【製品ピックアップ】音楽において大事なのは「音」そのもの。ニューエイジ向け音源『NADA』をご紹介。
いぶし銀の職人魂が光るタイトルをラインナップするBEST SERVICE 社製品。その人気の一端を担うタイトルを手掛けるプロデューサーの一人に、Eduardo Tarilonte氏がいます。彼が手掛ける製品は、『ERA II MEDIEVAL LEGENDS』や『CELTIC ERA』『FOREST KINGDOM 3』など地域や時代などに特化した古楽器/民族楽器のライブラリや、『ERA II VOCAL CODEX』『SHEVANNAI』『MYSTICA』といった、美しいレガートのボーカル/クワイア等、コンセプトがはっきりとした良質タイトルばかり。先日のブラックフライデーでもご購入された方がいらっしゃるのではないでしょうか。
そんなEduardo Tarilonte 製品の中に一つ、異なったベクトルの製品があります。その名も『NADA』。サンスクリット語で「音」を意味する言葉をタイトルとする『NADA』は、ニューエイジやリラクゼーション・ミュージックに向けに制作された、ERA シリーズのキャッチーさとはまた異なる実力を秘めた製品です。今回はそんな『NADA』にスポットをあててご紹介します。
まずニューエイジというジャンルについて、定義については様々な文献をご参照いただきたいと思いますが、喜多郎『シルクロード』、久石譲『驚異の小宇宙 人体』などに代表されるNHKスペシャルのテーマ曲、2000年代初頭に流行し根強いシリーズとなっているコンピレーションCD「image」シリーズなどを思い浮かべる方も多いかと思います。近年、関連書籍や新しいコンピがリリースされるなど今静かにリバイバルの兆しがあります。
『NADA』は、そんなニューエイジの楽曲制作を念頭に置いて集められた400以上のパッチを収録。『Instruments』カテゴリには、シンギングボウルやバラフォン、カリンバのようなピッチを持つ打楽器。ポロポロと弾いているうちにフレーズが湧き出しそうな複数のエレピ/生ピアノ。琴やバイオリン、ドローン的な音色を奏でるタンプラなどの弦楽器。竹笛、パンパイプ、尺八といった木管楽器を収録。『Voices』カテゴリには、シンセボイス/女性ボーカル/喉歌(Overtone singing)を収録しています。『Instruments』『Voices』カテゴリ内のサステイン音色には、Tarilonte製品の特長の一つである美麗なレガートが施されています。筆者個人としては、PianoとVoices収録の音色が特におすすめ。ソロで鳴らしても、とっても叙情的なムードを掻き立てます。また、『Voices』に収録のボーカルフレーズに対してビブラート強弱やダイナミクスをコントロールすることで、さらに表現力豊かな歌声となります。
そして『NADA』のメインコンテンツとも言える『Meditation Pads』には、ニューエイジの重要な要素であるパッドがバリエーションを含め約200種類コレクションされています。静謐さを強調するアトモスフェリックな響きであったり、温かみを加えるものだったりと、昨今のリッチなシンセサウンドに慣れた耳にあえて少々の懐かしさを感じさせる音作りとなっているサウンドも多く、あの頃のニューエイジ感に溢れています。また、『Meditation Pads』カテゴリに収録されたパッドには、パンと音量が調整可能なサウンドが最大8個レイヤーされているサウンドスケープも含まれていて、1つのパッチで情景の移り変わりを描くことができます。
これまでにご紹介した動画をご覧になってお分かりの通り、L/R いっぱいに広がる美しくリッチなリバーブの効いたサウンドが『NADA』の特徴でもありますが、収録サンプル自体はドライなもの。パッチのロード時点でリバーブが適用されているため、プロジェクトに合わせてドライ/ウェット具合は調整できます。
ここまで収録内容をご紹介してきましたが、『NADA』に関してプロデューサーEduardo Tarilonte氏から寄せられたコメントをご紹介します。
Eduardo Tarilonte氏コメント
Eduardo Tarilonte氏
『NADA』はこれまで私が製作したライブラリとはジャンルが異なるかもしれませんが、制作に対する想いは他の製品と変わりはありません。私のライブラリは、常に遠い世界や時空を超えた古代のサウンドを探求しており、サウンド1つでその世界へ、その時代へ飛んでいくことができます。そのような考えを抜きにして私の音楽観は成り立ちません。私はニューエイジやリラクゼーションミュージックを聴いて育ちました。そこから多くのことを学びましたが、もっとも重要な1つとして、音楽において大事なのは「音」そのものであることを学びました。なぜなら、究極的に言えば音がなければ音楽は存在しないからです。音に刺激を受けて音楽を作る。だからこそ、私は古代の音やアンビエンス・サウンドに興味があります。たった1つのサウンドが、別の時代、世界、どこへでも連れて行ってくれる。そこには無限の創造性が広がっていくのです。2005年にサンプリングを始めて以来、私はずっと『NADA』のような、自分が人生で愛してきたサウンドをつめこんだライブラリを作りたいと思ってきました。
Eduardo Tarilonte 氏の根底にある音楽観を具現化したような『NADA』は、収録されている「音」一つ一つへの愛情とこだわりが凝縮されたものとなっています。気になった方は、ここではご紹介できなかったデモムービーやデモソングなどを公開している製品ページをご覧ください。
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