EVOLUTION SERIES 社 Anthony Ammar 氏に訊く、和楽器音源『CHRONICLES MIYABI』ショート・インタビュー
その飽くなき探求心によって、こだわりの光るライブラリを生み出すデベロッパーEVOLUTION SERIESの和楽器音源『CHRONICLES MIYABI』。細やかな調整/編集に気をとらわれずに音楽的な創作に集中できるよう制作されたソフトウェア音源「CHRONICLES シリーズ」に連なる『CHRONICLES MIYABI』は、美しく豊かな日本の伝統に焦点を当て「琴」「三味線」「尺八」を収録しています。生々しい人間味のある演奏がサンプル化されており、直感的な操作と演奏によって生き生きとしたパッセージを作り出すことができます。
今回、EVOLUTION SERIES 社の共同設立者であり開発者の一員でもあり、自らコンポーザーとしても活躍するAnthony Ammar 氏へ、『CHRONICLES MIYABI』についてお話を伺いました。『CHRONICLES MIYABI』リリースに込められたAnthony 氏の想いが少しでも伝われば幸いです。
なぜ和楽器の音源を制作されたのですか?
Anthony Ammar氏
若い頃から日本の伝統的な和楽器が好きで、特に映画の中での演奏に感銘を受けました。私は和楽器の美しさ、情緒、洗練性を、いつかサンプリングしてみたいと思っていました。最も難関だったのは、一緒に仕事をするのに適したミュージシャンを見つけることでした。幸いなことに、サツキ(箏曲家:小田村さつき氏)とブロンウィン(尺八奏者:Bronwyn Kirkpatrick氏)がプロジェクトに参加してくれたので、私の夢は実現しました。「MIYABI」の誕生です。
『CHRONICLES MIYABI』のおすすめポイントは?
「MIYABI」でお気に入りのポイントは、収録したオーディオサンプルに命が宿っているところです。まさに生の音であり、人間的であることに誇りを感じています。そのニュアンスのサンプリングに成功したことで、リアルな動きや質感を楽曲の中で簡単に作り出すことができるようになりました。
個性的な楽器をサンプリングしたソフト音源は、レガートなど各種奏法をできるだけ精密に再現する多機能なものが多いですが、「CHRONICLES シリーズ」のようにシンプルな仕様を選んだ理由は?
ライブラリを作る原動力は、常に作曲家としての私のニーズに基づいています。私はレガートが大好きなので、これまで開発してきたいくつかのライブラリに実装しました。レガート楽器を作成する際の問題は、一般的にメロディックなシーケンスには最適ですが、同じ音符を繰り返し発音する場合にはフェイク感が出てしまいます。
そこで「CHRONICLES シリーズ」では、サンプルの「生」感や「人間味」に重点を置くことで、従来のレガート楽器では不可能だったリアリズムを与えることができました。ソフトウェア上で行う楽曲制作において、このサンプリングのコンセプトがハマったことがキーポイントです。
『CHRONICLES MIYABI』を自分の作品に導入する場合の、おすすめな使い方はありますか?
個人的には非常に使いやすい音源だと思っています。アンサンブルを作成することも、楽器単体の操作もできますし、デフォルトのスナップショットをロードしてもクリエイティブなアイデアが溢れ始めます。収録されているリズミカルなアーティキュレーションを活用することで、細かなエディットを気にすることなく非常にリアルで活き活きとしたトラックを作成できることができますよ。
また、「CHRONICLES シリーズ」の外見はシンプルに見えるかもしれませんが、合理化された操作性をユーザーに提供するため、裏では緻密なコーディングがなされています。Home ページ画面の”VR Stage”でアイコンを動かすだけで、サウンドが非常にドライなクローズ ~ ルームサウンド ~ エピックサウンドまで調整できるのは知っておくと便利です。
最後に、日本のユーザーへ一言
和楽器をサンプリングしてライブラリを作ってみたいという私の願望に加えて、クリプトンのチームがインスピレーションを与えてくれました。日本の皆さんが『CHRONICLES MIYABI』で作る素晴らしい音楽を耳にするのが楽しみです。
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