2台目のシンセ、迎える?「相棒シンセ候補」5選
長らく楽曲制作でシンセサイザーを使い込んでいくと、「自分の音作りの特徴」や「使用しているシンセが持つキャラクター」が見えてくると思います。
自身のスタイルが確立されていく喜びがある一方で、どこか新鮮味を感じられなくなったり、「いつもと雰囲気を変えてみたい」と感じたりした時は、メインで愛用しているシンセとは別に「頼れる相棒」を新たに導入してみるのがおすすめです。
今回は、5つの人気シンセにスポットをあて、2台目として迎えた瞬間、あなたのトラックメイクがどう進化するのか、その「絶対的な導入メリット」を紹介いたします!
Xfer Records / Serum 2
どんな楽曲にも確実に居場所を作る、圧倒的な「視認性」と「即戦力フォルム」
✏2台目としての導入メリット
どれほどメインシンセが良い音でも、「今、内部でどんな音作りが行われているか」が直感的に見えなければ、制作のテンポは落ちてしまいます。『Serum 2』の視認性抜群な2D/3Dウェーブテーブルによって得られる、目的のサウンドに最速で辿り着けるワークフローは、音色作り、ひいては楽曲制作においてストレスフリーな環境を提供します。
埋もれたディテールを引き出す高解像度なレイヤー補正
アナログモデリングや、太く温かみのあるシンセを使っている場合、中低域が豊かになる反面、音が少し「こもる」「輪郭がボヤける」という現象が起きがちです。『Serum 2』は、高音域がどれだけ強調された音色であっても、一切の濁りがない高解像度で透明感のある音質が強みです。温かみのあるサウンドに、『Serum 2』で作成したクリアなノイズやピュアなサイン波をアタック音としてレイヤー(薄めでOK)することにより、メインのキャラクターを活かしつつ、現代的な輪郭と前に出るアタック感を補強する事ができます。
機動性を活かした役割分担
膨大な機能やプリセットを搭載するシンセをメインに使っていると、時に迷走状態に陥り、制作のモチベーションが下がってしまうことがあります。曲作りの初期段階では、あえて画面が明快な『Serum 2』だけでベース、リード、コードなどの最低限の骨組みを最速で構築し、楽曲の展開が見えてきた段階でメインシンセに差し替えていくワークフローもおススメです。「アイデアの熱量を下げずに、曲のスケッチを最速で完成させる」ためのプロトタイプ機として、メインとの役割分担を果たします。
超強力な外部エフェクター
『Serum 2』の真価は、オシレーターだけではありません。業界最高峰のクオリティを誇る「内臓エフェクトセクション」は、Serum以外の音源にも使用可能。製品に付属する独立したプラグイン「Serum 2 FX」をメインシンセのトラックにインサートする事で、メインのキャラクターを活かしたまま、『Serum 2』の超強力なエフェクト群を贅沢にパッチング。「メインとサブの長所を掛け算した新しいサウンド」を手軽に生み出せます。
Vengeance Sound / Avenger 2
楽曲制作のスタートからゴールまでを導く敏腕アドバイザー
✏2台目としての導入メリット
「サウンドを何個重ねても、プロのようなバキッとした音圧が出ない」という悩みを抱えているなら、『Avenger 2』の出番です。最初から、極限までビルドアップされた「完成された音」を扱う事ができる『Avenger 2』では、鍵盤を1つ押すだけで、ドラム、ベース、シンセコードで構築されたハイクオリティなシーケンスパターンを鳴らすことも可能です。 初心者にとっては「音楽的な構造」が学べる教科書として、中上級者にとっては「アイデア出しのタタキ(草案)」としてクリエイティビティをサポートし、楽曲制作スピードを爆上げしてくれます。
トラックを「プロ基準」に底上げ
メインシンセでコードやメロディを作ったものの、どこか物足りない…。そんな時、『Avenger 2』の強力な内蔵シーケンサーを隠し味的にレイヤーするだけで、トラック全体の密度、グルーヴ感が上がり、新しいヒラメキをもたらしてくれます。
躍動的なグルーブ連携
