現役DTMerスタッフが選ぶ!ミックスが究極に楽になる製品を集めてみた。
DTMで、制作に慣れた方が次につまづくであろう「ミックス」は、初心者DTMerはもちろん制作に慣れた方にも1つの壁と言えます。
音量やパン(左右への音振り)の調整は比較的簡単ですが、サウンドをさらに本格的にするにはEQやコンプなどを使いこなす必要があるため、そこに膨大な時間を費やしてしまう方もいるのではないでしょうか。
楽器や収録環境により音の特性も違うので、それを考慮したミックスを行わなければならないとなると、DAW標準のツールだけではカバーしづらくなることもあります。
今回はミックスの際に作業が止まってしまいがちな「EQ」「コンプレッサー」「ボーカルミックス」「トランジェント(スタッフの趣味による番外編)」から、部門毎に製品をピックアップ。「このエフェクトならこれ!」という製品を、普段制作からミックスまでやっている筆者が紹介します!
今ミックスで悩んでいるエフェクトがある方は、是非その箇所だけでも読んでみてください。お手軽時短製品でミックスにかける時間を極力短くして、リソースを制作に全振りしちゃいましょう!
【EQ部門】Soundtheory社『GULLFOSS』
まずは音の低音/中音/高音など、特定の箇所の音量を調整するEQ(イコライザー)。
時短系EQの代表格『GULLFOSS』。「音を良くするEQ」として打ち出され、気づけば「チートEQ」などと呼ばれていたトンデモ製品です。
「音が良い」と言われると首を傾げる方もいらっしゃると思いますが、試しに体験版をダウンロードして、マスタートラックに差して「RECOVER」と「TAME」をそれぞれ40%ぐらいに設定してみてください。すぐに効果が分かるはずです。
「出すぎているところは引っ込めて、他の音に隠されているところを出す」というのがこのEQの仕組みで、「人間が良いと感じる音」に向けた設定をリアルタイムで行います。
▼ここがすごい!
- 何にでも使える。ボーカルやシンセなどの個別の楽器はもちろん、マスタートラックにも使える。スピーチにも使える。
- 通常のEQのように細かいノブをいじる必要がない。5つの数値を%で調整するだけなので、音を聴きながら感覚的に設定できる。
- 遅延がほとんど無い「GULLFOSS LIVE」も同梱。配信にも使える!
ギタリストであり、コンポーザー/エンジニアを務めるa2c氏によるデモンストレーション動画では、各機能が非常に分かりやすく解説されています。
MintJamやfripSideなど幅広く活動を行うギタリスト&コンポーザー a2c氏による『GULLFOSS』動画レビュー! »
【コンプレッサー部門】sonible社『smart:comp 2』
コンプレッサーは、音を圧縮して出すぎた音を抑えたり、音圧を上げて迫力を増すためのプラグイン。これが実はかなり深い沼で、「楽器ごとにどういう設定にすればよいのか」「やりたい音作りに合わせてどう操作すればよいのか」を完全に使いこなすには、それなりの知識と経験を要します。
そんな奥の深いコンプレッサーを時短するプラグインとして、AIを使ったコンプ『smart:comp 2』のご紹介です。このコンプの使い方は以下の通り。
- トラックに『smart:comp 2』を挿す。
- 楽器の種類を指定して、プラグイン内の「録音ボタン」をクリック。DAWで曲を再生する。
- 『smart:comp 2』がコンプのほとんどの設定を自動でセットアップ。目的とする音作りに合わせて微調整。
はい、これだけです。コンプの細々としたいくつもの設定を、音を何度も聴きながら微調整する必要はもうありません。
ステップ3の「音作り」も、「低音と高音のどちらをより聞かせるか」を指定する「Color」と、「どれぐらい激しい音にするか」を設定する「Style」をマウスで操作するだけ。すごく直感的で使いやすいですよね。
▼ここがすごい!
- セットアップが一瞬で終わる。色々な楽器用の設定(プロファイル)が収録されているので、汎用的に使える。
- コンプの設定にこだわりたい人は、通常のコンプのスレッショルドやリリースタイム等の調整ももちろん可能。
- (玄人向け)2,000以上の可変的なマルチバンド・コンプレッション。必要な時に必要な帯域へ圧縮をかける「スペクトラル・コンプレッション」で、違和感のないコンプレッションが可能。
この製品のメーカーであるsonible社は、コンプの他にもEQ/リバーブ/リミッターなどにAIを組み込んだ同系統の製品が展開されていますので、ぜひご覧ください!
