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【ボカロP必見】ボカロ曲でも使えるオケ音源『Spitfire Symphony Orchestra』活用術【キノシタ/すこやか大聖堂/マキシウキョウ】

2026年6月5日 17:10 by num

皆さんは楽曲にオーケストラサウンドを取り入れる際、どのような音源を使用していますか?

「オーケストラの音源は設定が難しそう」「ポップスやボカロ曲には馴染みにくいのでは?」と感じているクリエイターの方も多いかもしれません。しかし、そんなお悩みを一気に解決し、ワンランク上のクオリティへと導いてくれるのが、Spitfire Audioの『Spitfire Symphony Orchestra』です。

本製品は、118人編成のプロオーケストラの演奏を収録した、最高峰のフルオーケストラ音源です。

今回は『Spitfire Symphony Orchestra』を日本のクリエイターが使った「生の声」を聞くべく、ボカロPとしてご活躍中の、キノシタさん、すこやか大聖堂さん、マキシウキョウさんに本製品をご使用いただき、使い勝手をレビューしていただきました。

Q1. 簡単に自己紹介をお願いいたします。あわせて、普段どのようなジャンルや方向性のボカロ曲を中心に制作されているかお聞かせください。
キノシタ

こんにちは、キノシタと申します。普段はボカロPとして楽曲制作を行っており、近年は明るい曲を作ることが多いです。もともとゲーム音楽に興味があったことから、ジャンルを問わずさまざまな音に関心があり、生楽器やシンセなどいろいろな音色を取り入れた楽曲を作るのが好きです。


すこやか大聖堂

すこやか大聖堂と申します。普段はピアノとストリングスと電子ドラムを中心としたKAITO曲を作っています。どちらかというと、テンポが速めでシリアスな雰囲気の曲を多く制作しています。


マキシウキョウ

音楽制作を中心に、イラストや映像、時には焼き物など様々なモノづくりの活動をしております。全体を通してコミカルな雰囲気の作品づくりが得意で、なかでも生楽器系の音源をエッセンスとして使用した楽曲を制作することが多いです。

Q2. 普段の楽曲制作において、ストリングスやブラスなどのオーケストラ系音源はどのようなシーンで活用していますか?
キノシタ

歌モノを作るうえでは、曲を盛り上げる役割として使用することが多いです。ストリングスやブラスはトラックに加えるだけでサウンドが豪華になりますし、どちらも曲を彩るうえで欠かせない楽器だと考えています。実際に歌モノを作る際には、どちらかをほぼ必ず使うくらい馴染みのある存在です。


すこやか大聖堂

ストリングス・ピアノ系はほぼすべての曲に、全体を通して使用しています。変化を入れたい2サビ以降など、ここぞという時に追加で入れるだけでなく、シンセパッドに重ねて鳴らすだけでも曲全体が煌びやかになります。何よりVOCALOIDとストリングス・ピアノ系の組み合わせが大好きなので、積極的に使っています。


マキシウキョウ

私の楽曲ではほぼ毎回使用していますが、ここ最近は、いわゆる「オーケストラ」と感じられる大編成の音をそのまま使用するのではなく、ある程度のアンサンブル感を残しつつ、タイトなリズムやシンセ系の楽器と馴染ませるために比較的ドライな状態にして使用することが多いです。

Q3. 『Spitfire Symphony Orchestra』を実際に使用してみてのご感想をお聞かせください。
キノシタ

初めて立ち上げた時は、ブラスやストリングスだけでなく、ウッドウィンズ、パーカッション、さらにはピアノやソロ弦楽器まで用意されていたため、音の種類の多さに圧倒されました(笑) しかし、楽器の種類ごとに丁寧にフォルダ分けがなされており、音色を直感的に選びやすいです。

プリセットをいくつか鳴らしてみると、どの音もオーケストラ楽器らしい立体感があり、一つ一つのサウンドが良く、かつ使いやすそうな印象を受けました。

まずは『Spitfire Symphony Orchestra』のみを使用して短い曲を作ってみました。(こちらは私が制作した「でんぱ どりる わんにゃー☆三」という曲のアレンジです。)

※「Symphonic Brass」「Percussion」「Strings」「Woodwinds」を使用

少しドライ寄りの好みな音になるように「Signals & Mixing」内のマイク位置を調整したのみで、他に細かい設定は行っていません。ほぼ打ち込んだだけの状態ですが、これだけでもかなり臨場感のあるサウンドに仕上がっていると思います。このように簡単に良い音を扱えるため、頭の中のイメージを素早く形にしやすいという点で、非常に使いやすい音源だと感じました。

