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「家でいい音鳴らしませんか?」アンプシミュレーター・プラグインを使うメリット

2024年1月19日 19:00 by iro

これまで、ギタリストの皆さまに向けてDTMを始めるために必要な準備や方法を「【ギタリスト必見】宅録するために必要な機材をまとめました。」「アンプとエフェクターは必要ない?!アンプシミュレーター・プラグインで宅録する方法を徹底解説」と2つの記事でご紹介してきました。

その上で「DTMめんどくさ過ぎない?」と思われたあなた、ちょっとお待ちください。DTMでギターを使った楽曲を製作する場合は、ギターアンプの音を再現するための「アンプシミュレーター」と呼ばれるエフェクト・プラグインを使用します。ハードのマルチエフェクターやペダルにも同様の物はありますが、このアンプシミュレーター・プラグインはギタリストにとってとても便利なツールです。本記事では、SONICWIREイチオシのアンプシミュレーターBOGREN DIGITAL社『MLC S_ZERO 100』を例に、ギタリストの皆さんへアンプシミュレーター・プラグインをお勧めするポイントをご紹介します。

演奏のダイナミクスを動的に表現するアンプシミュレーター!
税込価格 ¥17,083¥8,541
  • メーカー:BOGREN DIGITAL
  • カテゴリ:プラグイン・エフェクト

メリット

比較的お手頃

スタジオに置いてあるようなスタックタイプのアンプは、一台数十万円はくだりません。それに引き換えアンプシミュレーターは数千円から購入することができ、実機の何十分の一の予算で導入が可能です(PCをお持ちの前提)。極論ですが、都心のリハスタを何回か利用する料金分で時間を気にせず使えるアンプが手に入ります。

▲『MLC S_ZERO 100』のモデルになった実在のアンプMLC Amps 社「Subzero 100」は、アンプヘッドのみでお値段3,252ユーロ(約51万円)!対して『MLC S_ZERO 100』は、キャビネットにオーバードライブや空間系エフェクターもついて99ユーロ(約1万5千円)、セール時には1万円を切ることも。

また、プラグインはハードのアンプシミュレーターと比べても比較的安価なものが多いですが、ハードに比べてセールが実施される頻度やディスカウント率が高いことも魅力です。特に、今や一般的にも知られるようになったブラックフライデーの時期などを中心に50%OFFやそれ以上というセールも少なくありません。開催中のキャンペーンをこまめにチェックしたり、SONICWIREニュースレターを無料購読してお得なチャンスを逃さないようにしましょう。

▲2023年某日のSONICWIRE内ギター / ベース関連エフェクト・プラグイン価格

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省スペース

アンプシミュレーター自体はコンピュータのプログラムなので、実機がどんなにゴツいアンプでも何台揃えようとお部屋のスペースをとることはありません。ラップトップPCとバスパワー(USBなどを通してPCから電源をとる)のオーディオインターフェースを使えば、寝る前に枕元に腰かけてちょっとレコーディング~もできます。ただ、ギターの音をPCに取り込むオーディオインターフェース / DI / プリアンプなどハード面の機材に凝りだした結果、寝室にラックがそびえ立ったなんて話を聞いたり聞かなかったりしますので何事もやりすぎはご注意ください。

壊れない

前述のとおり、アンプシミュレーターはプログラムなので、壊れませんしヘタれることもありません。パーツを探すのが大変なビンテージ・アンプや国内流通がないアンプも遠慮なく使えますし、万が一に備えてパーツのストックを蓄えておく必要もありません。もちろんPC等のハードが故障する可能性はあります。しかし、DAWやプラグインは、ユーザー自身が使用するPCであれば基本的に再インストールが可能です。そのため、復旧できない!代替が効かない!という事態にはなりにくいです(採用している認証方法により一部例外はあります)。

時間帯を問わず家でも鳴らせる

真空管アンプだと、出力が小さいモデルでもある程度ゲインやボリュームを上げないとならず、相応の音量になってしまうため住宅環境によっては家で満足に鳴らせないことがあります。アンプシミュレーターなら、最終的にPCあるいはオーディオインターフェースでボリュームを調整できるので、小音量でフルテンサウンドも可。『MLC S_ZERO 100』のように、キャビネットに対するマイクの設定が可能な製品であれば、ヘッドフォン使用でも好みのマイキング / 空気感でスタジオクオリティの演奏を楽しむことができます。ただ、ギターの生音を小さくできるわけではないので、お気を付けを。

