世界で人気のマスタリング・ツール『The God Particle』取り扱い開始!『Ozone 12』との違いは?
Cradle 『The God Particle』
ここ数年、マスタリング用の優れたプラグインが続々とリリースされており、特にAI技術を導入したiZotope 『Ozone』が最終兵器然とトップの座に君臨しています。
Sonicwireの取扱製品に新たに加わったCradleの『The God Particle』は、AIの搭載もなければ細かなパラメータもなく、どこからどう見ても淡白な製品なのですが、『Ozone』をはじめとするマスタリング特化プラグインに肉薄するほどの精度を誇ります。
本記事では、ふだん使いのマスター出力用プラグインを『Ozone』から『The God Particle』に乗り換えて愛用し続ける筆者(電子音楽、ボーカル曲など幅広く制作)が、その魅力をごく簡潔にまとめていきます。
ボーカル曲向き、低音豊かで圧迫感のない仕上がり
まずは、ざっくりと表にまとめて比較してみます。ここでの『Ozone』は、かなりアグレッシブに設定した場合とお考えください。
| The God Particle | Ozone | |
|---|---|---|
| 設定の難しさ | ほぼ無し | やや難 |
| 入出力における音の変化 | 軽微 | 大 |
| 音圧のガン上げ | × | ◎ |
| デジタル感(ジャギー感) | ほぼ無し | 強 |
| クリア感 | ◯ | ◯ |
| 調整の幅 | 少 | 多 |
『Ozone』はプリセットが豊富、そのうえ先進的なAIが搭載されて便利です。知識が求められますが、細かな設定のカスタマイズも可能です。
激しめな音楽などガツガツと音圧を上げたい場合には非常に強力ですが、やり過ぎるとデジタル臭さが強くなったり楽曲が平坦になりやすい傾向があります。
設定次第で大きくサウンドが変化するというリスクと魅力が表裏一体のツールといえるでしょう。
一方の『The God Particle』は設定できる項目が極めて少ないにもかかわらずバランスが保たれたまま一定の音量まで上がります。初めてでも安心。
よほど過大入力さえしなければデジタル臭さや歪み感は不思議と発生せず、背骨のような芯が通り、抑揚にも対応するしなやかさを備えています。
比較的負荷が低いので、マスターに差したまま各チャンネルのバランスを整えるといった現代的な使い方に向いています。価格もかなり抑えめです。
ちなみに、うちの環境では『The God Particle』の前にSlate Digital社の『Fresh Air』、oeksoundの『bloom』『soothe2』を必要に応じて軽くかけて、最終一歩手前の質感の調整を行っています。

自分に合ったものを選ぶのが大事!
大まかに言って、歌モノのように”核となるものが動的”な楽曲を仕上げるには『The God Particle』のほうが手間要らずな印象を受けます。
『Ozone』の多機能さは、たとえばStudio One Proのように複数曲を並べてマスタリングを行えるDAWを使用する際に、曲同士の質感を整えたいなどといった場面で効果てきめんです。
どちらを選んでも間違いはありません。ただ、音楽の性質や制作スキル(あと性格)を踏まえて、自分に合ったソフトを選ぶのが大事であることは確かでしょう。
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