#10【超入門】楽曲の表現力をアップ!アレンジ作業の基本的な流れ!
前回の記事では、コード進行の作り方を解説しました。
今回の記事では、楽曲の完成イメージを形にする「アレンジ」の基本的な流れについて解説します。
1. アレンジについて
曲作りにおけるアレンジとは、作曲段階の骨組み状態の曲から、最終的な曲のイメージを形にしていく工程のことです。
例えば、曲の展開に合わせてリズムにグルーヴ感を作ったり、コード進行を担当する楽器をピアノからギターに変更してロック調の曲にしてみたりと、「作った曲をどのように聴かせたいか」に合わせて調整を行います。
作曲(骨組み)状態を確認
まず、前回の記事までに作った骨組みが完成した状態の曲を確認してみましょう。コード進行による展開の変化は多少ありますが、リズムや雰囲気がずっと一定になっているため、どんな曲にしたいのかが伝わりづらく、物語性が薄い状態です。
そこで今回は、以下のアレンジを加えていきます。
- ドラムのフレーズアレンジ
- ピアノのフレーズアレンジ
- ベース音源を追加
- ストリングス音源を追加
- 装飾フレーズ用としてグロッケン音源を追加
アレンジ作業後
この5つのアレンジ作業によって、今回のデモソングをバラード調の曲に仕上げてみました。
展開としては、ゆったりと落ち着いた雰囲気で始まり、5小節目の「階段状のコード進行」をきっかけに、6小節目から徐々に演奏の勢いを増していきます。そして最後は明るく爽快に締めくくることで、たった9小節の中で3段階に表情が変化する構成を目指しました。
2. フレーズのアレンジ
ドラムのフレーズアレンジ
リズム用トラックにはドラム音源を使っていますが、これまでは「基準となるフレーズ」を繰り返していただけでした。ここからは曲の展開に合わせた「ドラムらしい演奏」に作り変えていきます。

コード進行や曲の盛り上がりに合わせて、以下のようなアレンジを加えました。
- コード進行の展開に応じてノートの配置を微調整
- 5小節目からシンバルを追加
- 5小節目以降、2小節ごとの切り替わりにタムのフィルインを追加
- 6小節目からハイハット音を追加
- アクセントとしてスネアドラムを重ねる(ダブリングする)箇所を追加

前半と後半で使用している音数が異なっているのが分かると思います。なお、各アレンジの詳しい内容についてはこちらの記事で解説しています。
ドラムフレーズのアレンジ後
ピアノのフレーズアレンジ
次はピアノのフレーズアレンジです。現状はコードの流れを確認するために「ジャーン」と伸ばしているだけの状態でした。これを、しっかりとした「伴奏」に作り替えていきます。

まずはコード進行を確認するために作っていたピアノのトラックを複製し、ピアノのフレーズアレンジ用のトラックとします。そして、以下のようにアレンジを行ってみました。
- 各コードの構成音を鳴らすタイミングを刻んだり、音数を増やしたりした
- 2オクターブ下の低音を追加した

ピアノフレーズのアレンジ後
完成したフレーズは複雑に見えるかもしれませんが、最初からこの形を想定していたわけではありません。
メロディやドラムと合わせて聴きながら、「ここは物足りないな」と感じた部分に音を足したり、タイミングをずらしたりと、試行錯誤を重ねた結果、この形に辿り着きました。
3. ベースとストリングスを追加
メインとなるドラムとピアノのアレンジが終わったので、さらに楽曲の厚みを出すため、サブ楽器として「ベース」と「ストリングス」を追加します。
ベース音源を追加
低音域を支えるため、ベース音源[GM 034]Electric Bass (Finger)を追加します。
ベース音源のような低音域を担当する楽器は、音を重ねると音が濁って綺麗に聞こえないことが多いため、基本的には単音でコードのルート音(一番下の音)を支えるようにノートを配置します。

ベースは音程のある楽器ですが、低音のリズムをドラムと共に支える役割もあります。そのため、ドラムのフレーズに合わせて単音のフレーズにリズミカルな動きを加えてみました。これで楽曲全体の音域がC0まで広がり、どっしりとした安定感が出ます。
ストリングス音源を追加
次に、空間の広がりを出すため、ストリングス音源「Angel & Strings NoteExp」を追加しました。

ストリングス音源のフレーズは、動きの多いピアノとは対照的に「音を伸ばす」方向性で調整しています。コード進行に沿いつつ、同じ音が続く箇所はつなげて滑らかにするなど、背景として楽曲を包み込むように調整しました。
4. 装飾フレーズを追加
伴奏を構成するメイン楽器やサブ楽器など、曲の土台となるパートとは別に、お遊び的な要素として装飾フレーズを追加してみました。
装飾音は必須ではありませんが、少し加えるだけで楽曲にアクセントが生まれ、聞き手の印象に残りやすくなります。
装飾フレーズ用としてグロッケン音源を追加
装飾フレーズにはグロッケン(鉄琴)音源「Glowing Bright」を使うことにしました。

フレーズ自体はシンプルですが、この音源には最初からディレイ(音を遅延させ、やまびこのように繰り返す)効果がかかっています。そのため、難しいフレーズを作らなくとも曲の雰囲気を引き立ててくれる良いアクセントになります。
5. 全楽器のアレンジフレーズを重ね合わせる
ドラム、ピアノ、ベース、ストリングス、グロッケンの5つのアレンジフレーズを重ね合わせると、本記事の最初に紹介したアレンジ後の曲が完成します。
曲は楽器フレーズの集合体
各パートを単体で聴くと、少しシンプルすぎたり、物足りなく感じたかもしれません。しかし、それぞれの楽器がリズム・ハーモニー・装飾といった「役割」を持ち寄り、パズルのように組み合わさることで、はじめて1つの厚みのある「楽曲」として完成します。
最初から完成形がイメージできていなくても大丈夫です。まずは基準となるフレーズを作り、色んな楽器の音を積み重ねていくことで、だんだんと曲が完成していきます。


