AUDIOTHING『ARGUMENTS』、演算の限界に潜む奇跡にフォーカス
AUDIOTHING『ARGUMENTS』
ビンテージな測定機器、電子楽器のコレクターでありアーティストとしても名高いHAINBACH氏とのコラボレーションもこれで何作目となるでしょう。AUDIOTHINGの新作は『ARGUMENTS』。
解説にはNuclear(核)やらderivative(導関数)やら難解な言葉が登場しますが、その実態は、2つの入力信号に関係を作り、かつアナログモデリングを加えることで、黎明期の電子音楽の奇跡を再現するものといえそうです。
電子音楽の辿った道を現代的手法で再現する、斬新なようで懐かしい温故知新なエフェクター。新たな表現を見つけてみてください!
キモはARGUMENTとFUNCTION…ではなく入力信号のチョイス
難しげに見えてしまうARGUMENTとFUNCTIONの大きなノブ。ここに記された各演算オプションは、出力信号のいかなるかを確かに大きく左右しますが、実はA/Bの2つの入力信号に何をチョイスするかが活用のコツ。
直接入力となる信号Aに対して信号Bは、サイドチェーンとして引っ張ってくる外部入力か、本製品内で生成されるGENERATOR信号を選択できます。
これらの相性とバランスにより、上品なフィルターシンセから断末魔のような予測不能なノイズまで、あまりに幅広いバリエーションの出力信号が得られるのです。もちろん生楽器や声などを入力してもOK!
ちなみにNuclear Instrumentation云々と説明が記されているのは、緻密な操作で爆発的な効果を得るという比喩のようなもの(らしい)。実際に爆発は当然起きませんし、緻密な操作などしなくても予想外の効果は簡単に得られます。
調整用パラメータを駆使
基本的には冒頭に記したように黎明期の電子音楽を彷彿させる電子音の再現を主要目的としていますが、OversamplingやFuzzyのパラメータを駆使して、ほどよくまろやかなサウンドやどこかで聞いたような深みのあるサウンドまで形成可能。
筆者個人としては、一台のシンセでノイズを作ったり、手持ちの膨大なサンプル素材から探すよりも、楽曲に交える効果音の作成が遥かに容易になるように思えました。
マッドプロフェッサーならぬマッド”プロセッサー”の底力、ぜひ味わってみてください。
iOS版、デモ版はデベロッパーのサイト経由で入手可能です。
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