SONICWIRE

ボカロP “Dios/シグナルP”さん に聞く!大人気曲のボーカルトラックに使用しているプラグイン・エフェクトと、ソフトウェア音源、その設定をご紹介。

2022年4月1日 17:00 by toy

音楽制作の中で、ボーカルやコーラスといった”声”に挿すエフェクトというのは非常に重要です。エフェクト1つで音量や音像、距離感などの聴こえ方が大きく変わってくるため、楽曲の世界を形作るのに欠かせない大きな構成要素となります。

SONICWIREでは、クリエイターの皆さんがボーカルエフェクトに対してどのようなアプローチを取っているかお話を伺い、まとめていく企画、題して「クリエイターバトン」を実施中です!この企画では、「実際に楽曲に使われているボーカルトラックに挿しているプラグイン・エフェクト」をご紹介。
実際に楽曲を聴きながら、どのような変化をしているかをご確認いただけます。また各エフェクトのパラメータが公開されることも。具体例を確認しながらボーカルエフェクトについて学ぶことで、クリエイターのノウハウやテクニックを日々の制作にご活用いただけます。
 
さらにこの企画では、次のクリエイターさんをご紹介で繋いでいくバトン方式を採用。次回は担当されるのか、、、是非そちらにもご期待ください!

 


■ クリエイター紹介「Dios/シグナルP」さん

 

今回 Dios/シグナルPさんには、大人気楽曲『サンドリヨン(Cendrillon) 10th Anniversary』を題材に、使用されているプラグイン・エフェクト、ソフトウェア音源について教えていただきました!公開から10周年を迎えた『サンドリヨン(Cendrillon)』が、どのようなアレンジを加えて10周年バージョンとして進化したのか。原曲と今一度聞き比べてみる良い機会ですので、最後までご覧ください!

 

■ KAITOにインサートしているプラグイン・エフェクト

Antares 『AUTO-TUNE PRO』

Dios/シグナルPさん:
VOCALOID Editorではビブラートすらかかっていない棒歌いの状態で出力して、しゃくりやビブラートなどの表情は全部手書きで付けていきます。

Antares『AUTO-TUNE PRO』製品ページ »

Noveltech 「Character」

Dios/シグナルPさん:
EQでブーストする前にこれで高域の倍音を引き出しておくと、自然にツヤを出すことができます。

Waves 『API 550』

Dios/シグナルPさん:
主にブースト用のEQとして使います。ボカロでは高域が足りないと感じることが多いので、上2つのバンドを使っています。

Waves『API 550』製品ページ »

FabFilter 『PRO-Q 2』

Dios/シグナルPさん:
主にカットや微調整用に使う視認性と操作性に優れたEQです。現在はダイナミックEQとしても使えるようになった『PRO-Q 3』を使っています。

FabFilter『PRO-Q 3』製品ページ »

FabFilter 『PRO-C 2』

Dios/シグナルPさん:
こちらも視認性と操作性に優れた比較的クリーンにかかるコンプレッサーです。ボカロでは結構きつめのRATIOで使うことが多いです。

FabFilter『PRO-C 2』製品ページ »

FabFilter 『PRO-MB』

Dios/シグナルPさん:
帯域ごとのピークを平均化するために使っています。ボカロや歌に限らず様々なところでよく使うマルチバンドコンプレッサーです。

FabFilter『PRO-MB』製品ページ »

Universal Audio 「Fairchild 670」

Dios/シグナルPさん:
仕上げのコンプレッサーです。INPUT GAINを持ち上げることで多めに倍音が付加され、ふくよかな印象になります。

Waves『RENAISSANCE DEESSER』

Dios/シグナルPさん:
ディエッサーは一番最後にかけます。設定は全てデフォルトのまま、Thresholdだけ調整します。

Waves『RENAISSANCE DEESSER』製品ページ »

■ ボーカルSEND

Lexicon 「PCM Native Random Hall Reverb」

Dios/シグナルPさん:
オーケストラ楽器が多い曲なので、歌にもホール系のリバーブを使っています。

Waves 『H-DELAY HYBRID DELAY』

Dios/シグナルPさん:
全体にうっすらと4分ディレイがかかっていて、所々に2分ディレイが追加されます。

Waves『H-DELAY HYBRID DELAY』製品ページ »

■ 使用したソフトウェア音源

FXpansion 「BFD3」

Dios/シグナルPさん:
スタジオで録音した素の状態に近い音が出るドラム音源です。オーケストラサウンドとの相性もいいので選びました。

Spectrasonics 「StylusRMX」

Dios/シグナルPさん:
原曲でも10thバージョンでも大活躍しています。サビ前のフィルや2サビ後のDメロのパンチが効いたドラムループが特に印象に残るのではないでしょうか。

Spectrasonics 「TRILIAN」

Dios/シグナルPさん:
生々しいベース音源です。最近は使用頻度は下がりましたが、こういう曲にはやっぱり合います。

Vienna Symphonic Library 『VIENNA INSTRUMENTS PRO』

Dios/シグナルPさん:
ソロバイオリン以外の全てのオーケストラ楽器で使っています。ピアノやパーカッションもこれです。

VSL『VIENNA INSTRUMENTS PRO (SINGLE LICENSE)』製品ページ »
Dios/シグナルP氏による、VSL社オーケストラ製品レビュー! »

Native Instruments 「KONTAKT」

Dios/シグナルPさん:
これも様々なパートで使っています。インパクトのあるクワイアはAria Soundsの「AURORA CHOIR」というライブラリです。
― ミックス・マスタリングの際に心がけていることはありますか?

Dios/シグナルPさん:
長時間作業していると何が正解か分からなくなったり、判断力が鈍ったまま作業を終わらせて翌日聴いたら全然ダメじゃん…ってことにならないように、定期的に聴き慣れているリファレンスで耳をリセットするのが大事だなと思います。
■ 次回クリエイター紹介:「cosMo@暴走P」
Dios/シグナルPさん、ありがとうございました!

 

次回の第12弾は、Dios/シグナルPさんのご紹介により、「僕は空気が嫁ない」「初音ミクの消失」をはじめ、昨年の「マジカルミライ 2021」のテーマソングである「初音天地開闢神話」などの楽曲を制作したcosMo@暴走Pさんのエフェクトチェインをご紹介いたします。
次のクリエイターバトン企画にも是非ご期待ください!
第10弾
« マイナスPさん
第12弾
準備中 »

Dios/シグナルP

​Dios/シグナルP

「鏡音リン・レン」の発売日2007年12月27日に初投稿。
楽曲制作以外にもmixなどのエンジニアとしても活動しています。