また、GUIについても従来の「SPITFIRE SYMPHONIC」シリーズの音源と比べてより見やすく・直感的に扱いやすくなった印象があります。ノブを動かした際の音の変化が分かりやすいため、試しながら理解しやすい設計だと感じました。

次に、歌モノやボカロ曲に使用するうえでどのように使えるかについて検討してみました。その名の通りオーケストラアレンジの曲にはもちろん最適だと思いますが、私は歌モノだとロック調やシンセが多用された曲にバイオリンやトランペットを乗せることが多くあります。それらを踏まえて試してみたところ、特にお気に入りだったプリセットは以下の2つでした。

  • トランペット:Symphonic Brass > Trumpet solo – All techniques (LONG)
  • バイオリン:Solo Strings > Solo Violin – All techniques (LONG)

音の立ち上がりが早く、マイク位置などの調整を行うことでドライ寄りの音にもできるので、さまざまなアレンジに使えるのではないかと思います。そこで実際に短い曲を作ってこれらの楽器を加えてみました。

ロックなアレンジの曲にバイオリンとトランペットを乗せたものと、ディスコなアレンジの曲にバイオリンを乗せたものを用意しました。

※グロッケンシュピール、フルートも『Spitfire Symphony Orchestra』のものを使用

バイオリンは特に扱いやすく、ロック系の楽曲や電子楽器を多用した曲はもちろん、それ以外の幅広いアレンジにも馴染みやすい音であると感じました。前提として、収録されている音色や奏法はオーケストラ表現を軸にしたものにはなるので、「もっと歌モノにも使えるような表現が欲しい!」「もっとドライな音が欲しい!」といった場合には、別途その方向性に特化した音源を併用するとスムーズかもしれません。ただ、そのうえで本製品は歌モノに使用するうえで十分なポテンシャルを持った音源だと感じました。


すこやか大聖堂

最初はあまりの音源の豊富さに驚きました。「118人編成のプロオーケストラ音源」というだけで十分凄さが伝わるかと思いますが、本製品を1つ導入するだけで、オーケストラに使われている基本楽器の数々(弦楽器・金管楽器・木管楽器・打楽器)が一式揃うというのが本当に魅力的でした。しかも、セッション系やソロ系とさらに細かい分類に分けられているうえに、それぞれの奏法も基本的なものから「こんな奏法もあるの!?」と驚くようなニッチなものまでしっかり収録されているため、様々な状況に対応できる強力な音源だと思います。

中でも「Performance」系がとてもおすすめですね。今回デモソングとして書き下ろした曲はほぼ全て「Performance」系、マイクポジションは「TREE」を使用しています。入力時の強弱や隣接するノートに応じて奏法が自動で切り替わるので、最初のうちはここを基本として自分好みに調整していくのが使いやすいのではないでしょうか。

いわゆるベタ打ちの状態でも十分感情的で迫力のある音ができるので、特に演奏経験や知識がない状態でも楽しく触れました。追加でコーラスとして『KAITO V3』を、普段使いしている音源としてNative Instruments『Noire』のピアノを入れたのですが、他の音源とも綺麗に混ざってくれて、より迫力のある曲になったのではないかと思います。

<デモソング使用音源一覧>

  • 『KAITO V3』
  • 『NOIRE』
  • 『Spitfire Symphony Orchestra』
    • Violins 1 – Performance
    • Violins 2 – Performance
    • Solo Violin – Performance
    • Violas – Performance
    • Celli – Performance
    • Basses – Performance
    • Horns a6 – Performance
    • Tuba Solo – Performance
    • Tuned – Glockenspiel
    • Tuned – Timpani
    • Drums – Low
    • Percussion – Unpitched – Metal -Cymbal Med
    • Percussion – Other – Toys – Sleighbells

マキシウキョウ

音源の選択肢がすごく多い!オーケストラ制作に必要なものは全て揃っています!なんとピアノ音源まで収録されています!また、UIが直感的でわかりやすく、操作に迷うことがほぼないため、出したい音がすぐに出せます。この辺りのわかりやすさ&スピード感は制作のモチベーションに大きく関わるので非常にありがたいです。

また、一つの楽器(編成)にも用途に応じた選択肢がかなり細かく用意されています。細かい技法もふんだんに使いたい方向けに全ての奏法が選べる「All technique」、逆にこの楽器の特定の音だけが単発で欲しい!という方向けに、単体の奏法だけ読み込む「Long」や「Fall」が各種用意されているなど、作り手の希望に沿ったカスタマイズ性の高い仕様になっています。特にポップスでは、FX的に単発でここだけ音が欲しい!というようなことがよくあるため、こういった部分は非常に嬉しいポイントです。

