MAGES.社 掛け声音源『「KA・WA・YO」-for music-』レビュー by カルロス袴田(サイゼP)
ゲーム、アニメ、音楽など、様々なコンテンツで自社IPを創出してきたMAGES.社より、サンプルパック第一弾としてリリースされたKONTAKT対応の掛け声ライブラリー『「KA・WA・YO」-for music- 』は、126種類のボイスを自由にコントロールし、自身の楽曲に取入れることが可能な製品です。
今回、掛け声を駆使した楽曲を数多く制作するボカロPのカルロス袴田(サイゼP)氏による『「KA・WA・YO」-for music-』製品レビューをいただきました!
本製品を使用して制作されたデモソング「1LDK現場宣言」はどのように制作されたのか。是非ご覧ください!
- メーカー:AniTone
- カテゴリ:サンプルパック
ボカロPのカルロス袴田(サイゼP)と申します。ボカロを用いてうるさい音楽を作らせて頂いております。
普段作っているものが作っているものだけに、素敵なガヤ音源のデモ音源を制作させていただき大変光栄です。今回のデモ曲は「推しをめっちゃ応援したいけど外に出るのはしんどいので、自宅で大声出して応援しよう」というコンセプトになっております。肉声を出すのが住環境的に憚られても、KA・WA・YOを使えば騒げるのでお得ですね。
■ 「KA・WA・YO」-for music-を使用してみて
普段ガヤを入れるときは一人きり部屋で叫んで収録しているので、シンプルに近所迷惑なんですね。なので、PC内で完結できるKA・WA・YOはまずご近所にやさしいのが魅力です。
あと、自分は男性なので女性のガヤが物理的に入れられないのですが、その意味でも助かります。
ツマミがそんなに多くなく、かつパラメータがひと目見て分かる親切設計なのも嬉しかったです。具体的には、「この掛け声を入れたいけど曲のテンポ的にもう少しだけ短く発声してほしい」というのも、Speedのタブで簡単に調整できました。
そしてUIがゆめ色ファンシーな感じでとても素敵ですよね。90~ゼロ年代リバイバルなキャラデザも世代に刺さります。
■ 活用出来そうなシーン
ボカロ曲や同人系のポップソングでは活躍してくれそうですよね。ガヤを入れたい、という意志はあってもなかなか労力が必要だったりするので、そういう意味でも敷居がとても低くて嬉しい音源かと思います。
もちろんこのままトラックダウンしてもいいし、KA・WA・YOをガイドとしてガヤを入れてもらったり、デモ音源の賑やかしとして入れてみるのも便利そう。自分自身、以前ガヤを頼まれたときに「どういうテンションでいけばいいんだろう…」と悩みながら絶叫していたんですが、KA・WA・YOのようなガイドがあれば心理的負担も少なく叫べるかなと思います。
■ 使用感について
基本的には立ち上げた状態からすぐ使える設定になっています。SpeedやReleaseで発音タイミングが調整できます。Fineは声の明るさ、Semiは音程を調整できますが、自分のデモではここは触らずに使いました。用途によって調整したらよいかと想います。
Stereoを絞って0にすればモノラルにも出来るので、ミックスでモノにしたい場合はここで調整ですね。
DTMを10年やっていてキースイッチというものを初めて知ったのですが、とても便利ですね。KA・WA・YOはピアノロールでいうC3から上のところにサンプルがアサインされていまして、C1をポチっと一度入力すると、ボイスバンクがC1のバンクに切り替わります。同様にD1、E1…と同じように切り替えが出来て、A1までバンクがあります。自分は鍵盤が弾けませんが、リアルタイムで演奏する方やショートカットとして活用する方にも便利ですね。
それと、すごくナイスだなと思ったのがベロシティによる切り替えです。ベロシティによって同じボイスでも3段階に強弱が変化させられます。元気のない声→楽しい声→めっちゃ元気な声、という具合ですね。元気のない声の説明も「ライブ中テンション上がったけど疲れてしまったボイス」となっていて、設定の細かさに笑みがこぼれました。
