【製品ピックアップ】クリエイターにおすすめのピアノ音源6種を徹底比較!
最終更新:2023年10月27日(金)
今回は比較的お求めやすい価格帯の製品から、シチュエーション別でおすすめのピアノ音源6種を比較していきます!
それぞれの音源の特徴や機能についても見ていきながら、以下の演奏MIDIデータをそれぞれの音源に割り当てた実際のサウンドも交えてご紹介します。ピアノ音源の比較に是非ご活用ください!
今回使用する比較用演奏
※上記演奏はLogic Pro X 標準音源「Yamaha Grand Piano」を使用しています。
※より詳細な比較のため、ヘッドホンを使用した視聴を推奨いたします。
- とりあえずそれっぽいピアノフレーズが欲しい。ピアノ&作編曲初心者に。
1. TOONTRACK『EZ KEYS 2』 - コスパ最強&低価格!細かい音質調整でこだわりたい人に。
2. WAVES『GRAND RHAPSODY PIANO』 - 普通のピアノ音源じゃ物足りない!独創性を兼ね備えたオルタナティブ音源
3. E-INSTRUMENTS『SESSION KEYS GRAND S』 - リアリティを極限まで追求。世界最大サイズのグランドピアノ音源
4. VIENNA SYMPHONIC LIBRARY『SYNCHRON FAZIOLI F308』 - 日本が誇るヤマハ社最高峰の、クリアなグランドピアノ・サウンドをその手に
5. GARRITAN『GARRITAN CFX CONCERT GRAND』 - あなたの求めるピアノ・サウンドを作り上げる音源
6. SONICCOUTURE『HAMMERSMITH PRO』
1. TOONTRACK『EZ KEYS 2』
こんな音色です
プリセット「Basic」を使用
- 程よい倍音によって厚みが加えられた、正統派ピアノ・サウンド
- 比較的大きめな楽器隊の中で、特にピアノがバッキングに徹している楽曲に最適
こんなジャンル・使い方におすすめ!
- ポップス
- ロック
- バッキングとしてのピアノ演奏
こんなシーンで使えます!
- DTM初心者だけど、ピアノ音源に興味がある or ピアノを使った曲を作ってみたい
- 作曲や演奏はまだ苦手だけど、作りたいジャンルに最適なフレーズが欲しい
『EZ KEYS 2』は、EZシリーズで知られるTOONTRACK社によるピアノ音源です。
各ジャンルに合わせたピアノフレーズが予め収録されており、マウス操作のみの簡単オペレーションでオリジナルの演奏が完成してしまうのは他製品に無い強みと言えるでしょう。コードの組み換えもクリックのみで行える他、初心者にとって難関の1つであるコード進行を提案してくれる機能を備えており、制作のハードルを下げてくれる製品です。
本体に収録されている音色やフレーズだけでは物足りない場合は、音色+フレーズを拡張する「EKX」またはフレーズを拡張する「KEYS MIDI」をお買い求めいただくことで追加できるため、フレーズ作りにまだ慣れていないDTMerにおすすめしたい製品の1つです。
2. WAVES『GRAND RHAPSODY PIANO』
こんな音色です
プリセット「Studio B」を使用
- 1音1音の透明感と澄んだような高音と短めのサステインが特徴。ルーミーな響きのあるサウンド
- 内蔵されているエフェクトやプリセットを使うことで、色々な音に化ける。様々な空間をシミュレート可能
こんなジャンルにおすすめ!
- ポップス
- ジャズ
- その他設定次第でオールマイティーにお使いいただけます
こんなシーンで使えます!
- とにかくコスパ重視!安くて良い音源が欲しい
- マイキング設定を駆使して、音質を自分好みに組み上げたい
- 安価な製品でもダンパーノイズや鍵盤を離した際のノイズなど、リアリティのあるサウンドを追求したい
プラグイン・エフェクトで圧倒的に有名なWAVES社による、プロフェッショナル用グランドピアノ・Fazioli F228をサンプリングした『GRAND RHAPSODY PIANO』。
「WAVESのソフト音源??」と疑問を抱く方もいらっしゃると思いますが、プラグイン・エフェクトに負けず劣らず、折り紙付きのクオリティを備える音源です。
本製品最大の特徴は、8種類のマイクポジションを最大3つまで自由にブレンドして、自分好みの音を作り上げることができること。その他の設定も組み合わせることで様々な環境をシミュレートできる可能性を秘めており、都度楽曲に合わせた精緻なセッティングが可能です。
EQやリバーブ、ディレイ、フォルマントシフターなど、内蔵しているエフェクトには全て同社が展開している高品質なモジュールを採用しているため、サウンドがブレるようなことはありません。それぞれがピアノのサウンドを邪魔しない形で自由に組み合わせることが可能です。
さらにはペダルを踏んだ際のダンパーノイズ、鍵盤を離した時に発生する生ピアノ特有のノイズなど、ピアノ奏者であれば「あるある」と言えるリアルなノイズを自由に制御可能。これらの設定を含めたプリセットも多数揃えているので、音作りが苦手な方でも様々な音でリアルな演奏・制作が楽しめるピアノ音源です。
- メーカー:WAVES
- カテゴリ:ソフト音源
3. E-INSTRUMENTS『SESSION KEYS GRAND S』
こんな音色です
通常の演奏
少量のリバースを加えた演奏
- Steinwayのグランドピアノの特徴でもある、豊かな倍音による温かさと深みを持つ音
- 打弦感が強く、柔らかい音の立ち上がり
- ピアノ・ソロ曲で本領を発揮する、耳に心地良い開放感のある高音
こんなジャンルにおすすめ!
