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SONICWIRE SAMPLES 再始動!最新作『HARDWARE TECHNO LOOPS』の制作者 ササキタカシ氏に聞く制作背景 + 実演解説!

2023年11月22日 10:50 by fum

世界最大級のサウンド素材のダウンロード販売サイト「SONICWIRE」のサンプルパックレーベル「SONICWIRE SAMPLES」より、テクノや和楽器にフィーチャーしたサンプルパック4製品が同時リリース!

今回リリースとなる『HARDWARE TECHNO LOOPS』のプロデューサーであり、札幌のライブイベントbeepの主宰や、ハードウェアシンセやリズムマシンを主体とした即興演奏、音楽活動を行うアーティスト、ササキタカシ氏から、制作背景やサンプルパックの使用例をご紹介いただきました!


『HARDWARE TECHNO LOOPS』の制作にあたり

ササキタカシ氏:

ハードウェアの電子楽器を使用するアーティストに焦点を当てたbeepという札幌のライブイベントの主催者の一人を務めていることもあり、ハードウェアのシンセサイザーやリズムマシンを主役に据えた音作りや即興演奏が自分の得意とするところです。

トラックメイクやライブの現場ではシンセサイザー本体の音色と同じくらいに、ミキサーのプリアンプやコンプなどのアウトボードでの音作り、時に音を汚す行為も有効なことが多いですが、本作のループ素材にはこのような作業も盛り込んでいます。

また、ライブ現場でのインプロビゼーションで培われた即効性の高いフレーズや、リアルタイムでのつまみやフェーダー操作で得られる音色変化を大切にしながらレコーディングする事で、現場の熱気もループフレーズに閉じ込めるよう意識して制作しました。

ハードウェア機材を中心としたパフォーマンスを行うササキタカシ氏のライブセット

サンプルパックである事の利点

ハードウェア機材でライブをするスタイルは海外ではDAWLESS、国内ではマシンライブとの呼び名で、ここ最近シーンの拡がりを感じます。僕がはじめてマシンライブと言う言葉に触れたのはTHA BLUE HERBのO.N.OさんのCLUB asiaでのライブでした。海外アーティストでは909を自在に操るJEFF MILLSも有名ですね。

僕自身は制作ではDAWも多用しますが、あえてハード機材のみでのパフォーマンスは制約があるゆえの面白さがあり、しかし同時に機材を揃えるとなるとそれなりにハードルが高いのも事実です。
また、ハード機材の習得には取扱説明書を熟読する熱意と、触って覚えて理想の音色にたどり着くまでの時間も必要です。

しかしサンプルパックを使用する事で、DAWのみの環境でもアナログシンセの音の滑らかさやパンチの効いた音色、いまでは高価で手に入れることが難しいような機材の音色を取り入れることができます。本作ではハードのリズムマシン、サンプラーならではの跳ねたグルーヴ、疾走感も再現することができるように配慮しました。

ハードウェアのシンセやリズムマシンを使用したTechnoに必要な要素を収録したサンプルライブラリ
税込価格 ¥3,850
  • メーカー:SONICWIRE SAMPLES
  • カテゴリ:サンプルパック

それでは僕のタイトルと同時リリースとなる3製品、それから過去のサンプルパックも交えつつ、使用方法やトラックメイクを実際に行って音源もお聴きいただきたいと思います。


『HARDWARE TECHNO LOOPS』を使用したトラックメイク・デモンストレーション

まずは僕が担当した『HARDWARE TECHNO LOOPS』のループを使って、簡単なデモ音源を作ってみました。

ではどんな作業をしたのかを説明していきます。と言ってもやっていることはとてもシンプルです。
ループの中から好きなものを聴きながら選び、あとはとにかく並べてみました。それだけで曲であったりトラックっぽくなるのがポイントです。作業画面はこんな感じです。

DAW上に並べられたLOOPサンプル。8種類のサンプルが配置されているのがわかる。

一部赤い線が見えますがボリュームのオートメーションを書いてゆっくりとフェードインするようにしました。が、それ以外は並べただけ。聴いて並べてみて、もし違うと思ったら他のループに差し替えてみたり、好奇心やセンスの赴くままにすべてのループをとっかえひっかえしてみたり。
それで完成形に近づけていけるのがサンプルパックを使用した曲作り、トラックメイキングの面白さだと思います。

エフェクトも最小限にとどめています。今回はリズムのループにAbleton Live純正プラグイン Drum Bussを使用しました。他のDAWをお使いの方も、EQとコンプレッサーを組み合わせることで同様の効果が得られると思います。

参考に僕が使用したDrum Bussの設定画面を紹介します。

今回のDEMOで適用したエフェクトはDrum Buss。ドラムの音像を際立たせています。

『HARDWARE TECHNO LOOPS』収録のループ素材は、コンプなどの使用を必要最小限にしています。過剰な処理をしていないので、皆さんお気に入りのコンプやEQ、アウトボードやプラグインなど自分の好きなエフェクトを試せる余地を残してあります。ぜひ実験してみてください。

