを練るにあたって迷いなく制作することができました。実は、作曲に着手してその日のうちに音源が仕上がりました。
あと、一般的なサンプルパックと比べて音がカワイイなと思いました(笑)
完成したデモ音源はこちらです
ループ素材のメロディが非常にキャッチーでとても歌を乗せやすかったので、アイデアが湧くスピードが早かったというのはあります。それに加えて、サンプル素材の音質も良いですし、各素材があらかじめ完成形のミックスバランスが想定された音域に仕上がっています。
作曲・編曲を済ませたあとのミキシング作業は5分で終わりました(笑)
今回は大きく分けてメロディ、声ネタ、ドラム、ベース、そして自分で歌ったボーカルのパートに分かれています。
メロディは”Piano”と”Keys”の2つのサンプル素材をレイヤーしました。同じメロディラインでありながら異なった音色のサンプル素材がそれぞれあったので、音に厚みを出してメロディラインの音抜けをよく良くするために、二つのサンプルをピッタリと重ねてみました。
メロディや声ネタなどの「上モノ」だけをまとめたステムデータはこちらです
声ネタは、同じボーカルフレーズでリバーブがあらかじめかかっている「ウェット」とエフェクト無しの「ドライ」の各バージョンの素材が用意されていたので、ドライ・サンプルとウエット・サンプルをそれぞれ別々のピッチで鳴らすことでトラックに動きをつけました。
狙いとしては、ウェットとドライでサウンドの「重み」が変わってくるので、楽曲にグルーヴをつけるという意図がありました。同じボーカル素材でドライとウェットのバリエーションが用意されているのはとても便利だと思います。
ドラム・ベースはワンショット素材をシーケンサーで打ち込みました。メインで鳴っているクラップのサウンドは二つのサンプル素材をレイヤーして、音に立体感を出しました。複数名が手を叩いてる感じにしたくて。
あとはハイハットやベース、ゴーストノート的なスネアを入れ込んでトラップ・ビートに仕上げてみました。
ドラムとベースのステムはこちらです
ベースはあえて手を加えなくてもいいほど、元々のサンプル素材が十分パワフルな音に仕上がってたんですが、自分独自の手法としてはFL STUDIOの中でわざとクリッピングさせてディストーションのような効果を与えています。
あとは、先ほども述べたように、製品に収録されている上モノのサンプル素材はミックスバランスを考慮した音域であらかじめ調整が施されていて、上モノのサンプル素材は100ヘルツ以下がすでにバッサリカットされていたので、ミックスであまり手をかけなくても抜けの良いベースサウンドが実現できました。
トラックに軽くコンプをかけたりはしましたが、基本的にはサンプル素材をなるべく忠実に使った感じです。
普段の制作ではサンプルパックをメインで使う際も、ミックスで深くエフェクトをかけたりEQで大きく補正することが多々ありますが、今回は「いじるところほとんどないな」と思いました。
ブーストしたい帯域が最初から持ち上がっていたり、エフェクトのノリもよかったので、EQ、リバーブ、ディレイ、コンプをうっすらとかけただけです。マスタリングも、EQでスーパーハイとスパーローの帯域をカットして、あとはサチュレーターとリミッターをかけただけ。音圧上げの必要性もなかったです。マスタリングは5秒で終わりました(笑)。
『VOCAL RNB』はお手軽にハイクオリティなトラップを作りたい人に是非ともオススメです!
今回のレビュワーRoths Mkさんは『OPEN PORT CLUB』でも素晴らしいオリジナル音源MIXを提供しています。本記事の内容と併せてチェックしてみてださい!
『VOCAL RNB』はシリーズ第2弾『VOCAL RNB VOL.2』もありますので、今回のレビューで気になった方は、ぜひこちらもご覧ください。VOL.1に比べ、よりキュートかつクールなボーカルの感情表現が際立ちつつ、非常に使い勝手の良いループ/ワンショット素材の数々が収録されています。
Roths Mk
2019年2月にリリースされたEP「掃除機かけてる」、アルバムMkismより「All the nights」がSpotify J-Pop新幹線にセレクト。2020年7月にリリースされたEP「Yellow Man」が Spotify New Era: J-Hip Hopにセレクトされるなど、ベッドルームからリリースする宇宙人がRoths Mkである。
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