- ジャズ
- ポップス(特にバラードなど)
- 落ち着きがあり、ピアノを全面に押し出して「聴かせる」楽曲
こんなシーンで使えます!
- 大人しめの楽曲にカッチリはまる音源が欲しい
- 生ピアノでは再現できない、リバースピアノやピアノ内部の機構の音をメインにしたサウンドが欲しい
- 比較的低価格で良い音を押さえたい
E-INSTRUMENTS社のインスピレーションが刺激されるピアノ&キーボード音源「SESSION KEYS」シリーズの中から、『SESSION KEYS GRAND S』をピックアップ!
コンサート用グランドピアノ「Steinway D4」のサウンドをもとに作られた、ピアノ音源の中では軽量(5GB未満)ながらも2つのマイクセッティングの音源を収録した充実のライブラリです。Steinway特有の豊かな倍音が特徴で、非常に温かみのある音になっています。
また本製品には他の音源では得られないユニークな機能が数多く備わっています。ピアノ内部のハンマー音、ペダル音などに着目したピアノの機構自体のサウンド、またリバースピアノ・サウンドなどのアンビエント系の音が得られるペンターモーフ機能を使用すれば、奇抜なサウンドによって独特な世界観を作り上げられます。加えて、演奏に不可欠なピアノフレーズやコードを作り出すセッション・アニメーターやスマート・コード機能を搭載し、制作だけでなくパフォーマンスにも柔軟に活用できます。
低容量・低負荷のため非常に扱いやすく、なおかつオリジナリティも出せるニュータイプな音源の1つです。
- メーカー:E-INSTRUMENTS
- カテゴリ:ソフト音源
4. VIENNA SYMPHONIC LIBRARY『SYNCHRON FAZIOLI F308』
こんな音色です
チューブ/リボンマイクを中心に調整したマイキングを使用
- 本物のピアノを立体的に感じられる、他の追随を許さぬリアリティ
- 「308cm」という世界最大の奥行きを活かした、ズッシリと安定した濁りのない低音
- 「4つ目のペダル」を使用すれば、弱い打鍵でも粒立ちの良い音に
こんなジャンルにおすすめ!
- クラシック(オーケストラ)
- その他ポップスなど幅広いジャンルで、ピアノもしっかりと聴かせたい楽曲
こんなシーンで使えます!
- しっかりした土台の低音が欲しい
- ルームサイズの大きな環境をシミュレートした音源が欲しい
- ピアノの「生」感をしっかり感じたい
世界最高と名高いSynchron Stage Viennaの広大なスコアリング・ステージ「Stage A」にて、徹底した録音環境の下で“世界最大サイズ”とされるグランドピアノ「FAZIOLI F308」を収録した『SYNCHRON FAZIOLI F308』。
なんと言っても驚くべきはそのサウンドのリアルさ。収録環境にこだわり抜いたピアノ音源は数多く存在し、そのどれもが素晴らしいクオリティを誇ります。しかし本製品は、その中でも他の追随を許さぬリアリティを持つ音源と言えます。
実際に演奏を行っていても、「今、目の前にピアノがある」と一番感じさせてくれた音源は、ダントツでこの製品でした。ピアノのボディや弦の振動を立体的に感じられるそのサウンドは、どんな繊細なパッセージも弾き手の意図するままに表現してくれることでしょう。
J-POPのようなリバーブの少ないクローズな音響で使用する場合、少しお値段は張りますが、EXTENDEDライブラリ(追加ライブラリ)に収録されているクローズ・マイク(チューブ/リボン)をメインに据えてご調整いただくのがおすすめです。また「RS Level」という項目をご調整いただくことでリリースサンプルが無理なく控えめに設定され、どんなジャンルでも実用的なサウンドになります。
飯田俊明氏による、本製品をなるべくドライな設定で使用する実例をご紹介している記事にもご注目ください。
【関連記事】
- メーカー:VIENNA SYMPHONIC LIBRARY
- カテゴリ:ソフト音源
5. GARRITAN『GARRITAN CFX CONCERT GRAND』
こんな音色です
プリセット「Classic」の「Solo Piano 1」を使用
- とにかくクリア。低音~高音まで全ての音が主役とも言える、しっかりした立ち上がりのサウンド
- 打鍵を強めるほどずっしりとした軸のあるサウンドへと変化
- 全てのジャンルの楽曲に高い品質でピアノの音を加えられる、逸品レベルの音質
こんなジャンルにおすすめ!