またループ素材のファイル名にはbpmが表記されていますが、これに縛られる必要もありません。
DAWの機能をつかえばループ素材の音色を変えずにテンポ変更することも可能になっています。
先程のデモ音源をあえてbpm138に早くしてみました。

こんなことも簡単にできてしまいます。ぜひあなたの好みのbpmに変更してみてください。ほんの少しの変更で同じループが表情を変えてくれます。
アーメンブレイクと言われるリズムループのbpmを変えたことでHIP HOPやドラムンベースが生み出されたように、さらなる可能性を引き出せる事でしょう。

ループの中に気に入ったグルーヴがあればDAWのグルーヴ抽出機能などを使って、自分の好きな音色をハードならではのグルーヴやシャッフル、Swingで鳴らしてみても面白いと思います。
逆にオーディオループに自分のお気に入りのグルーヴクオンタイズを設定することもできますし、DAWごとに搭載している機能や作業方法は違いますが、とても簡単なので是非試してみてください!


SONICWIRE SAMPLESの製品ラインナップ

今回、『HARDWARE TECHNO LOOPS』と同時リリースとなるSONICWIRE SAMPLESのサンプルパックが3つあるのでご紹介します。

まずは『BERLIN MINIMAL TECHNO』。
ループのbpmも125から140と幅広く、特に最近のbpmが130を超えたヨーロッパのテクノシーンに影響を受けているトラックメイカーの方や、Charlotte de WitteやBEN SIMSあたりが好きな方にぜひチェックしていただきたいです。重さと硬い質感がまさにテクノの街ベルリンの音です。

ベルリンのクラブシーンにインスパイアされたミニマルテクノ向けサンプルパック
税込価格 ¥3,850
  • メーカー:SONICWIRE SAMPLES
  • カテゴリ:サンプルパック

続いて『CLASSIC TECHNO ELEMENTS』。
CLASSICの名の通りテクノ、ハウスで即使える鉄板ネタが揃っています。特にトラックの主役に使えるであろうSYNTH LOOPや、なにか物足りないときに足すと一気にプロレベルのグルーヴが手に入るTOP LOOPの充実ぶりが素晴らしいですね!

90年代クラシック・テクノの世界観をリアルに再現したサンプルパック
税込価格 ¥3,850
  • メーカー:SONICWIRE SAMPLES
  • カテゴリ:サンプルパック

最後に『KOTO』。
まさに箏の様々な奏法が散りばめられています。フレーズもリズムに合わせて使えるものから、リズムに縛られずに自由に演奏したものまであり、後者はアンビエントなどにも合いそうです。
特にKOTO_FXはノイズやチューニングしているときの音も収録されていてイメージを掻き立てられます。

日本のトラディショナルな弦楽器、箏にフィーチャーしたフレーズ集
税込価格 ¥3,850
  • メーカー:SONICWIRE SAMPLES
  • カテゴリ:サンプルパック

これら3つのサンプルパックを同時に使用して簡単なトラックを作ってみました。
こちらもループを貼り付けて展開を作っただけです。

後半にKOTOのフレーズが入る展開となっているのがわかる。

この他にも、SONICWIRE SAMPLESには即戦力で使えるサンプルパックがたくさんあります。

重いリズムにO.N.Oさんの『MACHINELIVE TECHNO』、パーカッション中心のループにKUNIYUKIさんの『NORTHERN TECH HOUSE』、シンセにSatoshi Fumiさんの『NORTHERN DEEP HOUSE』を使用して簡単に作ってみたデモはこちら。

各製品からチョイスし配置されたサンプル。組合せや配置によって様々な楽曲を作る事が可能。

このお三方に直接仕事を発注できる機会なんて滅多にありません(笑)
しかも自分の感覚で好きに組み合わせることができてしまう。
なかなか楽しいし、凄いことですよね!!

この機会に是非SONICWIRE SAMPLESをチェックしてみてください。
皆さんの音楽ライフが更に充実したものになること間違いなしです。

SONICWIRE SAMPLES 製品ページ ≫

ササキタカシ

リズムマシンやシンセサイザーを複数使い、即興でその場限りのトラックを作り上げるマシンライブ・アーティスト。Beatport主催のBooka Shade Remixコンテストで世界中の応募者の中から最後の10人に選出。その後、ソロ名義とユニットConverge+にてNYのKing Street Sounds / Nite Grooveはじめ世界の主要レーベルから50以上のTechno、Houseトラックをリリース。札幌でPCを使用しない電子楽器のライブイベントbeepも主催している。2023年1月に参加したFEARLESS RECORDINGSのコンピレーションアルバム「Flower of Life」はBeatportのTechnoチャートで世界3位に。2023年11月にはイタリアのLETS TECHNO recordsからEP、12月にはFEARLESS EMOTIONSからリミックスのリリースも予定している。

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