【ボカロP必見】挿すだけで音が良くなる話題プラグイン『The God Particle』活用術【Rulmry./めろくる/やま△】
皆さんはマスタートラックに何を挿していますか?
iZotope『Ozone』やFabFilter『Pro-L 2』といった定番マスタリングツールがある中で、近年「挿すだけで音が完成する」とSNSを中心に話題になっているマスタリング・プラグインがあります。
その名も、cradle『The God Particle』。
BTS、アリアナ・グランデ、ビヨンセなどの楽曲を手掛ける著名ミキシング・エンジニアの「複雑なエフェクト・チェーン」を、一つのプラグインに凝縮した逸品です。
本製品は、同氏が普段から活用する”いつもの設定”を、起動時に呼び出します。このため、細かな設定に悩まずに楽曲のクオリティを一段上げてしまう、いわば「挿すだけで音が良くなるプラグイン」になっています。
今回は『The God Particle』を日本のクリエイターが使った「生の声」を知るべく、ボカロPとしてご活躍中の、Rulmry.さん、めろくるさん、やま△さんに本製品をご使用いただき、使い勝手をレビューしていただきました。
目次

初めまして、Rulmry.(るりまる)です。普段はファンク、ディスコを中心に制作しています。プロジェクトセカイに「Disco No.39」が収録されているので是非遊んでみてください。

聞く人の日常がちょっとだけ明るくなる。見える景色がちょっとだけ鮮やかに映る。未来がちょっとだけ楽しみになる。そんな音楽を作っています。めろくるです。特にレトロな音楽やメロウな音楽が大好きです。

初めまして。普段はひとしずく×やま△という名義で活動している二人組ユニットの片割れで、やま△と申します。VOCALOIDを使った楽曲制作を行うことが多く、私の主な担当は楽曲アレンジやミックス・マスタリング等です。

「God」の名前に恥じない美しい「Particle」が煌めく、映えるプラグインだなというのが初見の印象です。ハッブル宇宙望遠鏡の撮影した画像を彷彿とさせ、思わず見入ってしまう素晴らしいユーザーインターフェースです。
『The God Particle』を挿した瞬間、曲全体の印象が変わります。低域にはパンチが、高域には煌びやかさが出て、併せてステレオ感が増した印象を受けました。
ただ、デフォルトでリミッターがかかっているため、音量が上がることで良くなったと錯覚しやすい点には注意が必要です。ミックスをしっかりと詰めた状態でこのプラグインを使うとより効果的だと思います。
EQは大きく動かしても耳が痛くなるような上がり方をせず、個人的にかなり好みの質感です。特に「Low」に関しては低域のパンチ感を無理なく調整できて非常に良かったです。本来は微調整向きのセクションかもしれませんが、思い切ってここで派手にしてしまうのもいいんじゃないでしょうか。
「Amount」は回せば回すだけ中央の煌めきが強まり、立体的な変化を感じました。0% / 200%で聞き比べると、低域から高域にかけて、特に中高域が持ち上がってボーカルが前に出てくる印象ですが、キンキンするわけではないので高域でもハットとか歯擦音に関わる帯域は持ち上げてないのかなと感じました。楽曲によりますが、200%でも不自然すぎることはないので、結構攻めても良いのかなと感じました。
「Limiter」は、結構好きな音量の上がり方をするのでついグイッと回しがちになってしまいます。拘りのある方はあえてここのリミッターを使わずに、後段で自分の好きなリミッターを使ってもいい気もします。
『The God Particle』適用前
『The God Particle』適用後

『The God Particle』はリリース当初からずっとスタメンで使い続けています。まず、挿しただけで音がシャキッとするのでとりあえずマスターに挿しておくだけで音選びやプリミックスがとても捗ります。音が戦う顔になるんですよね。
性格的にUIがごちゃごちゃしていると脳のリソースを使ってしまうので、ミックス関連のプラグインはシンプルな方が好きです。作曲にリソースを割きたいんですよね。『The God Particle』は、まさに挿すだけでもOK、真ん中の「Amount」をいじるだけでもOKという感じで、とても私の制作スタイルにマッチしています。

まず初見の印象は「わかりやすい」です。「Attack」や「Release」といった難しい設定項目はなく、プラグインを立ち上げて「Amount」を好みに設定するだけ。EQもかかり方は控えめで、使用してもそんなに破綻することはありませんし、私は普段から2mixの段階で作り込むことがほとんどなので、今後もあまり触らないかもしれません。
サウンド面においては、通しただけで高域が少し強調されるような質感ですが、原音を損なうようなものではなく、12~13kHzあたりの空気感を勝手に持ち上げてくれる、そんな印象です。「Amount」を100%にすると、確かにJaycen Joshua氏のような質感が色濃くなってしまいます(それはそれで全然いいのですが)。「Amount」を控えめに設定することで、自身のサウンドキャラクターを保持しつつ、アンビエントを持ち上げてワイドな響きにしたいときなどに重宝しそうです。
『The God Particle』適用前
『The God Particle』適用後

