茂戸藤 氏「まるでそこに私自身が宿っているかのよう」/『Taiko-Motofuji-』制作エピソード
日本から世界に発信できるソフトウェア音源をコンセプトに立ち上げられた新生ブランド「SAMURAI SAMPLES」の1stタイトルとしてリリースされた、太鼓奏者「茂戸藤 浩司」演奏によるKONTAKTライブラリ『Taiko-Motofuji-』は如何にして誕生したのか。
茂戸藤 浩司 氏と、SAMRAI SAMPLES 総合プロデューサーの河原 嶺旭 氏より、『Taiko-Motofuji-』の制作エピソードをお聞きしました。
- メーカー:SAMURAI SAMPLES
- カテゴリ:サンプルパック
『Taiko-Motofuji-』製品コメント
茂戸藤 浩司(太鼓奏者)
「私に太鼓の叩き方を教えて下さい。」
この企画のお話をいただいてから、まず私の最初の仕事は、このプロジェクトの総合プロデューサーである河原さんへの太鼓指導からはじまりました。
もちろん趣味や遊びで太鼓を習われるつもりなどあるわけがなく、その目的は日本の伝統楽器である太鼓や金物打楽器の種類による奏法の違いや、叩く道具(桴や鐘木)の違い、伝統的リズムや現代風にアレンジされたグルーヴパターンのバリエーション、そして私独自の演奏表現スタイル「茂戸藤流太鼓術」をより深く理解するための取組みでした。
これまで私をご用命頂いたクライアントさんの中でも、ここまで熱意を持って太鼓の根本から真摯に取り組んで頂いた方は、後にも先にも河原さんだけと断言出来ます。
Kay Productionさん社内の専用スタジオでの「太鼓ワークショップ」は、毎回長時間にも及び、延べ三日間に渡って行なわれました。そのような経緯があったからこそ今回の音源プログラムは極めて緻密に、丁寧に、繊細に、まるでそこに私自身が宿っているかのようなリアルなソフトウェア音源に作り上げられてます。
叩く際の打力の強弱、太鼓の種類に適した発音法、様々なテンポでのリズムグルーヴ、伝統的手組み奏法など、私の太鼓表現と技術の粋を、出来る限り目一杯詰め込みました。
しかも録音エンジニアは、私の太鼓の「旨味成分」を最大限に引き出して下さり私が長年信頼を寄せる凄腕職人・スタジオ A-tone の青砥さん!最高すぎます。
Studio A-tone Sound Valley に鎮座する茂戸藤 浩司 氏のセット
また、打楽器音源の他にも、今やアニメやTV番組のBGMではすっかり耳馴染みのある「ソイヤ!」「オリャ!」「イヨ~」など日本の伝統的な「かけ声」を独自の発声法・呼吸法により現代風に進化させ、ラップやバリ島のケチャを彷彿とさせるオリジナルの表現法として昇華させた茂戸藤流Voice「咆哮」も、可能な限りの豊富なパターンで収録しました。
半世紀近い太鼓経験と研究によりようやく形になりつつある独自の奏法スタイル「茂戸藤 流太鼓術」は従来の郷土芸能に留まることなく、ロックやポップス・ジャズなどのバンド サウンドや映画・劇伴音楽などのオーケストラ、ワールドミュージック、他ジャンルとの セッションなど、どんな音楽とも対応し融合してきました。
我々日本人の誰もが郷愁をそそられずにはいられない、祭囃子の太鼓と鉦のリズム…、土と風と海の匂いを感じる長閑かで美しい日本の原風景…、岩を打ち砕くかのような荒波や、夜空に轟く雷鳴を彷彿とさせる重低音…、歌舞伎などに於いて情景や心理描写を表現する奏法をさらにブラッシュアップした奏法…、世界中の現代音楽やドラム、パーカッションともマッチングできる独自の“Taiko Groove”…。
これらの音源素材を使って、世界中の音楽クリエイターさん達がこれまでにない自由な発想で、全く新しいジャンルの音楽を生み出して下さることを想像すると、心の底からワクワクします!
茂戸藤 浩司
河原 嶺旭(Kay Production 代表 / SAMURAI SAMPLES 総合プロデューサー)
本製品を作るきっかけは茂戸藤浩司さんの演奏と出会ったことでした。
自身が代表を務める音楽制作会社の案件で初めて演奏を聴いた瞬間、全身に大きな衝撃が走りました。
これまで多くの演奏者さんとお仕事をさせていただきましたが、こんな経験は後にも先にも茂戸藤さんたった一人です。
日本の方にはもちろん、海外の方にもこの音が体感できる環境になってほしい、あの衝撃を感じてほしい、そういった思いからブランドを立ち上げ、リリースの第一弾としました。
『Taiko-Motofuji-』は遠い未来まで使っていただける音源になっていると確信しています。
全ての音は青砥州比古さんが収録することによって、最高の音に仕上がっています。
世界的にも評価の高い作品たちのサウンドを支え続けるお二人の音色が、みなさんの作品で聴けるのを楽しみにしています。
河原 嶺旭
日本太鼓界で誰も成し得なかった「太鼓」と「ロック」を融合させた第一人者。
幼少の頃より和太鼓の伝統的な奏法を学び、「六三四」「打究人-da.k.t.-」のメンバーとして世界中で公演を行い、国内外アーティストから共演を望む声も多い。
現在は高梨康治率いる『刃-yaiba-』の中心メンバーでもある。
主な参加作品
<recording>
- 『NARUTO-ナルト-疾風伝』
- 『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』
- 『FAIRY TAIL』
- 『イノセンス』
- 『花燃ゆ』
<live>
- 『KISS Japan Tour 2015』
- 『MR.BIG LIVE FROM THE LIVING ROOM』等
20歳で作曲家としてのキャリアをスタート。
2011年にAKB48に提供した「風は吹いている」がミリオンヒットを記録。
2013年に中国北京に拠点を移す。
現地で当時視聴率1位だったバラエティー番組「爸爸去哪儿」シリーズなどの音楽を担当。
2016年に帰国、株式会社Kay Productionを設立。
現在はゲームを中心とした音楽プロデュースを行なっている。
主な参加作品
- AKB48「風は吹いている」:作曲
- 乃木坂46「世界で一番孤独なLover」:作曲
- 爸爸去哪儿:劇伴音楽
- Honor of Kings:音楽プロデュース
- Call of Duty Mobile:音楽プロデュース
- 荒野行動:音楽プロデュース
ほか
folder インタビュー/レビュー, サンプルパック / サンプリングCD
label SAMURAI SAMPLES, 和楽器, 太鼓