▲『MLC S_ZERO 100』のゲイン / ボリュームは実機通りにノブがあり、それとは別にプラグインから出力される音量のマスターボリュームが用意されている

音作りが後からできる

このメリットが一番大きいかもしれません。DAW を使ってギターのレコーディングを行う際、ほとんどの場合DAWのミキサー上でアンプシミュレーターをインサートして使用します。その為、アンプシミュレーターを通したサウンドで演奏をモニターしつつ、DAWにはギター直のサウンドが録音されます(アンプやエフェクトの手前にレコーダーがつながっているイメージ)。録音された生のサウンドに対してエフェクトを後掛けする形になるので、ハードでやろうとすると大変なリアンプもし放題。後掛けの利点を活かしてノブやマイクの設定をいろいろと試したり、果ては真空管の変更まで、満足いくまで音作りに没頭することができます。

DTMで制作をしていると楽曲のミックスやマスタリングまで自身でやらなければならないことも少なくありませんが、曲全体の完成イメージが見えてきたときにそぐわなくなった音を手直しできるのは便利ですよね。

▲DAWのトラックにアンプシミュレータをインサートした状態でギターを録音しても、トラックに記録される音声ファイル自体にはエフェクトがかかっていません。トラック数や使用しているプラグインの数が増えてDAWの挙動が重くなってきた場合、DAWの「バウンス」という機能を使ってエフェクトがかかった音声をトラックに記録し、インサートしていたエフェクトを停止させることでコンピュータの負荷を下げる方法もあります

また、オーディオインターフェースの手前に愛用のエフェクターボードを繋いでステージ同様のペダルを活用することもできますし、アンプヘッドのみON/OFFが可能なアンプシミュレータであればプリアンプを通してREC~キャビネットのみシミュレーターを使用するといった応用技もOKです。

クオリティ高くなっています

初期のアンプシミュレーターをご存じの方ほど、「アンシミュって音良くないんでしょ?」という印象を持たれているかもしれません。しかし今は、モデリング技術やソフトが動作するPCのスペック向上により、良い音が出せるようになりました。昨今、プリアンプや空間系などクオリティが高いデジタル・ペダルがたくさんありますが、同様にソフトウェアも進化しています。

特にキャビネットのシミュレートは、キャビネットから実際に出力し音の特性を記録した「IR(インパルス・レスポンス)」と呼ばれるファイルを用いることによって、サウンドの説得力が格段に向上しました。現在は、さらにリアリティのある音を求めて各社知恵を絞りながら開発が行われています。『MLC S_ZERO 100』も「IRDXテクノロジー」と呼ばれる独自の新技術を搭載。キャビネットに入力される信号の大小によるキャビネットのふるまい(音のハリやサチュレーション、押し出し感など)をIRに適用して生っぽいダイナミクスを再現します。サードパーティのIRファイルにも適用できますし、『MLC S_ZERO 100』のアンプヘッドをOFFにして他のアンプシミュレータの後段にインサートすることで『MLC S_ZERO 100』のキャビネット・シミュレートだけを使用するのも面白いです(本来想定されていない使用方法のため、効果のほどは補償いたしかねます)。そういった自由度の高さは、プラグインならではかもしれません。

▲『MLC S_ZERO 100』のキャビネット・セクション。マイクの前後左右やスピーカーコーンに対する角度を調整できる。

また、先日IRDXテクノロジーのみが独立した待望の単体プラグイン『IRDX CORE』が登場しました。愛用のアンプシミュレーターの後段や、ハードのマルチエフェクターからインプットしているトラックに立ち上げるだけで、これまでキャビネットにマイクを立てないと得られなかった生っぽさを加えることができるので、慣れた使い勝手のままサウンドに説得力を加えることができます。

▲シンプルな『IRDX CORE』の画面。操作は、入出力レベル(自動調整)と効果の強さを設定するだけ

愛用のアンプシミュレーターで 本物のダイナミクスを表現させるプラグイン
税込価格 ¥6,732¥3,366
  • メーカー:BOGREN DIGITAL
  • カテゴリ:プラグイン・エフェクト

時代に適応している

各種SNSや配信サービスなどの充実により、自ら世界に発信できる場がとても多くなりました。ギターを演奏するなら、多くの方に聴いてもらいたいと思うもの。プラグインのアンプシミュレーターなら、これまでにご紹介したように自宅でも手軽に高い自由度で演奏を録って、動画編集ソフトへのインポートやSNS投稿までPC上でスムーズに行うことができます。ギターを演奏する配信など行う際にも、コントロールをPCに集中できるのでキョロキョロせずに済みますね。

番外編:不満を漏らさずに付き合ってくれるバンドメンバー

DTMで楽曲のアレンジを進めていく際、ギター以外のパートを自分で作るハードルの高さにめげてしまうことも少なくありません。DAW上で楽器のパートを打ち込んでいくには「ソフト音源」と呼ばれるDAWの中で動く楽器を使用しますが、「ソフト音源」の中にはパート作成のアシスト機能が充実したものがあります。

