【Tips】oeksound『spiff』を使用して自由自在にトランジェントを調整!
2020年8月7日 21:00 by rym
6月よりSONICWIREでも取り扱いを開始したoeksound社の『spiff』と『soothe2』の2製品。両製品が高いスペックを持ちながらも、そのスタイリッシュなUIや使い勝手の良さで注目を集めています。
今回はその中でも『spiff』について、活用方法や使用例などのTipsをご紹介いたします!
帯域毎のトランジェントを自由自在に調整できるプラグイン
『spiff』は、処理範囲を「帯域(周波数)」という区分で分け、イコライザーと同じような使用感でトランジェントのカット/ブーストが調整できるプラグインです。プラグインの見た目はまさにイコライザーそのものですね。
「トランジェント」とは?
それではそもそも「トランジェント」とは何でしょうか?原語となる英単語の”transient”は「一時的な、瞬間的な」などの意味を持っていますが、DTMにおいては音の成分の1つであり、いわば「音の立ち上がり(ピアノや打楽器などの音が鳴り始めた瞬間。アタック)」を指すものです。
そのトランジェントの様々な成分を調整する「トランジェントシェイパー」や「トランジェントフィルター」などのエフェクトが存在しますが、これらのエフェクトを用いて成分を調整すると、「音の迫力」や「抜けの良さ」をさらに向上させることができるのです。
『spiff』を使用したトランジェントの調整
さてそんな「トランジェントの調整」において『spiff』が持つ、他のトランジェントエフェクト製品と異なる”強み”こそ、「帯域別にダイナミクス(音の大きさ)をコントロールできる」ということです。EQの使用感によってもたらされる新しいトランジェントの制御方法により、トランジェントエフェクトを「特定の帯域に対してピンポイントに狙い撃ち」することが可能になりました。
まずは「cut(カット)」「boost(ブースト)」2つのモードから、用途に合わせてどちらかを選択します。
イコライザーのエリアでエフェクトを適用する帯域を指定(ノブを上に持ち上げるほどより多くのエフェクトが適用される)し、「depth」で全体に対してかかるエフェクトの量を調整します。
その他のパラメーターでは、エフェクトの鋭さやトランジェントの検出感度などを含めた様々な設定を行えます。背景のエフェクトで、どの帯域にどの程度ブーストやカットの効果が適用されているかをリアルタイムで確認できます。
こういった「特定の帯域に対してのトランジェントエフェクトの適用」によって、実際の制作の中では次のような場面に活かすことができるでしょう。
- ピアノの中高音域に対してのみブーストを適用
- オーバーヘッドのスネアの帯域のみブーストを適用
- リードシンセの中音域に対してカットを適用
→弦を強く弾いたような、硬い引き締まったサウンドを演出
→締まりのあるスネアサウンドになり、リズム隊がより強調される
→アタックが弱くなり、ドラムからサイドチェインがかかっているような柔らかい立ち上がりになる
『spiff』で各トラックのメリハリを付けることで各サウンドがより独立したものとなり、楽曲全体に立体感が生まれます。
どのエフェクトでも言えることですが、過度な設定は聴きにくいサウンドを生み出すことになるので注意!この製品は控えめな設定でも十分に効果を発揮してくれます。
どのエフェクトでも言えることですが、過度な設定は聴きにくいサウンドを生み出すことになるので注意!この製品は控えめな設定でも十分に効果を発揮してくれます。
もちろん上記の例に限らず、このプラグインは使い方次第でどんなインストゥルメントにも活用できますし、マスタートラックに挿して全体の音圧を引き上げることもできます。
帯域毎にかかり具合を調整できるからこそ、これまでのトランジェントフィルターではあり得なかった結果を得られることもあります。使い方と得られるサウンドはまさにユーザー次第です!
帯域毎にかかり具合を調整できるからこそ、これまでのトランジェントフィルターではあり得なかった結果を得られることもあります。使い方と得られるサウンドはまさにユーザー次第です!
folder NEWS, SONICWIREニュース, クリプトンDTMニュース, プラグイン・エフェクト, 活用方法
label Audio Units, OEKSOUND, VST, トランジェント, プラグイン・エフェクト