ボカロP“一二三”さんに聞く!人気楽曲「萌す心を」のボーカルトラックに使ったプラグイン・エフェクトと、ソフトウェア音源、その設定をご紹介。
音楽制作の中で、ボーカルやコーラスといった”声”に挿すエフェクトというのは非常に重要です。エフェクト1つで音量や音像、距離感などの聴こえ方が大きく変わってくるため、楽曲の世界を形作るのに欠かせない大きな構成要素となります。
さらにこの企画では、次のクリエイターさんをご紹介で繋いでいくバトン方式を採用。記事中で次に紹介いただくクリエイターさんを発表いたしますので、そちらにもご期待ください!
今回 一二三さんには、「萌す心を(きざすこころを)」で使用しているプラグイン・エフェクトを教えていただきました。
スマホゲーム「#コンパス 戦闘摂理解析システム」へ書き下ろした、初音ミクのキュートで力強い歌声と一二三さんならではの「和ロック」が織り交ざった「萌す心を」。まずは一度お聴きください。
『VOCALOID4 Editor for Cubase』にて調声作業
ボーカルトラックの処理で一番時間をかけている部分です。
いわゆるボカロの“調声”です。
- まずはクリアネス、ブレシネスで声質を作ります
(たまにジェンダーファクターの数値を触ることもあります) - ピッチベンドセンシティビティの数値を3で固定します
- ピッチベンドでビブラートを描く
- ダイナミクスで音量差を整える
- ボーカルトラックをバウンスする
Piapro Studio、初音ミクNT
今回はクリプトンさんでの企画というのもあって、Piapro Studioと初音ミクNTを今回のタイミングで導入しました。折角なので、初めて触ってみた感想を以下に記述します。
- 慣れた操作感で作業できるので便利
常に波形が表示されている点
- ダイナミクスの数値やノートの長さ、NoteGainを調整する際にとても助かります
調声でよく使用するピッチの編集も、tabキーですぐ切り替えられる
- 頻繁に使用するパラメータにすぐアクセスできるので便利
今後の楽曲制作でガンガン使っていこうと思います。皆さんお楽しみに。
Waves『C1 Compressor』
音量差やピークを抑える目的で使用。
前述の調声作業でダイナミクスを抑えるようにしているので、やや薄めにかけます。
iZotope『Nectar 3』
作業時間短縮の要です。AIがEQやコンプ、ディエッサーの処理を行ってくれます。
リバーブはセンドリターンでかけるため、Nectar付属のリバーブはバイパスしておきます。
Waves『L3 UltraMaximizer』
オケと混ぜても存在感が出るように軽ーくかけています。
Waves『L3 MULTIMAXIMIZER』製品ページ »
FabFilter『Pro-Q3』
スネアやギターなどの楽器とぶつかっている音域を減退させるために使用しています。
このEQを挿しているトラック同士であれば、リアルタイムにマスキングを確認できるので非常に便利です。
Cubase付属プラグイン『REVerence』
プレートリバーブとして、主にボーカルやギターに使用しています。
プリセットの「Plate At 2sec」から数値を微調整しながら使用しています。
Cubase付属プラグイン『REVelation』
ルームリバーブ、ホールリバーブとして使用しています。
和楽器の笙、篠笛などを中心に使用しています。
Waves『H-Delay』
ボーカル、ギターの音像に厚みを持たせるために使用。
ややドライめにかけることが多いです。
Waves『H-DELAY HYBRID DELAY』製品ページ »
SONICA INSTRUMENTS『KOTO13』
ピッキングのコントロールができたり豊富なアーティキュレーションが用意されているため、かなりリアルなサウンドに作り込むことができます。
「十七才」という曲以降、ずっと使用している箏音源です。
SONICA INSTRUMENTS『TSUGARU SHAMISEN』
こちらも箏の音源と同じメーカーの三味線音源です。「萌す心を」では使用していませんが、様々な奏法を再現できるためとても気に入っています。
フレットノイズや、「はっ!」「あらよっ!」といった掛け声も収録されていて面白いです。
Native Instruments『SCARBEE RICKENBACKER BASS』
リッケンバッカーのベースをピック演奏によってサンプリングした音源です。ロック向けです。
とても打ち込みやすくリアルな音が出るので気に入ってます。コスパ良し。
TOONTRACK『SUPERIOR DRUMMER 3』
最近購入したドラム音源です。抜けの良いスネア、タムの音に惹かれました。
生演奏にかなり近い音色でロックとの相性の良さも感じました。
リズムパターンも多く用意されていて、MIDIデータとしてサクッと引用できるので便利です。
まだ使い慣れていないので、これからどんどん音作りをしていくつもりです。
Toontrack『SUPERIOR DRUMMER 3』製品ページ »
深夜ではなくなるべく朝に作業するなど、疲れの溜まっていないフラットな状態で行うようにしています。
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