TOONTRACK 社のEZシリーズはその最たるものの一つです。例えば、ドラム音源『EZ DRUMMER 3』は、数百個のMIDIフレーズから好きなものをサクサク並べてドラムパートを作ることもできますが、レコーディングしたギターのオーディオファイルをインポートすると、そのファイルを解析して演奏内容にフィットしたドラムフレーズを提案してくれます。気に入ったフレーズが見つかったらDAWのトラック上にドラッグ&ドロップしてドラムトラックの完成です。

▲ギターやベースなどのオーディオファイルを『EZ DRUMMER 3』にインポートしてリズムパターンを生成する「THE BANDMATE」機能。

ベース音源『EZ BASS』は、プリセットで収録されているフレーズのコード進行を調整して使うことも、『EZ DRUMMER 3』同様にインポートしたギターのオーディオに即したルート弾きフレーズの提案も可能です。また、ギターをつないで演奏を録音すると、ベースのMIDIフレーズに変換してくれるといった便利な機能も搭載しています。

▲ギターやドラムなどのオーディオからベースフレーズに変換する『EZ BASS』の「AUDIO TRACKER」機能。

両製品共にフレーズはMIDI データ形式でエクスポートされるため、より楽曲に合うように製品内のエディタやDAW上で細かく調整することもできます。様々なジャンルやスタイルごとに特化した音色とMIDIフレーズがセットになった拡張音源『EZX』『EBX』シリーズが展開されているため、揃えていくと多ジャンルに対応する万能ドラマー / ベーシストが仲間に加わります。

更なる進化を遂げた、世界人気No.1の即戦力ドラム音源!
税込価格 ¥22,000
  • メーカー:TOONTRACK
  • カテゴリ:ソフト音源
演奏、音作り、作曲。全てが簡単な即戦力ベース音源!
税込価格 ¥22,000
  • メーカー:TOONTRACK
  • カテゴリ:ソフト音源

ここまではアンプシミュレーターを使うメリットをご紹介してきました。アンプシミュレーターの導入にあたって、予め気を付けておくべき点もいくつかあるのでご紹介しておきましょう。

気を付けるべき点

何でもできてしまうが故に迷子になりやすい

メリット5 でご紹介したように、調整できる箇所がありすぎる、そしていつまでもどこまでも制限なく音作りを煮詰めることができるので、あっちをいじりこっちを直しを繰り返して最適解を見失いがちです。昨今のアンプシミュレータは実物と同様の信号経路を再現しているものが多いので、実機を使った音作りと同様にまずはギター ~ アンプまでの機能で音作りを追い込んでみましょう。マイキングやポストEQなどは、その上で足りない部分を補う用に使うと道筋が見えてくるかもしれません。

現場への持ち込みはまだハードルが高い

昨今、外での使用も考えられて作られたハードウェアのアンプシミュレーターも増えてきましたが、それらはリハスタやステージで起こりうるアクシデント(倒す / 落とす / 熱暴走 / 壊れる / etc…)をある程度想定した堅牢な構造になっています。その点、ソフトウェアのアンプシミュレータをパソコンごと持ち歩いて使用するのは、場所によってまだ不安があります。

現在は「初めて触るアンプがシミュレーター」というギタリストも少なくないと思いますが、外での活動はぜひ現場にある実物のアンプを使って音を鳴らしてみましょう。その経験はアンプシミュレーターを使う上でも必ず役に立ちます。

体験にはかなわない

現在のアンプシミュレーターが進化していても、スタジオやステージでアンプを鳴らした音そのものの完全再現を求めるのはまだ難しいです。アンプ実機を使って聞こえる音は、部屋鳴りなどの外的要因も含めての音です。まして、スタジオなどで大きなキャビネットから出た音で全身に響くあの感覚は、やはりシミュレーターでは体感できません。アンプシミュレーターは現実に比べて“音がきれいすぎる”面があるので、あくまで「アンプシミュレーターという機材」の音として割り切って使いましょう。

さいごに

いかがでしょうか。アンプシミュレーター・プラグインに興味は沸いてきましたか?とはいえ、いきなり購入に踏み切るのは躊躇われますよね。

アンプシミュレーターをはじめとするプラグインは、いくつかの制限下で動作を試すことができる試用版が公開されていることがあります。『MLC S_ZERO 100』も、14日間に限り全機能が動作する試用版をご用意しています。製品ページより試用版の導入手順をご覧いただけるので、その音の良さを是非体験してみてください!

『MLC S_ZERO 100』製品ページ ≫

その他、SONICWIREでは各社アンプシミュレーター製品を販売しています。あなたの求める条件に応じて、最適なアンプシミュレーターを吟味してみましょう。

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