多弦ギター音源比較!『SHREDDAGE 3 HYDRA』vs『AMPLE METAL HELLRAZER III』
ヘヴィメタルやハードロックで使われるリフを中心としたハイゲイン系ギターの打ち込みは昔から避けられてきましたが、ギター音源の進化が目まぐるしい昨今はハイゲイン系を主戦場とする7弦以上の“多弦ギター”音源が各メーカーからリリースされています。そうなると、一体どのメーカーの音源が自分にベストなのか?気になるところですね。
そこで今回は、IMPACT SOUNDWORKS『SHREDDAGE 3 HYDRA』とAMPLE SOUND『AMPLE METAL HELLRAZER III』で同じリフを使用した簡単な楽曲を用意し、各音源をご紹介します。
low-Eにドロップチューニングされた8弦ギターIron Label“RGIF8” を丁寧にレコーディングしたギター音源。かつてIMPACT SOUNDWORKS の人気を確固たるものにした『SHREDDAGE II』の後継シリーズ製品です。最大4本分のギターを重ねられる“Multi Tracking”に対応しているので、リフに音の厚みを持たせることができます。
『SHREDDAGE 3 HYDRA』内臓のアンプシュミレーターやキャビネットは“Console”画面で設定が可能です。“Console”画面では、Neck / Bridge ピックアップそれぞれにアンプシミュレーターやキャビネットを含むコンプレッサー、ディストーション、EQ、コーラスなど30種のFXユニットから8つのエフェクトをインサートできます。マスターアウトは、インサートに加えてセンドも設定可能。
よく出来ている点として、ギターに関してあまり詳しくない方でも簡単にサウンドメイキングが出来るように豊富なプリセットが用意されています。その数55種類!これだけの種類がありますと、大抵のジャンルはカバー出来ますね。面白いことに、多弦ギターですがヘヴィメタルやハードロックだけに限らずジャズなどのジャンルにも使えるプリセットが用意されている点は、非常に好感が持てます。
ちなみにプリセットに関しては、『SHREDDAGE 3』シリーズそれぞれの音源ごとに多少違いがありますが共通しているプリセットも多く、SHREDDAGE 3 シリーズを揃えられている方は後でギター本体の音源を差し替える(ギターを持ち替える)ような使い方も可能です。
【感想】
オーディオサンプルは全体的に音の粒がはっきりしていて、アンプの歪み成分を多くすることで失ってしまうアタック感なども最小限に抑えることが出来るので、ヘビー系の楽曲以外にも多弦ギターのサウンドを取り入れることも容易です。各弦音の輪郭がハッキリしており14GBものサンプルの多さがその実力を物語っています。通常の6弦ギター音源しかお持ちでない方で、特にヘビーな楽曲をやる予定がない方でも1つ持っていても損はないかと思います。内臓のエフェクター陣は好みがあると思いますが、代わりにDAWのミキサー上でお気に入りのアンプシミュレーターなどお使いいただくのも良いですね。
また、何と言ってもMulti Trackingが一番の魅力で、ヘビー系の楽曲では同じリフを何本も重ねて臨場感を出すことが多い為それをスイッチ一つで出来るのは非常に魅力的です。
『SHREDDAGE 3 HYDRA』で制作した音源はこちらになります。ギターの音作りには、内蔵エフェクトを使用しています。
泣く子も黙る“9弦ギター”唯一の音源。ですが作りはシンプルで、Ample Soundのいずれかの製品をお持ちの方であれば操作は問題ないかと思います。そもそもAmple Sound 製品は、ギター/ベース音源の中でも使いやすい部類に入るので、ギター音源が初めての方でもご安心ください。
『AMPLE METAL HELLRAZER III』内臓のアンプシミュレーターは、Mesa Boogieのモデリングと思われる2機種を中心として計6種類用意されています。さらに、7種類のキャビネット、2本のマイク(それぞれ8種類からモデル選択)とルームマイク、DI、キャビネットのサウンドをMIXできます。
FX パネルには“Comp”“EQ”“Echo”“Reverb”エフェクトを搭載しています。画面左下に並ぶアイコンでエフェクト表示を切り替え、視覚的に調整できますので、初めはちょっとわかりづらいかもしれませんが基本的な音作りで困るようなことはないかと思います。
アンプ周りが細かく設定できる分、ギターに触れたことがない方にはちょっと難しく感じるかもしれませんが、こちらもプリセットが用意されていますので、音作りがあまり得意ではない方も安心していただいて大丈夫かと思います。
【感想】
モデルとなっているSCHECTER 社のギター本来の特性でしょうか、非常に歪みの乗りが良い音源。使用出来るジャンルとしてはやはりヘヴィロック中心となってしまいますが、歪みの乗り具合はこちらの方が1枚上手かもしれません。いわゆる”ヘヴィリフ”と言われるサウンドを簡単に作り出すことが出来る点は非常に優れていると思います。注意点としては、各プリセットのアンプシミュレーターが、初期設定でGainが“10”とかなり高い値になっていることが多いので、少し下げてあげることで音の輪郭が出てきます。
サクッと作りたい方に非常に向いている音源だと思います。
『AMPLE METAL HELLRAZER III』で制作した音源はこちらになります。こちらも、ギターの音作りは内蔵エフェクトを使用しています。
【番外編:2本のギターを混ぜてみると】
歪みの乗りが良い『AMPLE METAL HELLRAZER III』と、輪郭がしっかりしている『SHREDDAGE 3 HYDRA』を組み合わせてみました。実際のギターレコーディングにおいても同じリフを複数のギター&アンプで鳴らして重ねることは多々ありますので、それをDAW上で再現しました。両音源ともに同じボリュームレベルですと音が大きすぎるので、各音源-2.0dbで調整しています。
これを生のレコーディングでやろうとすると時間と労力もかなりかかりますが、ギター音源だと比較的簡単に短時間で出来てしまうのは本当に嬉しいところですね。
音源を一つにこだわるのではなく、異なる種類の音源を合わせることによって新しいサウンドを構築してみるというのもいかがでしょうか?
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