【ボーカルミックス部門】WAVES社『JJP Vocals』
自宅でのボーカル収録も増えた現在、歌を録って自分でミックスしたい!という方もいるのではないでしょうか。収録したボーカル素材の場合、これまで紹介してきたようなEQやコンプ、リバーブなどと複数のエフェクトを組み合わせる必要があり、やることが非常に多いです。
そんなボーカルミックスのややこしいエフェクト類がこれ1つで済んでしまう、『JJP Vocals』のご紹介です。
このプラグインを使えば、数々の有名歌い手/MIX師お墨付きの、日本の音楽に完璧にマッチするボーカルサウンドが得られます。
男性ボーカル用(MALE)のプリセットが2種類、女性ボーカル用(FEMALE)が1種類搭載されているので、迷ったらとりあえずここからセットアップを始めれば大丈夫です。ノイズ除去用プラグインの『RX 10 Elements』や『Clarity Vx』を組み合わせてノイズや部屋鳴りを除去すれば、かなり高品質なボーカルになるはずです!
▼ここがすごい!
- 日本のJ-POP、アニソン、ボカロ曲などにピッタリの音質。ボーカルの「芯」を引き出し、しっかりと太くしてくれる。
- ボーカル用に最適化されているので、コンプレッションの深さは「SENS」ノブ1つの設定で済む。
- ボーカルの低域/高域を出したいかによって、予め用意された6つのスライダーを調整するだけでサウンドメイクは完了。
『JJP Vocals』の仕組みや簡単な使い方は、こちらの記事でも紹介しています!
ボーカル処理が一発でキマる、今話題のWAVES『JJP VOCALS』の魅力を“使い方”を元に解剖! »
【トランジェント部門】oeksound社『spiff』
「トランジェント」、皆さんご存知ですか?おそらくあまり聞いたことがないかと思いますが、実はミックスにおいて、使いこなせるとかなり音が変わる要素の1つです。
例えばピアノの「ポーン」という演奏音であれば、「ポ」の「p」の箇所を「トランジェント」と呼び、それをブースト/抑制するプラグインを「トランジェント・シェイパー」と呼んでいます。
なかなか存在感の出ないボーカルの音をより前に出したり、ドラムの音の張りを良くしたい場合などにとても役に立ちます。
『spiff』はちょっと中上級者向けの設定が多いものの、初心者でも安心して使えるトランジェント・シェイパーです。
実は他のトランジェント系プラグインだとプリセットが搭載されておらず、どう使ったら良いのか分からないということも多々あるのですが、『spiff』にはシチュエーションや楽器に合わせた多数のプリセットが予め収録されているので、手っ取り早く効果を得たい方にオススメです。
ちなみに筆者も『spiff』を愛用しているのですが、ボーカルに「Glottal attack boost」プリセットをかけるだけでボーカルの存在感が一気に際立ちます!それ以外の設定をいじることはほぼ無いですし、たまに設定を細かくいじりたい時にもとことん作り込める、非常に使いやすい製品です。
▼ここがすごい!
- 様々な音向けのプリセットが収録されているので、エフェクト初心者でも安心。
- より作り込みたい方は、EQのように特定の帯域のトランジェントを狙い撃ちする形で調整可能。
- マスタートラック向けのプリセットも収録。音にパンチが求められるダンスミュージックなどに使える。
まとめ
ミックスが楽になるプラグイン・エフェクトをご紹介しました!
エフェクトについて1から勉強するのももちろん良いのですが、まずは「このエフェクトを使うとこれぐらい音が変わる」というのを実感し、気になったエフェクトから勉強を進めていくのが一番効率が良いと思います!
特に今回ご紹介した『smart:comp 2』は普通のコンプレッサーとしてもかなり便利に使えるので、まずはAIの機能にあやかりながら徐々に知見を深めていくと、段階的に知識をつけられますよ。
さらにSONICWIREで製品を購入すると、製品の使い方がまとまった日本語マニュアルの他、日本語で質問可能なテクニカルサポート窓口も利用可能。お気軽に気になった製品に手を伸ばしてみてはいかがでしょうか。
プラグイン・エフェクトは「音を整える」役割はもちろん、「音を作る」クリエイティブな目的にも使える夢のあるプラグインです。様々なエフェクトに関する知識を少しずつ得て、是非あなただけのサウンドを作り上げてみてください!
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