Q4. 普段使用されているオーケストラ系音源と比較して、どのような点に魅力や強みを感じましたか?
キノシタ

普段使っているオーケストラ系音源と比べて、特に魅力に感じたのは、音の自然さ・臨場感です。単に迫力があるというだけでなく、打ち込みということを感じさせない説得力のある音が印象的でした。そのうえで、全体的に音の立ち上がりが良く、思ったフレーズを形にしやすいため、歌モノにも取り入れやすいと感じました。さらに、色々な楽器を幅広く網羅しているため、1製品の中で完結しやすい点も大きな強みだと思います。このように良いところが多いため、私としても今後オーケストラ楽器を扱う場面では、ひとまず『Spitfire Symphony Orchestra』を立ち上げて試してみようというルーティンが生まれそうです。


すこやか大聖堂

「プロ演奏による圧倒的な出音の良さ、煌びやかさ」が特に推したいポイントだと感じました。

エフェクトを入れていなくても素の音が十分良いので、ちょっと微調整するだけでも感情豊かに鳴ってくれて嬉しかったです。非常に多くの奏法やマイクポジションが用意されていますが、慣れないうちでも直感で入力できる「Performance」系を中心に少しずつ調整していけば立派な音が作れます。

中級者〜上級者の方は「Technique」系でさらに音を作り込んで、より生演奏に近い表情付けができるようになるはずです。「Technique」系等でずらりと並ぶたくさんの奏法たちも、使わないものは適宜オフできる点が個人的に助かる仕様でした。大容量ながら使いやすいよう様々な箇所で配慮されています。


マキシウキョウ

マイク調節機能が特に優れていると感じました。直感的に楽器の位置・空間調整が可能です! オーケストラ音源はウェットな状態がデフォルトですが、ここを調整することで、ギリギリまでドライな音に近づけることができます。オーケストラ音源でありながら、調節次第でポップスのようなジャンルにも対応できる懐の深さがあります。

Q5. どのような悩みを持つ、あるいはどのようなスタイルのボカロPにオススメしたいですか?
キノシタ

「Symphony Orchestra」の名の通り、オーケストラを主体とした楽曲を制作したい、より臨場感のある高音質なオーケストラ音源が欲しいと考えているボカロPさんには、選択肢の一つとして非常にオススメできる製品だと思います。

そのうえ、調整すれば比較的ドライ寄りの質感にも近づけられるため、ポップスや歌モノに落とし込んでも馴染みがよく、幅広いジャンルに応用しやすい印象でした。またGUIも分かりやすく、音の変化も把握しやすいため、「オーケストラ音源は難しそう」と感じている方にとっても、触れやすい製品だと思います。

今回触れてみたことで、まだ私が使いこなせていない機能や表現も多くあると感じましたし、研究や試行錯誤を重ねることで、さらに魅力を引き出せそうな音源だと思いました。今後も使っていくのが楽しみです。


すこやか大聖堂

まだ音源を揃え切っていない方、あるいは手持ちの音のランクを数段階一気に上げたい方に強く勧めたいです。

先に申し上げた通り「118人編成のプロオーケストラ音源」であることがとても”強い”ので、弦・金管系の豪華な音を中心とした曲を作りたい方はバラバラに音源を買うより『Spitfire Symphony Orchestra』を購入する方が金銭面でもクオリティ面でもお得なのではないでしょうか。

また、ストリングスは大人数な分、基本的に深く壮大に響きます。そのため、パキパキ・ドツドツとした固い曲調よりは、柔らかい曲調や速すぎないテンポの楽曲によりマッチするかもしれないと感じました。もちろん使い方次第で全く変わってくるはずですので色々と模索していくのも非常に楽しいと思います。


マキシウキョウ

オーケストラサウンドをがっつり作りたい!……という方にも勿論おすすめなのですが、私としては、「オーケストラと聞くと難しそうだけど、壮大な音が欲しい!」という方にも強くおすすめしたいです。わかりやすく、使いやすく、質も高くバリエーションも豊富な音源のため、気負わずガンガン使い倒せます。

プロフィール
キノシタ

作詞、作曲、イラスト制作、動画制作などマルチに活動するボカロP。
2016年よりニコニコ動画、YouTubeにVOCALOIDを用いた楽曲を公開しはじめ、現在では動画サイトでの総再生数は7000万再生を超える。
アニメソングからゲームのBGMまで幅広い分野で制作を行っている。

■代表曲

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すこやか大聖堂

2020年9月より活動中のボカロP。主にKAITOを中心とした楽曲を公開している。

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マキシウキョウ

音楽制作を中心に、イラストや映像制作なども手掛けるクリエイター。
2024年に投稿した「重音テトのフェルタゴ~ン」を機に、ボカロPとして活動を開始。
物語性のあるコロコロと展開の変わるコミカルな楽曲・BGMを作ることが得意です。

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