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【ギター初心者必見】ピックアップの違い:シングルコイル&ハムバッカー

2024年4月24日 12:50 by sym

ギターのサウンドを大きく左右するピックアップ。良いピックアップを搭載すれば、安っぽかったサウンドのギターも高級ギターのように生まれ変わる…といっても過言ではありません。しかし、ピックアップは種類の多さに加えて値段はピンキリ、購入前にお店で試すことも難しいなどの理由からなかなか踏み込みづらく、ピックアップについて深く知るきっかけがない方も多いのではないでしょうか。

今回はそんな方に向けて、ピックアップの基礎知識と種類について紹介したいと思います。


ピックアップとは?

ピックアップは、ギターのボディ内部に取り付けられており、ギターの音を拾うマイクのような役割をしています。厳密にいうと、ピックアップが弦の振動を拾って電気信号に変換し、その信号がシールド(ケーブル)を経由してギターアンプから大音量で音が出るという仕組みになっています。広いライブ会場でもギターが遠くまで聴こえるのは、ピックアップが拾った音を増幅しているから、ということになります。

ボディからピックアップを取り出すと、中身はこの写真のようになっています(筆者のストラトキャスターに搭載されていたシングルコイルです)。

ピックアップの駆動方式は2タイプあり、「パッシブピックアップ」と「アクティブピックアップ」と呼ばれます。大きな違いは下記のとおりです。

  • パッシブピックアップ

    多くのエレキギターやエレキベースに採用されている一般的なタイプ。プリアンプは内蔵されておらず、電池が不要なピックアップ。アクティブピックアップと比較すると、ノイズに弱いです。

  • アクティブピックアップ

    回路上にプリアンプを内蔵しており、電池で駆動するピックアップ。ノイズに強く、ガツンと歪ませるメタル系のジャンルでよく使われます。電池は、一般的にエフェクターによく使われる9V電池を使用します。電池の残容量がサウンドに影響を与える(音が小さくなる、音が歪むなど)ので、定期的な電池交換が必要です。

ピックアップの種類は大きく分けて、「シングルコイル・ピックアップ」「ハムバッカー・ピックアップ」の2種類があります。それぞれ音の特徴が明確なので、好みがはっきり分かれることが多いです。

ここからは、この2種類の違いについてより詳しく説明していきます。

シングルコイルについて

シングルコイルは主にストラトキャスターやテレキャスターなど、フェンダー系統のギターに搭載されています。歯切れがよく、煌びやかな音が特徴で、クリーンやクランチ程度の歪み感が相性抜群です。音の輪郭がはっきりしているので、クリーントーンでのカッティングなんかは特に心地良いサウンドを奏でてくれます。

その一方で、比較的ノイズを多く拾ってしまうので、歪ませすぎないように注意が必要です。ハイゲインで演奏したい場合には、ハムバッカー搭載のギターを検討してみてもいいでしょう。

日本のギタリストでいうと、例えばCharさんやいきものがかりの水野良樹さんがシングルコイル系のエレキギターをよく使用されている印象があります。

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それでは、実際にシングルコイルのサウンドを聴いてみましょう。

動画内では2種類のストラトキャスターが使われています。ボディが黄色のギターは全てシングルコイルが搭載されたストラトキャスターで、ボディが緑色のギターはリアピックアップのみハムバッカーが搭載されたタイプのストラトキャスターです。それぞれの音の違いを聞き比べてみましょう。

ハムバッカーについて

ハムバッカーは主にレスポールなど、ギブソン系統のギターに搭載されています。音が太く、パワフルなサウンドが特徴で、ディストーションサウンドとの相性が抜群です。シングルコイルと比べるとノイズに強いため、ハードロックやメタルなど激しいジャンルの曲にもしっかり対応できるピックアップです。

その一方で、低中音域が目立つどっしりとしたサウンドを作りやすく、シングルコイルのように高音域が気持ち良い煌びやかな音が好きな人にはあまり向かないでしょう。

日本のギタリストでいうと、例えばB’zの松本孝弘さんやUNICORNの奥田 民生さんがハムバッカー系のエレキギターをよく使用されている印象があります。

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それでは、実際にハムバッカーのサウンドを聴いてみましょう。動画内では、ハムバッカーが搭載されるギターとして代表的なレスポールが使われています。

特殊なピックアップについて

既に紹介した2種類のピックアップそれぞれの特徴を兼ね備えた、シングルコイル・サイズのハムバッカーハムバッカー・サイズのシングルコイルも存在します。前者は元々シングルコイルが載っていた箇所にハムバッカーを載せたい時に、後者は元々ハムバッカーが載っていた箇所にシングルコイルを載せたい時に使うと良いでしょう。サウンドは、シングルコイルの繊細さとハムバッカーのパワフルさを活かした、両者の中間のような音のイメージです。

下記の動画に登場するストラトキャスターは、セイモア・ダンカン社製のシングルコイル・サイズのハムバッカーが搭載されています。ハムバッカーが搭載されることで、通常のストラトキャスターが奏でるサウンドよりも甘く、太い、ロックやメタル向きのサウンドになっていることがお分かりいただけると思います。

通常、シングルコイルが搭載されているギターにハムバッカーを搭載する場合は、ピックアップのサイズが異なるため、ピックアップが収納されている穴を広げる作業が必要になることが多いです(最初から穴が大きく掘られていて、加工が不要なものもあります)。そこで、シングルコイル・サイズのハムバッカーを使えば、ボディの加工をせずに手軽にハムバッカーのようなパワフルなサウンドを手に入れることができるのでオススメです。

ボディの加工は、元の状態に戻すのも大変で技術費用もかかるので、基本的には最初に搭載されていたピックアップと同サイズのものとの交換をオススメします。もし通常のハムバッカーを搭載したストラトキャスターやテレキャスターの音が気になる方は、最初から搭載されているものもあるので、まずはお近くの楽器屋で探して試奏してみると良いでしょう。

シングルコイルが搭載されたギターにハムバッカーを入れ替える作業は、下記の動画のように行われます。

ハムバッカー・サイズのシングルコイルは、フェンダー社のジャズマスターに搭載されています。また、似た分類では「P-90」と呼ばれる、ギブソン社によって開発されたハムバッカーに近いサイズのシングルコイルが非常に有名です。こちらはハムバッカーと少しだけサイズが異なり、独特な形状をしています。P-90はレスポールが登場した頃から搭載され、元々は製品名であったものの、現在では一般化して「P-90タイプ」という表現が他社製品でも使われていることから、その人気の高さが分かります。

P-90の独特なサウンドを求めるファンは多いですが、他のピックアップとサイズや形状が異なることから、交換の際に大変な工事が必須になるので注意が必要です。そんな時に便利なものとして、ハムバッカーサイズのP-90というものも存在しています。もしハムバッカーからP-90に変更したい方は大幅な工事を行うことなく、ピックアップを入れ替えることが可能なので、興味のある方はぜひ探してみてください。

それでは最後に、P-90が搭載されたギブソン社製レスポールのサウンドを聴いてみましょう。ピックアップはセイモア・ダンカン社製のP-90です。


今回はギターのピックアップについて紹介しました。「エフェクターを沢山試してはいるけど、なかなか自分の理想のサウンドに近づかない」「なんだか音が気に入らない」など音作りで悩んでいる方、ぜひこの機会にピックアップに目を向けてみてはいかがでしょうか。

本記事を通して、少しでもギターの知識が得られたり、より興味を持つ機会になっていれば幸いです。

今後もギターの様々な情報をお届けしていきますので、お楽しみに!