

「1176」って知ってる?じゃあ「176」は??
「176」は、プロオーディオ史にその名を刻む、伝説的なコンプレッサーです。ハードウェアのコンプレッサーの最定番として知られる「1176」の前身にあたるモデルとされています。
本稿では、簡単な歴史や「1176」との違いについてご紹介します。
プロオーディオ機器界の開拓者「Bill Putnam」
「176」の物語は、オーディオ・エンジニアリング界のパイオニアである「Bill Putnam(ビル・パットナム)」から始まります。エンジニアでありながらスタジオや音響機器ビジネスでも手腕を発揮し、 Universal Audio や UREI(Universal Recording Electronics Industries) を設立し、後に同社は「610」チャンネルストリップや「1176」コンプレッサーなど、革新的なプロオーディオ機器を次々と世に送り出すこととなります。
Teletronixを買収して「LA-2A」コンプレッサーを製造したり、LAシリーズの後継を開発するなど、米国の音響機器界を席巻していきました。そんな飛躍の背景には、「176」の存在も少なからず影響を与えていたと考えられます。
「176」は「1176」と同様、スレッショルド設定が無く、インプットを操作してコンプレッションを掛ける操作スタイルを採用。また、可変レシオやアタック/リリースの調整が可能など、随所に共通点が見られます。
ただしコンプレッサーの心臓部ともいえるコンプレッション方式は、「1176」がFET方式なのに対し、「176」は、Variable-Mu(バリアブル・ミュー)方式とも呼ばれる、真空管の特性を活かしたコンプレッション方式を採用しています。
バリアブル・ミュー方式はFET方式と異なり、なめらかなコンプレッションが特徴。「176」と「1176」は似ている点は多いものの、全く異なるサウンドキャラクターを持っています。
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「176」は現在、Retro Instruments社によって復刻されていますが、そのサウンドは半世紀以上前に設計されたとは思えないほどのクリアさと自然さに驚かされます。
自然にダイナミクスを整えたい場面にピッタリなこの逸品は、現在ではプラグイン・ソフトウェアとして高精度に再現されています。
「ここでパンチはいらないけど、しっかりコンプレッションをかけたい・・・」とお困りの方は、この「176」のサウンドをチェックしてみてはいかがでしょうか?
- メーカー:Universal Audio
- カテゴリ:プラグイン・エフェクト
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