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【ギター初心者必見】ギターの弦に関する基礎知識

2024年8月28日 17:40 by sym

ギタリストの皆さん、お気に入りの弦はありますか?ついアンプやエフェクターばかりに注目してしまうかもしれませんが、理想の音に近づけるためには弦選びも大切です。

今回は、ギターの弦に関する基礎知識について紹介していきます。


はじめに

弦が6本張ってある一般的なギターでは、6本の中で一番細くて高い音が出る弦を「1弦」と呼び、だんだん弦が太くなるにつれて「2弦、3弦・・・」と呼んでいきます。

ギターの弦は6本1セットで販売されており、6本全てを一度に交換するのが一般的です。ただし、細い1弦と2弦は比較的切れやすいので、楽器屋でばら売りしている1,2弦を多めに買っておく方もいます。定番の弦は大体700~1100円程度で6本1セットを購入できます。

ギターの弦は非常に多くのメーカーから出ており、同じメーカーからも太さや素材が違う弦が豊富に販売されているので、弦選びだけでも最初は苦労するかと思います。ここからはそんな方向けに、弦選びの一つの基準となる「太さ」、「素材」、「弦の巻き方の違い」について解説していきます。

弦の太さについて

弦の太さは音色や弾きやすさにも影響してくる要素なので、一通り試してみて自分のお気に入りの太さを見つけることが大切です。

弦の太さのことを「ゲージ」と呼び、6本の弦が全体的に細い組み合わせのものは「ライトゲージ」、太い組み合わせのものは「ヘビーゲージ」と呼ばれています。6本の弦の全体的な太さを簡単に区別するための名称なので、この表現を覚えておきましょう。

多くのメーカーで名称が共通している定番ゲージは、細いものから順にスーパーライト < カスタムライト < ライト < ミディアム < ヘビーといったものがあります。

弦のパッケージには「カスタムライト」などのゲージの名称と共に「09 46」といった数字が記載されています。これは1弦と6弦の直径をそれぞれインチで表記したもので、各弦の太さを大体把握するための指標になります。ゲージはメーカーごとに僅かに名称が違ったり、同じ名称でも各弦の太さの組み合わせが多少異なることもあり、「09 46」の弦を「ゼロキュウヨンロク」と呼ぶなど、インチでの覚え方/呼び方が一般的です。日本人にとってはあまり馴染みのないインチの単位ですが、気に入った弦のインチは覚えておくようにしましょう。

下記の表は、エレキギター弦におけるゲージごとの太さの例です。

※ここでは、代表的な弦メーカーである「Elixir」のエレキギター弦を参考にしています。

ゲージを変えると、「オクターブチューニング」が必要になります。オクターブチューニングとは、開放弦の音と12フレットの音がちょうど1オクターブ上になるように設定する音程の調整方法です。オクターブチューニングをやらないと、開放弦でチューニングを合わせても、実際に弦を押さえた時に音がズレるようになってしまいます。ゲージを変えたタイミング以外でも、オクターブチューニングは定期的に行い、良い状態を維持するように心がけていきましょう。

オクターブチューニングの手順については、下記の動画をご覧ください。

プロ直伝!自宅でできるオクターブチューニング – ルシアー駒木のギターメンテナンス

弦の素材について

弦の素材ももちろん、ギターの音色を左右する大きな要素の一つです。また、弦の耐久性や演奏性にも大きく関わってきますので、できるだけ早いうちに好みの素材を発見できるようにあれこれ試してみましょう。

エレキギターとアコースティックギターで使用される素材は異なりますが、一般的に使われている素材はそれぞれ下記の通りです。

■エレキギター

  • ニッケル弦

    エレキギター弦の中でも最も一般的な素材です。色んなメーカーから販売されているため、種類が豊富で、幅広い選択肢があります。他の素材と比べて安価なものが多く、柔らかくてバランスの良いサウンドをしているので、初心者はまずここから始めてみると良いでしょう。

  • ステンレス弦

    ニッケルと比べて素材が硬く、耐久性があるエレキギター弦です。シャープで煌びやかな高音が特徴です。やや高価な弦が多いですが、こういった特徴を好む方にはおすすめできる弦です。

■アコースティックギター

  • ブロンズ弦

    アコースティックギター弦の中で最も一般的な素材です。銅80%/スズ20%の合金できていることから、「80/20 ブロンズ」とパッケージに記載されていることが多いです。

    次に紹介するフォスファーブロンズ弦と比べると、落ち着いたサウンドで、迷ったらまずはこちらが良いでしょう。フォスファーブロンズ弦を試して、キラキラしすぎるように感じる方はこちらが良さそうです。

  • フォスファーブロンズ弦

    ブロンズ合金に少量のリンを加えた素材でできています。ブロンズ弦より耐久性があり、煌びやかで明るいサウンドが特徴です。ブロンズ弦と比べるとやや高価になりますが、明るいサウンドを求める方には是非おすすめしたい弦です。

■エレキギター/アコースティックギター両用

  • コーティング弦

    弦の周りに特殊なコーティングが施されており、とにかくサビづらい、高い耐久性を重視した弦です。通常の弦と比べて高価である点や通常弦の弾き心地やサウンドが失われる点がデメリットとしては挙げられます。これらのデメリットがそこまで気にならない方、手汗が多くて悩んでいる方や弦交換をあまりしたくない方にはおすすめです。

    コーティング弦はエレキギター用とアコースティックギター用どちらも販売されています。

簡単に素材による違いをご紹介しました。今まではなんとなくメーカーで弦を選んできた方はぜひ素材にも注目して選んでみてはいかがでしょうか?

