SONICWIRE

プロデューサー・コンポーザー・ギタリストのGodspeed/青木征洋 氏より、TOONTRACK の最新/究極的ドラム音源『SUPERIOR DRUMMER 3』のレビューをいただきました!

2017年11月2日 09:34 by T

新世代のプロデューサー、コンポーザー、ギタリストとして注目を集め、活動をグローバルに展開するGodspeed/青木征洋 氏より、TOONTRACK の最新/究極的ドラム音源『SUPERIOR DRUMMER 3』のレビューをいただきました!


ついにドラムキットの音が出るライブラリが誕生した

Toontrackに対する僕の印象は「ドラムのキャラクタをデフォルメしてライブラリ化するのが非常に上手いメーカー」だったのですが、Superior Drummer 3でそれが吹っ飛びました。これはもう完全にドラムキットそのものです。

恐らく、これまでのSDXEZXに慣れた人はその音の違いに面食らうことと思います。最初からジャンルを絞ってミックスされた従来のライブラリとはあまりに感触が違うため戸惑うかもしれませんが、プリセットも豊富に用意されていますし、これが現代のハイクオリティなドラムライブラリの音だということを基準を自分の中に作ることには大きな意義があると思います。

George Massenburg氏がレコーディングしたという安心感

クオリティの話について、George Massenburg氏がエンジニアリングを担当しているというのが僕にとって衝撃的なニュースでした。個人的な話ですが僕が信頼するエンジニアのKENJI NAKAI氏(https://twitter.com/kenjinakai101)の師匠であるGeorge Massenburg氏がレコーディングを行っているという事実が僕にとって比類ない安心感に繋がっています。また、細かい話ですがサンプリングにShure SM57を1本も使っていないというのも僕の中で安心して使える理由の1つだったりします。

音のキャラクターについて

ドラムに限った話ではないですが、サンプルライブラリを作る上で完全な汎用性とハイクオリティの両立は難しく、何かしらのスタイルであったりコンセプトに沿ったものになると僕は考えています。Superior Drummer 3のコアライブラリのキャラクターについて考えた時「そこにドラムキットの存在が感じられる音楽」に最適だと感じました。言い換えると、目の前でバンドが演奏しているような生々しさを録音で表現しなければならない音楽です。そういった意味では最も劇伴に適したライブラリの一つと言えると思います。サラウンドに対応しているということもありますし。自分でミックスするのが難しくても録り音が素晴らしいので、これまでのToontrackのライブラリと比較してエンジニアの方もミックスしやすいのではないかと思います。

ミキサーの進化が嬉しい

Superiorが1から2になった時、ミキサー内でエフェクトをかけられるようになって感動したのを覚えているのですが、Superior Drummer 3ではエフェクトの種類が一気に拡充されて、その気になればSuperior Drummer 3のインスタンスの中でミキシングが完結できるところまできました。Punch Exciter 180のかかりが強烈で個人的お気に入りです。あとリバーブ類が追加されたのも嬉しいポイント。

とにかく色々凄い

僕がよく触るポイントに絞ってレビューさせて頂きましたが、これら以外にもX-Drumを簡単に組めるようになっていたりミキサーにUndo/Redoがついていたりインスタンスの画面サイズが可変になっていたりDrumtrackerが統合されていたりと、これまでのToontrack製品の集大成とも言えるようなライブラリに仕上がっています。勿論これまでに集めてきたSDX/EZXの資産を活用出来るので手持ちのサンプルの新しい使い方も模索しつつ、今後の更なる拡張ライブラリの追加に期待したいと思います。

 


Masahiro “Godspeed” Aoki (Producer / Composer / Guitarist)

プロデューサー・コンポーザー・ギタリスト・ViViX代表。東京大学工学部卒。

2005年にギターインストの流布を目的とした「G5 Project」を開始。4thアルバム「G5 2013」ではオリコンCDアルバムデイリーチャート8位にランクイン。

2008年にカプコンに入社し、戦国BASARAシリーズやロックマンXoverの音楽制作を担当。

2014年に同社を退社した後は自身の音楽レーベルViViXとしての活動を本格化させる一方でストリートファイターVの作曲を担当する等ゲームコンポーザーとしてもグローバルに存在をアピールしている。

2016年4月に新世代のギタリストプロジェクト「G.O.D.」としてリリースしたアルバム「G.O.D.111」の収録曲がKONAMIの音楽ゲームGITADORA Tri-Boostに収録されるなど、音楽ゲームにも活動の場を広げている。

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