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#20【超入門】歌声の透明感を強調しよう!イコライザーを使った声質の調整方法!

2026年4月1日 19:46 by sua

前回の記事では、音量とパンのバランス調整方法について解説しました。
本記事では、周波数ごとに音量を調整できるエフェクター「イコライザー(EQ)」を使った調整方法を解説します。

 

 

1. イコライザーを使う方法

 

イコライザー(EQ)とは、音に含まれる周波数帯域ごとに音量を調整できるエフェクターです。

 
「Cubase LE」でEQ処理を行う方法は、大きく分けて以下の2つです。
 

  • チャンネルストリップに備わっているEQを使う方法
  • 「Cubase LE」付属、または別途用意したVSTエフェクトのEQを、インサートスロットに追加して使う方法

 

チャンネルストリップに備わっているEQを使う

 

「Cubase LE」のチャンネルストリップには、あらかじめEQが備わっています。各チャンネルの「e」ボタンから開けるチャンネル設定から、このEQを使用できます。

 
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VSTエフェクトをインサートして使う

 

また、「Cubase LE」付属のEQプラグインや、別途用意したVSTプラグインを、各チャンネルのインサートスロット(Inserts)に読み込んで使用することも可能です。

 
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使用するEQによって操作感や効き具合が変わるため、どの方法でEQ処理を行うかは好みで選んで問題ありません。
 

今回のデモソング用のEQ調整では、チャンネルストリップに備わっているEQを使用しました。

 

2. チャンネルストリップEQの使い方

 

チャンネルストリップのEQでは、4つのポイントを操作して調整を行います。
 

グラフ上の各ポイントをドラッグで移動するか、グラフの下にある各パラメータのメーターをドラッグすることで、ポイント位置を調整できます。

 
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グラフ上のポイントは、①上下操作で音量の調整、②左右操作で調整する周波数帯の設定、③マウスホイール操作で帯域幅のパラメータ調整が可能です。

 
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4つのポイントはそれぞれカーブ(フィルター)のタイプが異なるため、各ポイントのカーブタイプに合わせてパラメータを調整します。

 
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各ポイントに設定されているデフォルトのカーブ特性は以下の通りです。

 

  • LO :ポイント位置より低い周波数の音量を調整できる
  • LMF:ポイント位置をピークとし、その周辺の音量を調整できる
  • HMF:ポイント位置をピークとし、その周辺の音量を調整できる
  • Hi :ポイント位置より高い周波数の音量を調整できる

 

各カーブタイプは、フィルター名の右隣にあるアイコンをクリックすると表示されるリストから変更可能です。基本的にはデフォルト設定のままでも問題ありません。

 

3. ボーカルトラックのEQ調整

 

周波数のバランスは音源ごとに異なるため、EQの調整方法に決まった正解はありません。どのトラックを主役にしたいかという構成や、どのような雰囲気で聴かせたいかという方向性に合わせて、その都度最適な設定を探ることが大切です。
 

今回のデモソングで主役となる『初音ミク NT』の歌声に対しては、下図のようにEQ調整を行いました。

 
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低い周波数帯域は音量が大きくなりがちで、楽器同士の音がぶつかりやすくなります。そのため、①では200Hzより低い周波数帯の音量を大きく下げました。
次に、歌声に厚みを出すために②で400Hz周辺の音量を上げます。さらに明るさと煌びやかさを強調するため、③で9kHz周辺の音量を上げつつ、④で5kHz以上の周波数帯の音量をまとめて底上げしました。

 

4. 伴奏トラックのEQ調整

 

伴奏トラックに対しては、主役である歌声の調整で引き上げたポイントを邪魔しないよう、下図のようにすべて音量を下げる方向で一律のEQ処理を行いました。

 
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まず楽器同士の音のぶつかりを軽減するため、①で100Hzより低い周波数帯の音量を下げました。伴奏にはベースなど低音域を担当する音源が含まれているため、①は軽めの調整に留めています。また、歌声のEQ調整で音量を上げた帯域に対しても、音量を下げる形でバランスを取るよう、②~④のパラメータを調整しています。
 

「Piapro Studio NT2」や「HALion Sonic」などで、同じVSTインストゥルメント内に複数の音色を追加して使用している場合、デフォルト設定では追加されているすべての音に対して同じエフェクト処理が掛かります。

 
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つまり、デフォルト設定のままでは、音ごとに個別のEQ処理ができません
 

今回のデモソングでは軽めの調整に留めたため、個別にエフェクト処理を行わず、歌声(バックコーラス含む)と伴奏の2つのグループに分けてまとめて処理しました。もし音ごとに個別のエフェクト調整を行いたい場合は、マルチアウト設定を行うことで個別のエフェクト処理が可能になります。

 

5. マルチアウトの設定について

 

使用している音源に対して個別にエフェクト処理を行いたい場合は、マルチアウトの出力チャンネルを変更し、設定した出力チャンネル用のバス(Bus)チャンネルを「MixConsole」に追加します。

Piapro Studio NT2のマルチアウト設定

 

「Piapro Studio NT2」のマルチアウト設定をする場合は、まず各トラックのピアノロール画面を開き、トラックヘッダー(左側)の「Output Channel」のチャンネル番号を変更します。

 
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次に「Cubase LE」のインスペクタパネルにある、「e」ボタン左側のプルダウンリストを開きます。

 
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「Output Bus」のリストが表示されるので、「Piapro Studio NT2」で設定したマルチアウト先と同じチャンネル番号のOutput Busにチェックを入れます。
 

例えば今回のデモソングでは、メインボーカル以外にバックコーラス用を3トラック追加しています。Output Bus[2]~Output Bus[4]の3チャンネル分を追加すれば、4トラックすべてを個別に調整できます。

 
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また、バックコーラス用の3トラックでマルチアウト先のチャンネル番号を揃えれば、グループ単位でまとめて調整することも可能です。

HALion Sonicのマルチアウト設定

 

伴奏用音源を使用している「HALion Sonic」のマルチアウト設定は、音色を読み込んでいるスロットを選択した後、下図の「Out2」と表示されている箇所(デフォルトでは「main」)をクリックし、リストから変更します。

 
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「HALion Sonic」でマルチアウト設定をした場合、インスペクタで操作しなくても「MixConsole」に自動でバスチャンネルが追加されます。
 

まとめてエフェクト処理を掛ける方法では調整が難しい楽器がある場合は、マルチアウト設定で個別、もしくはグループごとにエフェクト処理を掛けて調整してみてください。

 

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次の記事では、音の粒を揃えて音圧を調整できるコンプレッサーの調整方法を解説します。