僕がもしこれを制作に導入するなら、まずコンプやテープ・シミュレーターなどでノリや質感調整をした後、『The God Particle』の「Limiter」をオフにした状態で質感調整し、最後に好きなリミッター、マキシマイザーで微調整すると思います。
ただ、実際のところオールインワンを謳っているため、コンプやテープシミュレーターでノリや質感を作った後に『The God Particle』をかけるだけでも十分納得できる結果を得られると思います。今回の参考音源では後者で処理しました。

軽くEQで調整してから、『The God Particle』で整えることが多いです。場合によっては『The God Particle』の前でもう少し音を作り込むこともありますが、基本的にマスタートラックはEQと『The God Particle』のみのシンプルな構成が多いです。
よくやるのは、ボーカルがもう少し欲しい場合などにボーカル側のフェーダーを上げるのではなく、『The God Particle』の「Mid」を少し上げるとボーカルが前に出てきて解決できることがあります。
『The God Particle』で「Low」を調整してもいいのですが、低域の調整には同社の『Orion』との併用をオススメします。Low部分をより細かく調整できるようになります。

今回は敢えて最終段、いわゆるマキシマイザーのような使い方をしてみました。というのも、搭載されているリミッターが思ったよりクリアで透明感があったので、2mixの段階でほとんど作り込んでしまい、最後に『The God Particle』で音圧を稼ぐといった使い方でも全然問題ないと感じたからです。今後はマキシマイザーの選択肢の候補の一つとして運用していければなと思います。

オールインワン性と簡単な操作性だと感じました。全てのパラメータが簡単に調整できるのは、初心者から上級者までとても嬉しい要素ですね。
複数のプラグインを組み合わせて細かくマスタリングをするのも楽しいですが、これ一つ+αでバチっと決まるのはとても良いと思います。+αについては前段にコンプ類、後段にリミッター等を別でかけても良いと思います。

挿すだけでも整うプラグインですので、ラフミックスを作る際に特に役立ちます。
「Output」を決めて「Limiter」部分を気持ちの良いところまであげてバウンスする。シンプルなこのパターンを一番使いますし、他のプラグインではこのような作り込み過ぎず、スッピン過ぎないちょうど良い塩梅を作るのがとても難しいと感じます。

公式のマニュアルにも記載されていますが、「Input」と「Gain Reduction」に表示されている緑色のターゲットが非常に便利です。視覚的な基準点を明確にすることで迷うことなく処理ができるので、ミキシングの補助として大変有り難いと思いました。もちろん必ずしも踏襲しなければいけないわけではなく、自身のリファレンス曲にも適用してみて、そこから帯域の出方を参考にしていくといった使い方も良いですね。マスタリング用プラグインなのに、このプラグインに到達するまでに迷わずに済む地図を渡されている、そんな感覚です。

どのDTMer/ボカロPにとっても満遍なく扱いやすい仕様になっていると思います。
僕の場合ですが、アコースティック成分の多い楽曲やLo-Fi感のある楽曲だと暖かみが増して、エレクトロ系の楽曲だと煌びやかさとパンチが増しました。幅広いジャンルで効果が期待できると思います。

基本全ジャンルの方にオススメできるプラグインではありますが、私のように「ごちゃごちゃしたのは苦手!とりあえず挿してノブを一つ二つピッてやってシュッとしたら良い感じになるものが良い!」というズボラDTMerさんに特にオススメしたいです。圧倒的時短プラグインです!

私は設定項目が多いごちゃごちゃした見た目だったり、名前からはいまいちピンとこないような表記がなされているプラグインが本当に苦手です。可能な限り細かく設定していきたい方にはあまり向かないかもしれませんが、操作がシンプルで、且つサウンドキャラクターを整えるのにそれなりの効果があるようなプラグインを求めている方には、一つの選択肢としてオススメです。

物語音楽や多人数合唱曲を得意とする、ひとしずくとやま△の二人で活動する作曲家ユニット「ひとしずく×やま△」の編曲・Mix/Mastering担当。
YouTubeチャンネル上でのボカロ楽曲総再生回数は2億再生越え。作詞・作曲・編曲・Mix/Masteringで商業作品への楽曲提供を行いつつ、個人制作のリズムゲーム配信、VOCALOID楽曲の小説執筆など様々な分野で活動中。
■代表作:
- 「Bad ∞ End ∞ Night」シリーズ
- 「秘蜜~黒の誓い~」
- 「Alice in N.Y」
- 「Mr.シャーデンフロイデ」など。
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