弦ごとのサウンドの違いが気になる方は、下記の動画をご覧ください。

弦の種類によってギターの音と演奏性はどう変わるのか?【デジマート地下実験室】

弦の巻き方の違いについて

これはさらに細かい話になりますが、6弦~4弦は内側に「芯線」と呼ばれるワイヤーと、その周りにグルグル巻かれている「巻線」で構成されています。その巻線を注意深く見ると、弦の種類によって凹凸があるものと平らなものがあります。前者がラウンドワウンド、後者がフラットワウンドと呼ばれています。非常に細かい違いなのですが、これもまた音色に影響を与える要素の一つなのです。それぞれの簡単な特徴は下記の通りです。

  • ラウンドワウンド

    弦の表面がデコボコになっています。サスティンが長く、金属的でシャープな音が特徴です。こちらの方が定番の巻き方で、多くのギター弦で採用されています。

  • フラットワウンド

    弦の表面が平らになっています。ラウンドワウンドと反対に、サスティンが短く、丸いモコッとした音が特徴です。その特徴から、ジャズやバラードなどの落ち着いた楽曲と相性が良い弦です。

大まかな違いはこの通りです。上記を踏まえて、興味を持った方はぜひ両方弾き比べてみてください!

巻き方によるサウンドの違いが気になる方は、下記の動画をご覧ください。

D’Addario Electric Guitar and Bass String Comparison – Flat Wound vs. Half Round vs. Round Wound

余談ですが、人気ベース音源『MODO BASS 2』には、弦の材質や状態を設定できる機能がついています。具体的には、弦のゲージ、古さ、そして巻き方など、まさに上記で説明した弦の各要素をいじれるようになっているのです!それだけサウンドに影響を与える大事なポイントであることが分かりますね。

弦交換のタイミングについて

弦を交換するタイミングは、人によって異なります。ライブごとに毎回変える人もいれば、切れるまで使い続ける人もいます。「本当のところ、いつ変えるべきなの?」という方向けに、オススメの交換時期をいくつか紹介したいと思います。

  • 弦の錆びが気になってきた

    ギターの弦は金属でできているので、湿気や演奏時の手汗などが原因で弦はどんどん錆びていきます。錆びてくると「音が劣化する」「弾きづらくなり、指が痛くなる」「フレットが削れやすくなり、ギターへのダメージが増える」など、様々なデメリットがあります。特に音の劣化や演奏性の低下は、ギターを弾いても楽しく感じられなくなるなどモチベーションに影響するでしょう。弦の錆び具合は視覚的にも分かりやすく、弾いてる最中でも気づきやすいので、気になり始めたら弦を交換しましょう。

    通常の弦は比較的早く錆び始めてしまうので、滑りが良くなったり錆びの防止を助けてくれるスプレーなどを活用して、演奏後の弦のケアを心がけましょう。それでも劣化の進行が気になるという方は、前述したコーティング弦を使うと良いでしょう。

  • 音が劣化してきた

    弦が古くなると「音の伸びが短くなる」「音がモコッとして本来の音が出ない」など、張りたての弦とは大きく異なるサウンドに変化していきます。「張りたてのパキッとしたサウンドが好き」と口にするギタリストも多いくらい、新品の弦は圧倒的に音抜けが良く、心地良い音がします。また、弦が古いと音質の劣化に加えて、ギターのチューニングも不安定で合いづらくなってきます。ギターを始めたばかりの頃は音の劣化になかなか気づけないかもしれませんが、趣味で少し弾く程度の方でも1~2か月に1回は交換すると良いと思います(弾く頻度にもよります)。

  • ライブやレコーディングの日が近い

    ライブで演奏中に弦が切れた、または切れている人を見た経験はありませんか?弦が切れた直後はその他の弦が全てチューニング狂うので、そのまま演奏を続行するのは非常に難しくなります。しばらく張り替えてないなと感じたら、大事なライブを成功させるためにも、事前に新品の弦に張り替えておきましょう。

    また、レコーディング中においては、弦が切れてしまうと「他のテイクと音が変わってしまう」「チューニングが安定しない」「レコーディングに費やす時間が減る」などなど、様々なデメリットが挙げられます。大事なレコーディングの前には新しい弦に張り替えることをおすすめします。

弦交換後の注意点

弦交換をした直後から、弾くことによって弦はどんどん伸びていきます。弦交換直後にチューニングを合わせても、数分弾くとチューニングが大きく狂い始めるのはそのためです。特に強いストロークやチョーキングを混ぜたプレイをしたタイミングで大きくズレることが多いです。そのため、ライブやレコーディング直前の弦交換は極力避けるようにしましょう。

上記の問題ですが、「弦を全て張り終えたタイミングで、全ての弦を引っ張って伸ばしておく」ことである程度対策することも可能です。あまり強く引っ張りすぎると弦が切れてしまったり、ギターへの負担もあるので、少し弦が伸びる程度の力で行いましょう。特に1,2弦は細くて切れやすいので、注意が必要です。弦の下に新品の弦が入っていた袋を通して上に引っ張ると、力がやや分散されて、ほどよい強さで引っ張れるのでオススメです。


今回はギター弦の太さや素材について触れていきました。なかなか細かい要素ですが、ちょっとした違いでもギターの音は大きく変化するという事実をご理解いただけたら幸いです。

本記事を通して、少しでもギターの知識が得られたり、より興味を持つ機会になっていれば幸いです。

今後もギターの様々な情報をお届けしていきますので、お楽しみに!