4つ打ちソニコン最優秀賞「がざだば」氏インタビュー【Reason for Creation】
【Reason for Creation】
Reason for Creationは、次世代音楽クリエイターがツクルことを始めた理由について「創作活動」と「日常」の二面から掘り下げていくインタビュー企画です。
今回は、SONICWIRE主催の楽曲コンテスト「ソニコン-4つ打ち- 編」で応募総数867曲の中から厳正な審査を潜り抜け、最優秀賞を受賞した音楽クリエイター“がざだば”氏へ、1stミニアルバム「-ichi-」配信リリースにあたり、ツクルことを始めた理由を伺いました。
「音楽をツクル」ことを始めたきっかけ
– まずは自己紹介をお願いします。
がざだば:「がざだば」という名前でダンス音楽を中心に作曲しています。専門学校でゲーム音楽を学んだ後、現在はフリーで音響の仕事に従事する傍ら、作曲活動をしています。
– 音楽を始めたきっかけは何ですか?
がざだば:ゲームです。昔からポケモンやクロノトリガーなどのRPGが大好きで、ゲームに関わる仕事に携わりたいと思っていたのを家族に話して猛反対されたのがきっかけです。小学生の頃ピアノを習っていたこともあって、ゲーム音楽を作る仕事ならゲームに関われるのではないかと思い、家族を説得して、楽曲制作をはじめました。
▲今でもゲームが大好きながざだば氏。画面のゲームタイトルは2023年8月25日発売の「ARMORED CORE Ⅵ」。
– そこから打ち込みするように?
がざだば:そうですね。ゲーム音楽の専門学校に入ってからは「とりあえず作る練習をしないと!」と思い、ニンテンドーDSの「大合奏バンドブラザーズ」で打ち込み的なものを始めたのですが、入学当初は「DTM」の存在すら知りませんでしたね。そこから徐々に始めていきました。
「日常」と「創作活動」の繋がり
▲がざだば氏の制作デスク。ゲームコントローラーやぬいぐるみ達に囲まれた制作空間には、モニタースピーカーのFOCAL ALPHA EVO 65、オーディオインターフェース STEINBERG UR22C、MIDIキーボード KORG nanoKEY2が並ぶ。
– 創作活動とはどのように付き合っていますか?
がざだば:今はフリーランスで音響のお仕事をいただいているのでそちらを中心にしながら、焦らず、気分が乗ったときなど自分が作りたいタイミングで作曲をしています。
– 曲を作りたいと思う瞬間はどんなときですか。
がざだば:音楽を聴いてるときと、外出をしている時が多いです。「この音かっこいい」「この音、使ってみたいな」と思ったら急に作曲したくなります。
– そう思わせる音には、どんな音が多いですか。
がざだば:たぶん自然の音が多いです。踏切の音が曲とテンポがあってかっこよくなったり、シャッターの閉まる音だったり、物質や情景から急に聴こえてくることが多いです。
▲仕事で使用するイヤホンはAZLA AZEL Edition G。バランスよく綺麗に低音まで聞こえるコストパフォーマンスの高いイヤホンだという。
– いつも音のことを気にかけているのですか?
がざだば:そうですね。癖というか。専門学校で習ってきたこともあるし、音響の仕事の影響もあり、常に周囲で鳴っている音を意識してしまいます。他の音ばかり意識して、人の話を聞いていないなんてしょっちゅうで、よく怒られます(笑)
– 普段はどんな音楽を聴きますか。
がざだば:決まった曲を聴くというよりは、あまり聴いたことがない音を使っている曲を探して聴くようにしています。新しい音に出会う経験はEDM系の楽曲で得ることが多いですが、なるべくジャンルに縛られないように、常に聴いたことがない音を探し続けています。
– 直近で衝撃を受けた曲は?
がざだば:Skrillex(スクリレックス)の「Rumble」という楽曲です。少し前にリリースされた作品でミニマルな楽曲なのですが、音数が少ない分一つ一つの音が引き立っていて、このようなかっこよさの形もあるのだなと感銘を受けました。また、音数が少なくても物足りなさや飽きを感じさせることのない音の使い方や細かいエディットやミックスは参考になるものが多く、今後の楽曲制作に取り込んでいきたいと思いました。なんといっても低音の使い方や処理が本当に丁寧だなと感じます。
配信楽曲の制作で気にかけたこととは
– 2023年9月6日(水)にリリースされたミニアルバム「-ichi-」には、ソニコン受賞作品「Zone」に加えて新譜「Done」が収録されています。制作にあたって意識したことや聴いて欲しいポイントを教えてください。
がざだば:やはり音作りです。結構かっこいい音を作れたと自負しています。意外性のある音に注目して聴いて欲しいです。
– どの音に一番こだわりましたか?
がざだば:キックとスネアですね。
– どういう風に音作りをするのでしょうか。
がざだば:まずは持っているサンプルやかっこいい音をずらーっと並べて聴いてみて、そこからかっこいい音を見つけたり、芯となる部分にシンセサイザーを足したりしながら作ります。キックの音は、丸一日かけて作ったりします。
▲ドラム用シンセサイザー音源SONIC ACADEMY KICK2をベースに、サンプルを重ねてアタックやリリースを構築していく。空気間はリバーブで調整しつつ重ねた音をサチュレーションで馴染ませ、TransientShaperで整えていく工程がいつもの流れとのこと。
– 最後に、今後の展望や目標を教えてください。
がざだば:どんな形でもいいので、月に一曲仕上げることを目標に技術を磨いていきたいです!
ゲーム音楽に影響を受け作曲を始め、現在はDrum’n BassやDubStepなどダンス音楽を中心に作曲活動を行う。楽曲ほか、アーティスト写真・ジャケット写真などアートワークも自ら制作している。フリーで音響の仕事に従事する傍ら、2022年12月に開催された楽曲コンテスト「ソニコン – SONICWIRE SONGWRITING CONTEST: インスト -4つ打ち- 編」では、応募総数867曲の中から、厳正な審査を潜り抜け最優秀賞を受賞した。
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