『Avenger 2』のLFOやモジュレーション・エンベロープには、緻密に計算された豊富なトリガーモードが搭載されています。メインシンセの複雑なコードワークや手数の多いリズム演奏に対し、Host(DAW)のテンポや小節の頭に追従したサイドチェインを設定すれば、メインシンセのキャラクターに『Avenger 2』ならではの爆発力のあるボトムエンドと、躍動感溢れるモダン・サウンドの効果を与える事が可能です。
トレンドを逃さない拡張性
月1ペースでリリースされている『Avenger 2』の拡張パックでは、特定のジャンルにフォーカスした最新のアプローチを取り入れる事ができます。サウンドデザイナーManuel Schleis氏ら精鋭プロデューサーによる、現在(いま)のトレンドを押さえたミックス、エフェクト処理、マクロ設定が完璧にアサインされている為、慣れないジャンルの制作時に重宝するだけでなく、メインシンセのアレンジを強化するための、最新のリファレンスとしても機能します。
Spectrasonics / Omnisphere 3
膨大なサウンドライブラリーが手に入る「一生モノ」のシンセ
✏2台目としての導入メリット
『Omnisphere 3』といえば、何と言っても40,000種にも及ぶ「一生かかっても使いきれない」圧倒的なサウンドライブラリーが魅力。文字通りパソコン内に巨大な図書館を常駐させるような、あらゆる要求に対応できる引き出しの多さで、制作環境を劇的にアップデートします。シンセサウンドのみならず、ユニークかつ希少なサンプルも膨大に収録しており、生楽器音をレイヤーした有機的なサウンドデザインも得意とするシンセサイザーです。
表現力を拡張するランダム生成機能
選択した音色をベースに、AI/アルゴリズムが自動エディットを行う「Mutation機能」を搭載しており、従来の音作りとは異なる手法でのサウンドデザインも可能。可変幅を指定できるため、大胆に変容させたり、気に入った音に近づくまで微調整を繰り返す事も可能です。シンセ操作が苦手な方にはもちろん、熟練のクリエイターにとっても予想外のサウンドを提案してくれる優秀な参謀として、表現力を高めてくれます。
強烈な加工も可能なエフェクト効果
『Omnisphere 3』には100種類近くの高品位なエフェクトが内臓されており、サウンドのキャラクターをガラリと変えるような加工処理も可能なため、様々な要素を求められるゲーム業界のサウンドクリエイターにも好まれています。独立したエフェクト・プラグインとしてDAWにインサートする事も可能なため、『Omnisphere 3』独自の限界突破したエフェクト効果を、メインシンセのサウンドにも注ぎ込むことができます。
独自の手法による調律破壊
『Omnisphere 3』には、すべての倍音の周波数を「一律のHz(ヘルツ)で強制的に足し引きしてズラす」という、実験的なアナログ回路を再現した特殊な変調を行うエフェクト、Dual Frequency Shifterが搭載されています。倍音の比率が意図的に心地よく崩れる(不調和になる)ことで、ヴィンテージのテープが激しく劣化して揺らいでいるような有機的な揺らぎを表現したり、深くかければ金属質で退廃的なシネマティック・サウンドへと変貌させたりが可能。メインのシンセにかける事も可能で、元のサウンドが直線的でデジタルっぽいサウンドであればあるほど、美しい立体感と個性を与える事ができます。
Reveal Sound / Spire
過密なミックスも一撃で突き抜ける、驚異の「抜け」と「存在感」
✏2台目としての導入メリット
『Spire』が「過密なミックスでも絶対に埋もれず、輪郭がクッキリ際立つ音」を出せるのは、単なる気のせいではありません。「高域が濁らないようデジタル処理のアルゴリズムが最適化され オシレーター」「不要な帯域を引き算するフィルターアルゴリズム」、そして「アタックを殺さずに音圧を爆上げする内蔵X-Comp」という、徹底したフロント特化型の設計が組み込まれた明確な理由に基づいており、「ここぞ」という場面での役割を完璧にこなしてくれます。
目立たせたい場面で『Spire』にスイッチ
楽曲内で最も目立たせたいサビのメインリードや、スピード感のあるアルペジオサウンドに『Spire』を起用すれば、アレンジに劇的なダイナミクスを与える「特攻隊長」として活躍させることができます。サウンドが埋もれる事で苦労していたEQ調整から解放され、アレンジ作業そのものに100%集中できるようになります。
