SONICWIRE

『東京スコアリング・ストリングス』
SPECIAL INTERVIEW
横山 克

Presented by SONICWIRE

『東京スコアリング・ストリングス』はいかにして生まれたのか。プロジェクト・リードを務めた横山克氏に伺った。

開発にあたって。

横山 克 氏:今回の『東京スコアリング・ストリングス』では、米国Impact SoundworksのAndrewから依頼を受けてプロジェクトをリードする立ち場でした。実際に演奏されるのは室屋光一郎ストリングスで、そのサウンドをキャプチャーするのはエンジニアの相澤さんです。

僕は、主役の室屋さん、相澤さんを後ろからサポートするために、コンポーザーとして今まで各国で積んできたレコーディングの経験を活かして、コンセプトのセレクトから組み立てなど幅広く行いました。

僕は作曲家として、こういったKONTAKTライブラリーは隅から隅まで使ってきていますので、それぞれにどういった違いがあるのかを把握しています。最近のライブラリーはマイクごとの調整もソフト上で行えるなど、本当に進化しています。

東京で録れる音というのは、ストリングスだけに限らず、世界的に見て独特な音です。今回のプロジェクトでは、その特徴が一体何なのかに向き合いました。

「どうしたら魅力的なライブラリーになるのか。」
その答えを出すためにこれまでの経験が活かせたと思います。

強力な武器になるライブラリー

日本のミュージシャンは、「Accurate(正確)」な演奏が特徴的です。ピタッとハマるというか、こう来て欲しいなと思うところに、その通りにピッタリ演奏してくれるんです。

今回はそういった特徴的なサウンドをキャプチャーしてきたわけですが、もちろんこれによってスタジオでのレコーディングを減らしたいということではありません。

大切にすべきことは、ライブラリーをツールとして見たときに、コンポーザーがそれを使い分けられるかどうか、であり、スタジオのレコーディングと両方をうまく組み合わせていくことです。

そういった意味で、今回のライブラリーは世界中のコンポーザーにとって強力な武器になると思います。

日本のストリングス・サウンドを世界に届ける

海外へレコーディングに行くと、日本のアニメ作品の評判をよく耳にします。そのたびに日本のアニメーションって世界に届いているんだな、と感じるんです。

世界では国を超えて、ミュージシャンが一緒に仕事をするのが当たり前になっています。

日本ではまだそういった文化が根付いていない状況なので、このライブラリーで、海外のコンポーザーが日本のミュージシャンやスタジオの音を知り、一緒に仕事をするキッカケになってくれればと願っています。

どうして『東京スコアリング・ストリングス』の開発/制作を引き受けたのか。

何か1つのライブラリーが、コンポーザーが持つ全ての目的を満たすことはないと言えるでしょう。そういった前提に立つと、今のライブラリーの世界には「東京のスタジオの音」が欠けていたことが分かります。

これまでに存在しなかったから。だから僕は作りたかったんです。

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横山克, Masaru Yokoyama

作編曲家

代表作

  • 映画『ちはやふる』3部作
  • NHK連続テレビ小説『わろてんか』
  • 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
  • 四月は君の嘘
  • ももいろクローバーZ Chai Maxx, 白金の夜明け

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