【ちょっとオタクなスタッフコラム】動作方式で選ぶ、コンプレッサープラグイン!
EQやリバーブと並んでミックス作業の中心となるツールながら、初心者にとっては“鬼門”ともいえる「コンプレッサー」。
各社から様々な製品がリリースされていますが、「どう選べばよいの?」と悩む方も多いと思います。
本記事では、なるべく端的にコンプレッサーの選び方を伝授していきます!
コンプレッサー・プラグインには、コンピューターならではの正確な処理を実現する「デジタル」系プラグインと、現実にある機材(アウトボード)を再現する、「アナログ」系のプラグインが存在します。
「デジタル」系プラグインは精度が高く、音色の変化が少ないといったメリットがあり、突発的にレベルの大きい部分を抑えるといった「調整」に向いています。
DAW に付属しているものもこのタイプで、精度が高い故に誤魔化しが効かず、扱いが難しいとも言えます。しかし、最近ではそれを補うようなコンセプトのプラグインも台頭しています。
- メーカー:WAVES
- カテゴリ:プラグイン・エフェクト
※『C1 COMPRESSOR』は『POWER PACK』以上にも収録されています。
それに対して「アナログ」系プラグインは、現実にある機材をシミュレートしているため、コンプレッションの特性にクセがあったり、音色の変化が伴ったりします。
このクセによって色付けができるため、「音作り」に向いています。
本記事では更にアナログ系プラグインにフォーカスしてご紹介します。
アナログ系プラグインは、現実にある数々のコンプレッサーをシミュレートしており、製品数も膨大です。
しかし、実機のコンプレッサーの動作方式は代表的なもので4つの方式に分類することができるので、それぞれ一つずつ所持しておくと幅広いシチュエーションに対応できるようになります。
真空管
最も歴史のある方式で、代表的なものは「FairChild 670」「Manley Stereo VARIABLE MU」、他には「UREI 176」「Gates STA-Level」などがあります。
Variable Mu という特性の真空管を用いており、大きい信号がきたら増幅率が下がる(正確にはバイアスによる動作)、という特性を利用したものです。
音色の変化もさることながら、最大の特徴はコンプレッション(ゲイン・リダクション)が深くなれば深くなるほど、レシオが上がっていく点です。
耳なじみの良い、非常に自然なコンプレッションが得られるので、ボーカルは勿論、あらゆる素材に最適な方式です。
- メーカー:WAVES
- カテゴリ:プラグイン・エフェクト
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※『PUIGCHILD COMPRESSOR』は『HORIZON』にも収録されています。
オプト
FET方式と同時期に台頭した方式で、代表的なものは「Teletronix LA-2A」「Tube-Tech CL 1B」などがあります。
フォトレジスタという光を当てると抵抗値が変わる素子を用いており、信号の大きさに応じて光を調節することでコンプレッションを行います。
最大の特徴はクセの強いコンプレッション特性。光に反応するまでにタイムラグがあるなど、各方式の中でも最も強烈な個性を持っています。
扱いは難しいですが、他のコンプレッサーではイマイチな場面でハマるポテンシャルを持っています。クセを積極的に利用して「リズムを作る」といった使い方もオススメです。
- メーカー:WAVES
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※『CLA-2A』は『HORIZON』にも収録されています。
※『RENAISSANCE COMPRESSOR』は『SILVER』にも収録されています。
※『RENAISSANCE COMPRESSOR』はオプト/FET、『SCHEPS OMNI CHANNEL』はオプト/FET/VCAモード切替可能。
FET
オプト方式と同時期に台頭した方式で、代表的なものはなんといっても「UREI 1176」。他にも数多くのコンプレッサー・アウトボードに採用されています。
入力信号に応じて抵抗値が変わるFET素子を用いて、入力信号の大きさに応じてコンプレッションを行います。
最大の特徴はクセが強すぎず、かと言ってアナログらしさを感じさせる「丁度いい」サウンドで、コンプレッサーの基本を押さえるのにも最適です。
コンプレッションを深くかけた際のパンチのあるサウンドも人気があり、特にドラム・トラックとの相性は非常に良い方式です。
※『CLA-76』は『HORIZON』にも収録されています。
VCA
最も現代的な方式で、代表的なものは「SSL 4000 G マスターバス・コンプレッサー」「API 2500」「dbx 160」などがあります。
入力信号に応じて増幅率を変えられる ICチップ を使用してコンプレッションを行います。
最大の特徴は特性の良さで、音色の変化も最低限に抑えられているため、デジタルに近いサウンドです。
「API 2500」に搭載される“THRUST”スイッチのような、メーカー独自のノウハウが詰め込まれたオプションが設けられている場合も多く、これが欲しい場合やアナログ感をひとつまみだけ加えたい時にも最適です。
- メーカー:WAVES
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アナログ・コンプレッサーには他にも「NEVE 2254」「NEVE 33609」に代表されるダイオード・ブリッジ方式もありますが、まずはこの4種類を押さえられれば申し分ないと思います。
「コンプレッサーをマスターしたい」「ミックスと真剣に向き合いたい」という方は、デジタル+アナログ4種類のコンプレッサーを環境に揃えて、どんな違いがあるかを体験してみましょう!
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