SONICWIRE

ボカロP “cosMo@暴走P”さん に聞く!大人気曲のボーカルトラックに使用しているプラグイン・エフェクトと、ソフトウェア音源、その設定をご紹介。

2022年5月25日 15:00 by toy

音楽制作の中で、ボーカルやコーラスといった”声”に挿すエフェクトというのは非常に重要です。エフェクト1つで音量や音像、距離感などの聴こえ方が大きく変わってくるため、楽曲の世界を形作るのに欠かせない大きな構成要素となります。

SONICWIREでは、クリエイターの皆さんがボーカルエフェクトに対してどのようなアプローチを取っているかお話を伺い、まとめていく企画、題して「クリエイターバトン」を実施中です!この企画では、「実際に楽曲に使われているボーカルトラックに挿しているプラグイン・エフェクト」をご紹介。
実際に楽曲を聴きながら、どのような変化をしているかをご確認いただけます。また各エフェクトのパラメータが公開されることも。具体例を確認しながらボーカルエフェクトについて学ぶことで、クリエイターのノウハウやテクニックを日々の制作にご活用いただけます。
 
さらにこの企画では、次のクリエイターさんをご紹介で繋いでいくバトン方式を採用。次回はどなたが担当されるのか、、、是非そちらにもご期待ください!

 


■ クリエイター紹介「cosMo@暴走P」さん
第12弾は、「僕は空気が嫁ない」「初音ミクの消失」をはじめ、昨年の「マジカルミライ 2021」のテーマソングである「初音天地開闢神話」などの楽曲を手掛けるcosMo@暴走Pさんにご担当いただきました。

 

今回 cosMo@暴走Pさんには、そんな「マジカルミライ 2021」テーマソングの「初音天地開闢神話」を題材に、使用されているプラグイン・エフェクト、ソフトウェア音源について教えていただきました!cosMo@暴走Pさんならではの「早口」な歌詞パートの調整についてもお答えいただいています。是非最後までご覧ください!

 

■ 初音ミクにインサートしているプラグイン・エフェクト

Waves – 『DEESSER』

cosMo@暴走Pさん:
ディエッサーです。主に子音の高音が耳にキツい時に緩和する目的で使います。
サ行(特にし・す)・つ・ち等の高音が気になるときは大体これで抑えます。

Waves『DEESSER』製品ページ ≫

Waves – 『C1 COMPRESSOR』

cosMo@暴走Pさん:
コンプレッサーです。ボーカルのアタック感を強めるために使います。

Waves『C1 COMPRESSOR』製品ページ ≫

Waves – 『TRUEVERB』

cosMo@暴走Pさん:
リバーブです。ボーカルのマイクからの距離・空気感を調整します。

Waves『TRUEVERB』製品ページ ≫

SONAR付属ディレイ「Sonitus:delay」

cosMo@暴走Pさん:
うっすらかけて声の迫力を補ったり・リバーブの補佐的に使ったり用途は様々です。

SONAR付属EQ「Sonitus:equalizer」

cosMo@暴走Pさん:
普通のEQです。音のキャラクターを作ります。

SONAR付属モジュレーター「Sonitus:modulator」

cosMo@暴走Pさん:
フェイザー/フランジャー/コーラス系のエフェクト詰め合わせプラグインです。
「初音天地開闢神話」ではコーラスパートにおいて声が重なっているニュアンスを出すために使いました。
■ ボーカルのバス・トラックに挿すプラグイン・エフェクト

SONAR付属マルチバンドコンプ「Sonitus:multiband」

cosMo@暴走Pさん:
ボーカル全体の音量を整えるのに使います。
■ よく使うソフト音源+ボーカル以外に挿すプラグイン・エフェクト

XLN Audio – 「Addictive Drums 2」

cosMo@暴走Pさん:
ドラム音源です。短時間で良い感じの音を作れるので「初音天地開闢神話」を制作した当時(2021年)はよく使っていました。
最近は純粋なバンドサウンドをあまり作らないので使用頻度は減っています。

Music Lab – 『REAL STRAT 5』

cosMo@暴走Pさん:
エレキギター音源です。ギターは弾けないので打ち込みです。
奏法の豊富さや、弾く弦・抑えるフレット・ピックポジションを細かく指定できる点が気に入っています。
今回の「初音天地開闢神話」では使用していませんが、メタルのリフ等重いニュアンスが欲しいときは同社のソフトウェア音源『REAL LPC 5』を使っています。

MUSIC LAB『REAL STRAT 5』製品ページ ≫
MUSIC LAB『REAL LPC 5』製品ページ ≫

Synthogy – 「Ivory II」

cosMo@暴走Pさん:
ピアノ音源です。特にこだわりはないのですが昔から使い続けています。

Spectrasonics – 「Trilian」

cosMo@暴走Pさん:
ベース音源です。シンセベース・ウッドベース・エレキベース等、一通り網羅しているので重宝しています。

Heavyocity – 『DAMAGE』

cosMo@暴走Pさん:
シネマティックで迫力のあるパーカッションが一通り収録されています。
「初音天地開闢神話」では中盤の5拍子のパートで活躍しています。

HEAVYOCITY『DAMAGE 2』製品ページ ≫

Native Instruments – 「Guitar Rig 5」

cosMo@暴走Pさん:
ギターやベースを挿す実際のアンプの代わりとなるプラグインです。「初音天地開闢神話」を制作当時(2021年)はGuitar Rig「5」でしたが現在は「6」を使っています。
もともと使いやすいプラグインでしたが、6になってプリセットやエフェクターの種類が増えさらに使いやすくなったと思います。
― ミックス・マスタリングの際に心がけていることはありますか?

cosMo@暴走Pさん:
ミックス以降の過程では悩まなくて済むように、前段階の音作りに重点を置いて制作しています。
あとは早口なボーカルになることが多いので、ちゃんと聞こえるように過剰なくらいボーカル最優先でミックスします。
■ 次回クリエイター紹介:「OSTER project」
cosMo@暴走Pさん、ありがとうございました!

 

次回の第13弾は、cosMo@暴走Pさんのご紹介により、「ネコに風船」「on the rocks」「ミラクルペイント」などの楽曲を手掛けるOSTER projectさんのエフェクトチェインをご紹介いたします。
次のクリエイターバトン企画にも是非ご期待ください!
第11弾
Dios/シグナルPさん
第13弾
準備中 ≫

cosMo@暴走P

cosMo@暴走P

フリーランスサウンドクリエイター。
2007年頃より動画サイト・SNS上で人気を博し、以降現在に至るまでゲームやアニメ、CDアルバムなど各種コンテンツへの楽曲制作を中心に作詞・作曲家として活動を行う。
音楽ゲームが好きで音楽制作を志したという自らのバックグラウンドを生かし、近年は音楽ゲームに多数楽曲を提供している。
楽曲作りに付随しイラストや動画制作も手がける。