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ゲームサウンドクリエーターから見たAbleton Live 11の新機能とSpitfire Audio製Packの魅力(Ableton認定トレーナー:オカモトタカシ氏)

2021年7月9日 17:00 by iro

はじめまして。Ableton認定トレーナーのオカモトタカシと申します。ゲーム向けの音楽制作やサウンドデザインを生業としております。今回は『Ableton Live 11』の新機能と、Live 用にSpitfire Audioから提供されたPack(Ableton Liveではサンプルやプリセットの纏まりのことをPackと呼びます)についてご紹介したいと思います。

Ableton Liveとは

Ableton Liveとは、世界トップクラスのシェアを誇る音楽制作ソフトウェア(DAW)です。直感的な操作感でどんなジャンルの制作にも対応出来るほか、ステージ上でのパフォーマンスにも対応する柔軟性を併せ持っています。『Ableton Live 11』には『Live 11 Intro』『Live 11 Standard』『Live 11 Suite』の3種類の製品があるのですが、特に『Live 11 Suite』は多彩なシンセサイザー、豊富な生楽器ライブラリ、高品質なエフェクトまで全てを網羅した「全部入り」のパッケージになっています。

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  • メーカー:Ableton
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  • メーカー:Ableton
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  • メーカー:Ableton
  • カテゴリ:DAW

各Liveエディションの機能一覧と比較表はこちら

今年2月に登場した『Ableton Live 11』は「コンピング」「MPE対応」「ノート発音率やベロシティのランダマイズ」などの新機能が実装され、より実践的になりつつもクリエイターに対してとても挑戦的な「君はこれをどう使うんだい?」とでも問いかけられているような刺激溢れるバージョンとなりました。

私自身はLiveを使うようになって15年ほどでしょうか。最初は『Live 6』からのお付き合いと記憶しているのですが個人的には『Live 7』の登場が鮮烈でした。このバージョンから生楽器系の音源が多数追加されMIDI機能も大幅に強化されたことで、自分にとって「仕事でバリバリ使えるDAW」になったと記憶しています。

ゲーム音楽を制作する上で、Liveのアドバンテージはいくつかあります。

まず「動画の扱いが大変柔軟」なんです。1つのプロジェクトに複数のムービーファイルを並べることが可能、且つそれらを書き出すことも可能なのです。クライアントから手配された動画に対してサウンドデザインするケースが大変に多い私にとっては必須の機能です。

また「Rack」という独自機能もあります。ざっくり説明すると「インストルメント、エフェクトなどをコンテナにまとめる機能」なのですが、『Live』のRackがすごいのは「標準のデバイスはもちろん、サードパーティのAU、VSTプラグインも対象」「直列はもちろん並列(レイヤー)にもできる」「Rackの中にRackを入れるような入れ子構造にも出来る」といったかなりディープな使い方が出来てしまう点です。「よく使うVSTプラグインを複数レイヤーしたもの」や「お気に入りのエフェクトをチェインしたもの」をそれぞれRack化しておいて自由にロード出来るのは『Live』ならではです。

『Live 11』のRack機能(クリックで拡大)

さらに、『Live 11』では指定パラメーターのランダマイズまで出来てしまうようになりましたので、「お気に入り音色からバリエーションを生成する」ものとしても機能するようになりました!

『Live 11』パラメーターのランダマイズ(クリックで拡大)

上図は、私が作成したシーケンスフレーズを生成するRackです。[ Rand ]ボタン(ランダムボタン)を押すたびに違った音色の違ったパターンが再生できます。

Max for Liveデバイス

加えて、自分の想像力をブーストするようなMax for Liveデバイスが自由に使えるという点も見逃せません(Max for Liveの機能は『Live 11 Suite』のみの対応となります)。公開されている様々な機能のMax for Liveデバイスを組み込んで、自分だけの『Live』を作ることができます。

私のおすすめのMax for Liveデバイスをいくつかご紹介いたします。

Inspired by Nature(『Live 11 Suite』に付属)

物理現象と自然現象をテーマに音やモジュレーションを生成するデバイス

複雑なポリリズムを生成するデバイス。

Junichi OGUROさん制作のデバイス。MIDI/AUDIOクリップのループの位置と長さをランダマイズ出来るデバイス。

この他にも、Max for Liveのポータルサイト
Max for Live Community Resource
では、世界中のユーザーが制作したMax for Liveデバイスが日々アップロードされています!(その中には無償のものも多く存在します)


Max for Live Community Resource はこちら

Spitfire Audio製のAbleton Live用新録音源

Live 11からはSpitfire Audio製のPackが追加になりました。(『Live 11 Suite』に付属)

これらのPackは、全て新録サンプルによるもので、とても生々しく表現力豊かな音色が売りです。

これら3点の音色を使ったデモ曲を作成しましたので是非ご覧ください!

動画のコメント欄からプロジェクトデータもダウンロード可能となっております。『Live 11 Suite』のユーザー様や、無償体験版を試用中の方は是非プロジェクトデータを開いてみてくださいね。

『Live 11 Suite』体験版の取得はこちら

※デモ曲のプロジェクトデータには、Live11 Suite に含まれていない有償Packが一部使用されています。

『Live 11 Suite』に付属するこれらPackの音源はとても良い音なのですが、編成としては小編成なのでもっと色々なバリエーションが欲しくなるかもしれません。せっかくの機会ですので、これらのPackと高相性のSPITFIRE製品もご紹介したいと思います。

おそらくなのですが日本のゲーム業界では使用率No.1ではないでしょうか。抜群の機動力で速いパッセージにも対応する上、パフォーマンスレガート対応のパッチではリアルタイム入力でも素晴らしい表現力を発揮します。

ロンドンが生んだ、至高の室内楽ストリングス音源!
税込価格 ¥117,150
  • メーカー:SPITFIRE AUDIO
  • カテゴリ:ソフト音源

昨年発売となった最新のアンサンブル音源。大編成で美しいオーケストラサウンドを生み出すことが出来ます。同社のALBION ONEと近いコンセプトの製品だと思うのですが、こちらの方がマイクポジションが豊富な為、押しが強くエッジの立った音色も出せるという印象です(ALBION ONEは比較的エレガントで包み込むような音像だと認識してます)。特筆すべきは追加音源としてリリースされた『ABBEY ROAD ONE: LEGENDARY LOW STRINGS』です。こちらの低域弦のレガートパッチは他のどの競合製品よりも美しく力強い音だと思います!

数々の名盤を生み出すAbbey Road Studiosで収録されたオーケストラ音源
税込価格 ¥70,224
  • メーカー:SPITFIRE AUDIO
  • カテゴリ:ソフト音源
Ableton Live最大の魅力

と、ここまでいろいろとご紹介して参りましたが、Ableton Liveの最大の魅力はシングルウィンドウに効率よくまとまったUIそれらがスムーズに動く「手触り」の部分にあると感じています。『Live 11 Suite』には90日間の無償体験版もありますので、是非一度使ってみていただきたいと思います!

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