- ポップス
- ジャズ
- その他オールマイティにお使いいただけます
こんなシーンで使えます!
- 楽器隊の中でピアノの存在感をアピールさせたい
- 出音や音の輪郭が明瞭なピアノ音源が欲しい
オーケストラ音源などを展開するGARRITAN社による、YAMAHA CFXをサンプルした音源『GARRITAN CFX CONCERT GRAND』。
言わずと知れたCFXが持つ明瞭さと、特に強い打鍵で得られる迫力を忠実にキャプチャーした音源です。聴く人の心に感動をもたらすくっきりとした輪郭のサウンドは、バッキング、ピアノ・ソロなど用途を選ばずあなたの楽曲へ彩りを加えることでしょう。大きい楽器隊の曲の中で演奏した場合でも存在感が損なわれない、サウンド自体の強さが表れる音源です。
同音源には、「Classic」「Contemporary」の2つの異なるマイキングで録音されたプリセットの数々に加え、プレイヤー視点でのマイキングとなる「Player」も収録。演奏者としても非常にリアルな音を聴きながら演奏ができます。
6. SONICCOUTURE『HAMMERSMITH PRO』
こんな音色です
クローズマイクのみを使用
- 21段階のベロシティレイヤーで、実際のピアノのキータッチのレスポンスに忠実な音
- 豊富なエフェクトでサウンドを自在に調整。あなたの思うがままの音を生み出せます
- 弾けるようなサウンド&サステインが長いため、くっきりとした存在感が得られるサウンド
こんなジャンルにおすすめ!
- どのジャンルに使うかはあなた次第!3種のマイク・ポジションと豊富なエフェクトで、いかようにもお使いいただけます。
こんなシーンで使えます!
- ピアノの音を生かした、個性溢れるサウンドが欲しい
- ピアノの音を自分好みにとことんアレンジしたい
- オールマイティに使えるピアノ音源が欲しい
「Model D」でも知られるグランドピアノ「Steinway D-274」をキャプチャーした音源、SONICCOUTURE社の『HAMMERSMITH PRO』。
何と言っても特筆すべきはそのサウンドのカスタマイズ性の高さと、サンプリングへのこだわりでしょう。3つのマイキングを収録しており、これらは自在にオン/オフ&バランス調整が可能です。
画像だけだと非常にシンプルなGUIに見えるかもしれませんが、設定ボタンやエフェクトタブを開くと、EQやバスコンプ、コンボリューション・リバーブ、コーラスなどピアノを使った音楽制作に欠かせないパラメーターがズラリ。加えてテクスチャ機能も搭載されているため、敢えて「生」感から遠ざけたような音まで作ることができます。
さらに1鍵あたりのサンプル数(ベロシティレイヤー)はなんと21段階。それ故にキータッチへのレスポンスも実際のピアノに限りなく近いものになっており、演奏の充実度もトップレベルと言えるでしょう。
キーオフ時のノイズやルームノイズ、ダンパーノイズなども追加できるので、どんな楽曲にもピッタリと合うサウンドを作れます。低価格帯の音源からアップグレードしたいという方の一品目におすすめです。
筆者は普段の制作にもほぼ毎回使っているほどYAMAHA CFXのサウンド推しのため、どうしても『GARRITAN CFX CONCERT GRAND』に夢中になりがちですが、CFX以外だと『HAMMERSMITH PRO』が奏でるSteinway D-274の音が特にお気に入りでした!演奏の満足度が非常に高いことは勿論、充実したエフェクト群のおかげでサウンド・エディットの幅が驚くほど広く、1日触っていても飽きないと断言できます。音色が変わる度にインスピレーションが湧いてくるので、鍵盤演奏を軸に作編曲をしている方には非常におすすめです。
ピアノはメーカーによって作り方が異なっているため、それぞれがユニークな特徴を有しています。楽曲の特徴やジャンルによって最も映えるピアノの種類は変わるため、それぞれ異なるモデルを収録したピアノ音源を複数持っておいて制作時の選択肢を用意しておくのがおすすめです。
またピアノ音源の醍醐味は、制作の中に取り入れることはもちろん、演奏することもその1つと言えるでしょう。今回紹介した音源の中にも、演奏者視点のマイキングを行うことで、実際にピアノの前に座って演奏しているかのような臨場感を得られる音源もあります。特に、ピアニストにとって高価なプロフェッショナル用のグランドピアノの音で演奏を心ゆくまで楽しむのは、1つの夢でもあるのではないでしょうか。
制作も演奏も存分に楽しめるピアノ音源は、今回ご紹介したもの以外にも多数取り揃えています。是非皆さんのお気に入りの製品を見つけてみてください!