SONICCOUTURE(ソニックチュール) – オススメのレア音色ソフトウェア音源をご紹介!
2005年にDan PowellとJames Thompsonの二人によって設立されたイギリスのデベロッパーSONICCOUTURE。サンプリングCD全盛の時代からKONTAKT フォーマットに注目し、高度なスクリプト技術を駆使したタイトルは多くのアワードを獲得してきました。また、”空間性”や”音のディティール”にも深いこだわりを持ち、前例のないレベルでHangやバリ島のガムランなどの響きを封じ込めたライブラリなどもリリース。最も独創的で革新的なデベロッパーの一つとして瞬く間にその地位を確立しました。
今回は、そんなSONICCOUTURE 製品の中から、サウンドであったり着眼点が『レアな』音色にスポットを当てた4製品をご紹介します。
- 『HAUNTED SPACES』世界各地に宿る、過去の気配を奏でる
- 『ELECTRO-ACOUSTIC』15台のドラムマシンをスタジオレコーディングしたサウンド
- 『MORPHEUS / KP』神の名を持つアルミニウム製の鉄琴
- 『BROKEN WURLI』歪みの中に生まれる個性、”壊れた”ヴィンテージ・エレピ
1.『HAUNTED SPACES』
『HAUNTED SPACES』は、フィールドレコーディングによって収録された環境音をミックス/モジュレーションすることによってアンビエンスを奏でるシネマティック・サウンドスケープ音源です。フィールドレコーディングされたサンプルを使用する音源は、2021年12月にリリースされた『GEOSONICS 2』の印象が新しいですが、『HAUNTED SPACES』は特定の場所に宿る過去の気配を音として捉えることにフォーカスされています。
フィールドレコーディングの第一人者であるクリス・ワトソン氏のコレクションより、大寺院、氷の丘、冷戦の基地、放棄された銀鉱山、発電所、大聖堂、渓谷、水中トンネル、荒廃したアートギャラリー、マオリ埋葬洞窟などの情景音に加え、シンセやパーカッションのオーディオサンプルを収録。その中から4つソースを選択し、XYコントローラをベースにした「キューブ・コントローラ」でミックス/モジュレーションを行いサウンドを作り上げていきます。皆さんも、神社の境内や歴史的な建造物の中などで、言葉として言い表せない雰囲気や気配を感じた経験があるのではないでしょうか。その感覚を音楽として演奏することを目指した音源です。
2.『ELECTRO-ACOUSTIC』
『ELECTRO-ACOUSTIC』は、15台のビンテージ・ドラムマシンのサウンドを収録していますが、ドラムマシンを収録した一般的な音源とはちょっと異なります。ドラムマシンのサウンドと、スタジオ・レコーディングしたドラムの暖かさを融合させるアイデアを基に、ドラムマシンのサウンドをスタジオで鳴らしてレコーディングすることを思いつき実行しました。
スタジオへ持ち込んだクラブのPAシステムやベースアンプ、サブウーファーなどを使ってドラムマシンを鳴らし、マイクでレコーディング。ADコンバーターを用いてサンプリングされたドライなサウンドと、スタジオのあちこちにルーム・マイクを立てて階段や窓の振動もひっくるめて収録されたアンビエンス、PAからの出音でスタジオ内に保管されていたタムが共鳴している音などをミックスしてサウンドを作っていきます。定番ドラムマシンでありつつも頭一つ抜けた個性のサウンドを探している方にオススメです。
3.『MORPHEUS / KP』
『MORPHEUS / KP』は、その美しく癒される音色からギリシャ神話の神の名を冠された米FREENOTES社のアルミニウム製鉄琴「MORPHEUS」の音色を収録したソフト音源です。2オクターブ半のフルクロマチック・モデルに、もう1オクターブ下の6音域をカバーする「ベース・ウイング・エクステンション」を追加したモデルが使用されています。皆さんが思い浮かべる、いわゆる「鉄琴」の音とは少々異なり、ガラスの音色にも近いような幽玄な響きを放ちます。ここで進化を発揮するのがSONICCOUTURE のスクリプト技術。比較的シンプルなインターフェースに、永遠にサステインさせるループやリバース、トレモロ/アンサンブル・コントロールや21種類のエフェクト、IRリバーブ、そしてスタンダードなランダム・アルペジエイター「JAMMER」、ノートが揺蕩うアルペジエイター「CALDER」、そして入力されたコードが少しずつ変化していくアルペジエイター「CHORD MUTATION」といった機能が盛り込まれています。それらを駆使し、現実的には演奏が不可能な神秘的なパッド/ドローン/アルペジオなどをすぐに演奏可能なSnapShot プリセットもそろっています。
尚、同系統のサウンドでは、希少価値の高い3種のガラス楽器を収録した『GLASS WORKS 2』や、博物館に所蔵されている100年以上も昔の石琴を奏でる『THE SKIDDAW STONES / KP』もオススメです。
4.『BROKEN WURLI』
『BROKEN WURLI』は、その名の通り”壊れた”Wurlitzer 200A”エレクトリック・ピアノをサンプリングしたソフト音源です。本製品の開発は、「ジャンキーで、それでいてクールなサウンドの古いキーボード」を探すところからスタートしました。探し当てた丁度よく壊れた個体のサウンドを余すことなくライブラリ化するため、サンプリングの現場ではビンテージマイクを含む4種類のマイクを使用し、壊れたスピーカーから放たれる野性的なサウンドと、まともなスピーカーからのクリーンながらもローファイなサウンドをサンプル化。そしてラインアウトからのアウトプットも収録されており、この3つの音をミックスして音を作っていきます。適度にミックスすることで、壊れ感を前面に出さず普通に使えるビンテージ感強めなエレピ音源に変身。キーオフ時のノイズや、演奏中のバックグラウンドノイズも再現され、非常にリアリティ溢れる演奏が可能です。ソフト音源ならではの自由度でSONICCOUTURE 社のお家芸ともいえるエフェクティブな加工を施した”Sound Design” パッチも多数収録。たとえ壊れた機材だろうと、SONICCOUTUREの手に掛かれば壊れる前以上のポテンシャルを与えられた楽器として生まれ変わることができるのです。
まとめ
今回は、レアもの揃いのSONICCOUTURE製品の中から、独断でチョイスしたオススメの4タイトルをご紹介しました。これらの製品以外にも、音ネタを探す着眼点もさることながら、そのネタをどう料理するか、どういった機能でより興味深い音に仕上がるかといったことが綿密に計算され構築されている製品ばかり。さらにはどの作品も作曲家/プロデューサーの為を第一に考え、とても音楽的なプロダクトにまとまっています。制作中の楽曲で、何か聴いたことの無い一音が欲しい時には、是非SONICCOUTURE 製品をお試しください。
folder NEWS, SONICWIREニュース, クリプトンDTMニュース, ソフト音源, ピックアップ
label hang, SONICCOUTURE, アンビエンス, エレクトリック・ピアノ, シネマティック, ソフト音源, ドラム・マシン, ドラム音源, 鉄琴