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ボーカル処理が一発でキマる、今話題のWAVES『JJP VOCALS』の魅力を“使い方”を元に解剖!

2022年3月24日 16:59 by yuk

有名なクリエイターも積極的に活用していることで、最近話題のボーカル処理エフェクト・プラグイン WAVES『JJP VOCALS』

『JJP VOCALS』自体は正確な発売日の情報が出てこないほど昔にリリースされた製品ですが、今脚光を浴びている理由が何なのか、SONICWIREスタッフが解剖していきます!

Jack Joseph Puigのミキシングテクニックを、ボーカルトラックに。
税込価格 ¥5,940
  • メーカー:WAVES
  • カテゴリ:プラグイン・エフェクト

予備知識

『JJP VOCALS』は、アメリカのエンジニア ジャック・ジョセフ・プイグ(Jack Joseph Puig)氏のボーカル処理テクニックを詰め込んだ、シグネイチャー・プラグインです。

JJP氏はU2、ブラック・アイド・ピーズ、ジョン・メイヤー、レディ・ガガ、ベック、ローリング・ストーンズといった著名なアーティストを手掛けており、2度のグラミー受賞歴を誇るエンジニア界でもレジェンド的な存在です。

「所詮便利プラグインでしょ?」とシグネイチャー系プラグインに懐疑的な筆者が『JJP VOCALS』を実際に使ってみると、そんな先入観を簡単に払拭する驚きのプラグインでした。

結論から言えば、楽器トラックに埋もれない「抜けの良さ」と「太さ」を両立したボーカル・サウンドが欲しい人にお勧めできる逸品です。その理由を紐解いていきしょう。

クイックスタート

詳しい解説に入る前に、先ず製品の簡単な使い方を見ていきましょう。製品は以下のようなGUIになっています。

使い方

  • 画面下部の「Male(男性)」「Male 2」「Female(女性)」からマッチするものを選択
  • LEDインジケーターが黄色になるように「SENS」を調整
  • 「SENS」下の“メインセクション”で大まかに音色を調整
  • フェーダーが並んでいるセンター・セクションで音作り

このようにコンプレッサーのスレッショルドのような難しい設定は一切なく、直感的に操作できる設計になっています。

これだけのパラメーターで、如何にしてJJP氏のミックス・テクニックを再現しているのか、詳しく説明していきます。

解剖

『JJP VOCALS』をより使いこなすために、また魅力を知るために動作について詳しく見ていきましょう。

『JJP VOCALS』は、以下の図のようにメインセクション(LOWS、HIGHS、DE-ESSER、COMP)を通った音がそれぞれのフェーダーに流れていくような信号経路になっています。

各フェーダーはJJP氏により綿密に組み上げられたコンプレッサー、EQ/フィルタ、リバーブ等のエフェクト・チェインが組み込まれており、最終的にこれらがミックスされる形になっています。

原音(MAIN)を含む6つの処理を並列に構成しているこの処理形態は「パラレル処理」と呼ばれるもので、本当は6トラックを必要とする複雑な処理をプラグイン一つで実現しています。

各フェーダーで処理されるコンプレッションの深さは「SENS」で一括設定できる形になっているため、抑揚が欲しい時は SENS を低めに、ガッツリ潰したい時は SENS を高めに設定するのが基本的な使い方になるでしょう。

各フェーダーが狙う効果はマニュアルにも具体的な記載はありませんが、凡そ以下のような印象です。

  • MAIN: 原音。これに他のフェーダーを追加していくように使うと迷うことなく使えます。
  • MAGIC: コンプレッサー+高域ブースト+リバーブ。これを付加すると抜けの良い音になります。
  • SPACE: コンプレッサー+ディレイ+リバーブ。残響感を付与します。
  • ATTACK: コンプレッサー。アタックタイムが遅めなようで、アタック成分が強調されて聞こえます。
  • ATTITUDE: コンプレッサー+低域ブースト。太さを付加でき、しっかりとしたボトムを形成できます。(筆者お気に入り)
  • PRSNCE: コンプレッサー+高域ブースト。パンチのある高域を付加します。シルキーというよりもザラっとした印象です。

これらをミックスすることにより、アメリカのヒットチャートで聞かれるような太くも抜けの良いボーカル・サウンドが得られるようになっています。

原音である「MAIN」以外は全てコンプレッサーがかかっており、パラレル・コンプレッションを形成します。パラレル・コンプレッションは“ニューヨーク・コンプレッション”とも呼ばれるテクニックで、これによりアメリカンなボーカル・サウンドが得られる仕組みになっているようです。

デフォルトの状態は派手なかかり具合ですが、少し太さが欲しい時に「MAIN」に「ATTITUDE」だけを少し追加してあげるような、隠し味的な使い方にも非常に有用です。

まとめ

『JJP VOCALS』は「太さが欲しい」「パンチが欲しい」といったイメージをフェーダー一発で解決してくれる、非常に使い勝手のよいプラグインでした。

複雑なパラレル処理をユーザーに悟られない形に落とし込んでおり、各処理もJJP氏のノウハウが詰め込まれているため、あらゆるボーカリストを折り紙付きのクオリティで仕上げられる点が魅力です。

日本の音楽は存在感のあるボーカルが求められる傾向にあるため、リリースから長らくたった今、話題になっていることも頷けるプラグインでした。

ボーカルトラックに「抜けの良さ」と「太さ」を求めている方は、是非お手に取ってみてください。

Jack Joseph Puigのミキシングテクニックを、ボーカルトラックに。
税込価格 ¥5,940
  • メーカー:WAVES
  • カテゴリ:プラグイン・エフェクト