ボカロP“BIGHEAD”さんに聞く!新曲のボーカルトラックに使ったプラグイン・エフェクトと、その設定をご紹介。
音楽制作の中で、ボーカルやコーラスといった”声”に挿すエフェクトというのは非常に重要です。エフェクト1つで音量や音像、距離感などの聴こえ方が大きく変わってくるため、楽曲の世界を形作るのに欠かせない大きな構成要素となります。
さらにこの企画では、次のクリエイターさんをご紹介で繋いでいくバトン方式を採用。記事中で次に紹介いただくクリエイターさんを発表いたしますので、そちらにもご期待ください!
BIGHEADさん:
自分の頭の中にある音に縛られないで新鮮なサウンドを作るために、他人が作ったpresetから音を探していきます。
iZotopeのNectar3ではEDM ENHANCEMENT/Heavily distorted space/ducked delayなどを基に微調整していくことが多いです。
自分は初音ミクの調整をほぼしないので、人間の声の様な複雑性やTravis Scottみたいな歪みを付加するために
Abbey Road Saturator/AVALON VT-737sp/THERMALなど色々な倍音を付加していきます。
OUTPUT社のTHERMALは入力音に対して動的な歪みやXYコントロールでランダムな歪みを作れるので初音ミクの声に合うと感じています。
思い切ったボーカルの音像を作ってみたので、ぜひ聴いてみてください!
今回プラグイン・エフェクトのチェーンを教えてくれた曲は、2020年8月にリリースされた『ANXIETY FEAT.HATSUNE MIKU』。ミステリアスな雰囲気とノリの良いビート、さらに初音ミク Englishによるクールで魅力的な歌唱が特徴の楽曲です。
今回の楽曲のボーカルに挿されているプラグイン・エフェクトは下記の10種類。実際にご使用いただいているプラグインを、インサートしている順番どおりに教えていただきました。
また今回は実際に設定されているパラメータを参照できるよう、操作画面のスクリーンショットもご提供いただきました!是非画像をクリックして、それぞれのプラグインに設定されているパラメータも参考にしてみてください。
ANTARES『AUTO-TUNE EFX+』製品ページ »
『Vocal Synth 2』製品ページ »
「SUB LOWで“キー”を選択できるので悩まずにグッと上げられました」とのことで、昨今のトレンドであるピッチの調整を行いながらビートサウンドの構築ができる点を重宝いただいています。
『Beatformer』製品ページ »
これによって全体のサウンドに統率感が生み出され、聴いていて非常に楽しい楽曲に仕上げられていますね。
『DynOne』製品ページ »
第2弾 はるまきごはんさん » |
BIGHEAD (旧名義: エレキP)
Musician
10代の頃より音楽活動を始め、ギター、ベース、ドラム、ミックス機材などを習得。音楽制作会社勤務を経てフリーコンポーザーに転身。CM音楽の製作、編曲、レコーディングなどを手がける。2012年より「初音ミク」を使用したボーカロイド楽曲の制作をはじめる。
2014年『Story Rider』(エレキP名義)がLADY GAGAのコンサート「LADY GAGA’s artRAVE: the ARTPOP ball」(北米16ヶ所公演)の初音ミクによるオープニングアクトで演奏された。
同年、名義をBIGHEADに改め、初音ミクの世界ツアー「HATSUNE MIKU EXPO 2014 in LA&NY」のテーマ曲『Sharing The World』を作曲。開催地ロサンゼルスのアフターパーティーにてDJプレイを披露。同楽曲は全米放送の人気番組CBS「Late Show With David Letterman」で放送されたほか、「将棋 電王戦 FINAL」のPV動画や「初音ミク -Project Diva- X」など世界中で楽曲使用されている。
その他、GOODSMILE RACINGのチームテーマソング、雪ミクスノースポーツラインの公式テーマ曲、CMソングを手掛けるなど多岐にわたる活動を行っている。
北海道札幌市在住
folder SONICWIREニュース, インタビュー/レビュー, クリプトンDTMニュース, プラグイン・エフェクト, 活用方法
label BIGHEAD, DTM, VOCALOID, エフェクト・チェイン, クリエイター・バトン, ボーカル・トラック, 初音ミク