SONICWIRE

ボカロP“Chinozo”さんに聞く!人気楽曲のボーカルトラックに使用しているプラグイン・エフェクトと、ソフトウェア音源、その設定をご紹介。

2021年7月2日 15:00 by toy

音楽制作の中で、ボーカルやコーラスといった”声”に挿すエフェクトというのは非常に重要です。エフェクト1つで音量や音像、距離感などの聴こえ方が大きく変わってくるため、楽曲の世界を形作るのに欠かせない大きな構成要素となります。

SONICWIREでは、クリエイターの皆さんがボーカルエフェクトに対してどのようなアプローチを取っているかお話を伺い、まとめていく企画を実施中です!この企画では、「実際に楽曲に使われているボーカルトラックに挿しているプラグイン・エフェクト」をご紹介。
実際に楽曲を聴きながら、どのような変化をしているかをご確認いただけます。また各エフェクトのパラメータが公開されることも。具体例を確認しながらボーカルエフェクトについて学ぶことで、クリエイターのノウハウやテクニックを日々の制作にご活用いただけます。
 
さらにこの企画では、次のクリエイターさんをご紹介で繋いでいくバトン方式を採用。記事中で次に紹介いただくクリエイターさんを発表いたしますので、そちらにもご期待ください!

 


■ クリエイター紹介「Chinozo」さん
第7弾は、『グッバイ宣言』『カナリヤラメント』『空っぽ』などの楽曲を手掛けるChinozoさんです。

 

 

今回 Chinozoさんには、「the 愚者」「シェーマ」「TAMAYA」などの楽曲で主に使用したプラグイン・エフェクト、ソフトウェア音源を教えていただきました。中毒性があり、ついつい口ずさんでしまうChinozoさんのキャッチーな楽曲をまずは一度お聴きください。

 

■ ボーカルに使用するプラグイン

①Waves EMO F2

Chinozoさん:
下地作りで置いています。最初にローパスハイパスをかけています。
それ用のプラグインなので、使いやすいです。

Waves『EMO F2 FILTER』製品ページ »

②Waves Renaissance Compressor

Chinozoさん:
次段でかけるディエッサーでの歯擦音を強調するために置いています。
このコンプ自体、温かい?音に若干なる感じがしてすごく気に入っています。

Waves『RENAISSANCE COMPRESSOR』製品ページ »

③Waves Renaissance DeEsser

Chinozoさん:
歯擦音を押さえるため置いています。
ディエッサーはこれで満足してます。

Waves『RENAISSANCE DEESSER』製品ページ »

④Waves CLA-76

Chinozoさん:
コンプレッサーとして整えるために置いています。

Waves『CLA-76』製品ページ »

⑤Waves Renaissance Compressor

Chinozoさん:
上段のFETコンプで整えた音に、温かみと若干の整えを目的に重ね掛けしています。
このコンプは使いやすい上に、ナチュラルにいい塩梅でかかってくれるので非常に重宝しています。

Waves『RENAISSANCE COMPRESSOR』製品ページ »

⑥Waves Vitamin Sonic Enhancer

Chinozoさん:
ボーカルをより主張させるためのエンハンサーです。
とても気に入っています。

Waves『VITAMIN SONIC ENHANCER』製品ページ »

⑦A.O.M tranQuilizr G2

Chinozoさん:
最終調声用のEQです。基本は上段の色付けをカットすることをメインに置いています。
使いやすくて、気に入っています。

⑧Waves H Delay

Chinozoさん:
使わない時はないくらい毎回使っています。

Waves『H-DELAY HYBRID DELAY』製品ページ »

⑨iZotope R2

Chinozoさん:
プレート、ルーム、ホール全てに使用しています。とても素直で操作性も良く、気に入っています。

iZotope『R2』製品ページ »

⑩Waves Renaissance Reverb

Chinozoさん:
プレートリバーブで気に入ってて、R2と使い分けています。

Waves『RENAISSANCE REVERB』製品ページ »

■ よく使うソフトウェア音源

①Battery4

Chinozoさん:
リズムサンプラーとして重宝しています。大体探してる音をここで見つけたりします。

②BFD3

Chinozoさん:
生ドラムの打ち込みは基本このソフトを使用しています。

③Addictive Keys

Chinozoさん:
ピアノ音源はこのソフトを使用しています。
プリセットを軸に細かい設定をし、曲に合わせて使用します。

④Kontakt5

Chinozoさん:
画像は参考にですが、特にFactory Libraryの音源をかなり使います。
よく使うのはウッドブロック、トライアングル、シェイカー、チャイムあたりです。

⑤Massive

Chinozoさん:
パッドやカウンターメロディ、ピアノとのレイヤーでよく使います。
― 「Piapro Studio」を使ってみていかがでしたか?

Chinozoさん:
使い慣れてくるとかなり視覚的に分かりやすく、
またソフト自体も軽いためストレスも感じずに調声が行えます。
特に調声作業はVOCALOIDを作る上で時間をかけることが多いと思うので、とても便利だと感じます。
― ミックス・マスタリングの際に心がけていることはありますか?

Chinozoさん:
必ず一段落付いたら書き上げて、外出中などにふとイヤホンで聴いてみるなどしてます。
俯瞰して聴くことでちょっとした粗が見つかったり、気に入らないと思った点を冷静に判断できるのでおすすめです。
■ 次回クリエイター紹介:“稲葉曇”さん
Chinozoさん、ありがとうございました!

 

次回の第8弾は、Chinozoさんのご紹介により、『ラグトレイン』『ロストアンブレラ』『ノンユース』などの楽曲を制作した稲葉曇さんのエフェクトチェインをご紹介いたします。お楽しみに!
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Chinozo
ボカロP、作詞家、作曲家、サウンドプロデューサー
 

2018年よりボカロPとしての活動を開始し、2019年3月よりYouTube投稿をはじめる。
電子的な雰囲気が強い楽曲から、バンドサウンドが印象的な楽曲まで、
クロスオーバーな楽曲を多数作成し、楽曲「グッバイ宣言」で大ブレイク中。
「グッバイ宣言」は2020年4月投稿以降、2021年6月現在までで5,245万回再生。
ファンからは「中毒性がある」「メロディーが良い」と評されており、海外リスナーも多い。
2020年3月にはEP「Rena」、同年11月にアルバム「The Deluge」をリリースしている。
▼その他:
YouTubeチャンネル登録者数:23.3万人 / Twitterフォロワー:4.3万人 / Spotifyフォロワー:2.4万人