耳が喜ぶサウンドに仕立てる神業ツール、OEKSOUND新作『BLOOM』登場。
《音響効率》という言葉があるならばOEKSOUNDを表すためのものでしょう。音響的な無駄や超過を「なるほど」と思える手法で取り除く『SOOTHE2』や『SPIFF』でたちまち世界の注目を浴びたデベロッパーです。
新作『BLOOM』はそれらの蓄積を踏まえつつ歩みを一歩進め、ダイナミックEQ、マッチEQ、マルチバンドコンプレッサー等の「整音」プロセスを抽象化し、「コロンブスの卵」的な手法で実現したもの。
…どういうこと? そう、「SOOTHE」シリーズも当初そうでした。何だかわからないまま使い続けていると、突如「あ、これ、とんでもないソフトだ」と気付かされます。
水面下に潜む複雑な処理が、シンプルなインターフェースを通じて実現される、「神の御業」なソフトなのです。
本製品の開発は、「温かいサウンドとは何か」が出発点でした。
苦心の末に仕上がった『BLOOM』は、入力したサウンドに「温もり」だけでなく「ツヤ」や「瑞々しさ」、「彩り」を与え、ブラッシュアップして出力します。不思議に満ちた仕組みを通じてこなれたブラッシュアップが達成されるのです。
起動した直後から、入力信号は、BLOOMによってその理想とする周波数分布に整えられます。画面下部の「squash cal」を[set]すれば、入出力間のゲインステージングが行われ、これによって最善の補正効率が確保されます。入力信号次第では聴感上ほとんど変化がないかもしれませんが、それでも実は無駄が削られつつ足りない部分も補われ、《音響効率》のよいサウンドとして出力されています。
必要に応じてamountやトーンバンドを調整できますが、ここではマルチバンドEQやマルチバンドコンプの「当たり前」を忘れてください。各トーンバンドは相互作用を持ち、フェーダーを上げたからといって単純にブーストされるわけではありません。
実は上述したように予想外の動作をするパラメータが『BLOOM』内のあちこちにあり、ビギナー/プロ問わず初見では困惑するでしょう。
見方を変えれば、一つのノブで複数のパラメータが水面下で調整されるワンノブ型エフェクトの集合体とも言えますし、まったく別の世界線からやってきた最先端の発明品とも言えます。
使いこなすには少し時間がかかりますが、理解したなら音楽制作が確実に新たなレベルに押し上げられる、示唆に富んだ製品といえるでしょう。
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