ピンポイントでも光る存在感
メインシンセにヴィンテージ系のアナログモデリング・シンセを使っていると、アナログ特有の「ピッチの微細な揺らぎ(ドリフト)」が心地よい反面、ベースやリードとして鳴らしたときにアタックの瞬間のピッチがほんの少しボヤけ、スピード感が落ちる弱点があります。そういった場面では、『Spire』でアタック成分のみ、あるいはオクターブ上の音を重ねるのがおすすめです。『Spire』の極めて正確で鋭いピッチ感が「芯」として機能するため、メインシンセが持つ暖かみのある太さを活かしたまま、J-POPやダンスミュージックに必須の「俊敏で遅れの出ない、現代的なスピード感」をプラスする事ができます。
欲しい要素を指定するだけ
『Spire』のVer.1.5.17より、音色生成サービス「Reveal Sound AI」がベータ版として搭載されました。いくつかのカテゴリーを設定するだけで、手癖に依存しない完全オリジナルの音色が数秒で自動生成されます。極端なハズレ値が排除されている設計のため、メインシンセで足りていない要素(アタック感が足りなければ「Pluck」、空気感を足したい場合は「Atmos」など)をカテゴリから指定してあげるだけで、芯のある強靭な『Spire』サウンドで補強・共存させることができます。
KV331 Audio / SynthMaster 3
音作りの限界を完全に撤廃する、無限の音響研究所
✏2台目としての導入メリット
現在メインで使用しているシンセの合成方式が何であれ、『SynthMaster 3』はおそらくその全てを内包し、さらにそれらを最大16レイヤーの「モジュラー構造」で組み合わせることができます。一見無骨で近寄り難い雰囲気を持ちながら、「作れない音はない」という圧倒的な柔軟性は、音作りを究めたいユーザーにとってこれ以上ない頼もしい相棒となります。「これ以上、複雑な音変化は無理だ」と諦めた限界の、その先に行けるシンセサイザーです。
豊富な合成方式
『SynthMaster 3』は、アナログ、ウェーブテーブル、FM、フェイズモジュレーション、Vector、グラニュラーなど、現代に存在する様々な合成方式を網羅しています。メインシンセに構造上「苦手とする領域」があれば、『SynthMaster 3』がその弱点を完全に打ち消し「死角ゼロ」の制作環境を構築します。
オリジナルをデジタル粉砕して再構築
『SynthMaster 3』のグラニュラー・オシレーターが細分化可能な最大値は、計算上「512グレイン」となっており、他社シンセの追随を許さない超高密度でシルクのような滑らかさを実現します。 メインのシンセで鳴らした適当なコードやフレーズを一度オーディオ化(バウンス)し、それを『SynthMaster 3』のグラニュラーに放り込めば、音を粒子状にバラバラに分解して引き延ばしたり、逆再生でうねらせたりが可能。元の質感を微かに残したまま、誰も聴いたことがないサウンドへリサイクルできます。
未知なる音響ルーティングを実現
一般的なシンセでは、信号の通り道(ルーティング)が限られているため、その自由度には限界があります。『SynthMaster 3』では、レイヤーごとに最大16個のモジュールを自由に配置・結合できる独自のモジュラー構造を採用しているため、オシレーターの音響信号を別のモジュールの制御信号へ叩き込むようなマニアックなアサインも思いのまま。創造的かつ先鋭的なインパクトをもって、メインシンセの背中を強烈に支えることができます。
慣れ親しんだメインシンセは頼もしい存在ですが、人間はどうしても「そのシンセが得意な音」や「手癖のフレーズ」に縛られてしまうものです。2台目のシンセを迎える究極のメリットは、新しい音響エンジンやAI機能、マニアックなルーティング等に触れることで、「自分の中に新しいインスピレーションの風が吹くこと」なのかもしれません。
今回ご紹介した5つのシンセは、どれも独自のキャラクターと、圧倒的な「一芸」を持った主役級の音源ばかり。あなたの制作スタイルに、決定的な「強み」をプラスしてくれる至高の1台を選び抜いてください!
folder NEWS, SONICWIREニュース
label AVENGER, SERUM, SYNTHMASTER, シンセサイザー