■ おすすめのセッティング
デフォルトの設定のままが良いなと思ったので、KA・WA・YO自体はほぼそのまま使用しています。一部、発声の長い「いくぞー」や「よっしゃー」はSpeedのノブで長さを調整したりしています。トラックごとにキースイッチC1・D1…といったふうに分けて、更にSpeedを調整したものも別トラックで鳴らしています。見た目的にわかりやすいので、音色を分ける時はいつもこういう方法ですね。
あとは、コンプレッサーで発声がわかりやすくなるぐらいに潰しています。場所によってはもっとうるさくしたかったので、ステレオエンハンサーで広げたりしているぐらいですが、一部ですね。基本的には割と音源そのままの味で使わせていただきました。
■ 音源の印象
今回自分が使用させて頂いたのが女の子5人のボイスで、それぞれ独立させて使うことも可能です。ガヤ音源として、メインを食わないぐらいには背景っぽくて、かつ個性がしっかりある絶妙な声だなと思いました。
■ 各ボイスグループの特徴
C1は主にサビのバックで、2拍4拍に合わせてオイオイ言ってもらいました。メインで使うならまずはこれかと思います。よ~お↑の声も強いですね。
D1には数字カウントの声もあって、個人的に助かりました。楽曲冒頭にカウントを入れないと曲が作れないので、あると非常に嬉しいです。
E1はもう少し踏み込んだ「うーえ!」「しーた!」ですとか、「はつどう!」みたいなボイスもあって使い所を刺激されますね。
F1は「どん」「ぱん」「ちー」など、ボイスによるリズムセクション的なバンクです。Aメロのバックでどんちき言ってもらいました。アカペラっぽくこれだけでビートを作っても面白いかもしれませんね。
G1は真骨頂な感じで、アイドル曲のコールがふんだんに収録されています。デモ曲だと冒頭のサビ後のパートでコールしてもらっています。
■ 幅広いボイスバリエーション
G1のコールを使ったコッテコテのアイドル曲を作るのはさぞ楽しかろうなと思います。他にも、E1の方向指示とかF1のリズムをヒューマンビートボックスっぽく使ったりなど、可能性ありありかなと。
マニアックなところというか、D1に「エル」「プサイ」「コングルゥ」など、一部の人種が大喜びするボイスが入っているのは笑いました。一体いつ使うんだと。友人に勧めておきます。
とはいえC1のような汎用ボイスがオールジャンルに対応できて便利かなと思います。ちょっと元気を出したいときに「あーい!!!」とか叫んでもらえるだけで頑張れたりするので。
■ 掛け声入り楽曲制作時に心がけていること
音楽制作において最も大事なのって、まず作る側の元気だと思うんですよ。この場合の「元気」は曲調がアップテンポとかそういうことじゃなく、湧き出るパッションのことで。そういう意味で、KA・WA・YOを立ち上げてワイワイ言ってくれてる中で制作を進めると、元気が補給されるはずです。元気の出る音源を使って元気を出していくのが一番の制作ハックかなと思います。
■ まとめ
自宅で叫べない方、ガヤをお願いしようにも勇気が出ない方、そんなみなさんのDTM生活にでっかい声で彩りを与えてくれるのがKA・WA・YOです。わかりやすい掛け声から「これは何?」みたいなボイスまで盛りだくさんのバリエーションなので、使い込めば色々なシチュエーションに対応できそうです。
また、孤独なDTM作業でもワイワイガヤガヤしてくれて楽しくなりますので、そういう意味でもオススメです。デモ段階から立ち上げて一緒にドンチャン騒ぎましょう。
わたしも制作に使います。エル・プサイ・コングルゥ…
- メーカー:AniTone
- カテゴリ:サンプルパック
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