【ピックアップ】AIだけじゃない、超優秀なコンプレッサー『SMART:COMP 2』のココが凄い!
新進気鋭の sonible社が開発する、高度なAIテクノロジーを搭載した「SMART」シリーズの新作、『SMART:COMP 2』がリリース。
ついAI機能に目が行きがちなものの、初代『SMART:COMP』から単にコンプレッサーとしての性能の高さも注目されてきました。
更に性能の高まった『SMART:COMP 2』、その魅力を実例を交えてご紹介します。
『SMART:COMP 2』のポイント
- 2000バンドに及ぶ、超マルチバンド・コンプレッション
- コンプレッションの質感を調整できる“Style”パラメーター
- 2ポイントのカーブを設定可能
特に『SMART:COMP 2』から搭載された“Style”パラメーターは強力で、自然なコンプレッションからトランジェントを強調するコンプレッションまでをコントロールでき、サウンドのシェイプをより柔軟に調整できるようになりました。
CASE 1: ドラムのオーバーヘッドをタイトに
普通のシングルバンド・コンプレッサーではサイドチェイン・フィルターをかけても帯域全体にコンプレッションが掛かるため、他の要素も同時に減衰してしまいます。
マルチバンド・コンプレッションが可能な『SMART:COMP 2』なら、サイドチェインにフィルターをかけることで、「狙った部分」だけにコンプレッションをかけられます。
画像の例では、ドラム全体の音が収められたオーバーヘッド・マイクの中低域だけにサイドチェイン・フィルターを適用し、“Style”パラメーターを上げてトランジェントを強調しています。
余分なルーム感を含んだローミッドがタイトになり、迫力のあるサウンドにシェイピングすることができました。
CASE 2: ボーカルの安定感を高める
ボーカルの処理では「静かなパート」「張り上げるパート」「突発的なピーク」と大きく3つのダイナミクスの動きがあるため、コンプレッションが難しいトラックの一つです。
2ポイントのカーブを設定可能な『SMART:COMP 2』なら、「静かなパート」をブーストしながらも、「突発的なピーク」をコンプレッションすることが可能です。
画像の例では、スタッカートのように短い音節が連続するようなボーカル・トラックに適用し、“Style”パラメーターを上げることで滑舌を損なわずに、適度なダイナミクスに収まるコンプレッションが実現できました。
CASE 3: ベースにメリハリを
ファットなベーストラックは時にモタついた印象となってしまう場合があり、これをすっきりとした印象に仕上げつつ、トランジェント感を加えるのは一筋縄にはいきません。
「CASE 2」でも活躍した2ポイントのカーブを設定可能な『SMART:COMP 2』なら、リリース部分を減衰させてメリハリをつけながら、トランジェントを“Style”パラメーターで強調できます。
画像の例では、アタック音が埋もれる程のファットなベース・トラックに適用。少し過剰な設定としながらも Dry/Wet を調整することによって、ナチュラルな質感を損なうことなくメリハリ感を付加しています。
CASE 4: ライン入力特有の広すぎるダイナミクス・レンジを圧縮
ライン入力のキーボード・トラックでは、ダイナミクスレンジが広すぎるあまり、一聴して細い音だと感じてしまう場合があります。
自然なコンプレッションが可能な『SMART:COMP 2』なら、スレッショルドをめいっぱい下げつつ、緩やかなレシオ設定とすることで安定感と太さを得ることができます。
画像の例では、キーボードのピアノ音色をライン入力したものに適用。AIのラーニングボタンを押して、スレッショルドを下げ、レシオと“Spectral Comp”、“Color”を適当に設定しただけで、他のトラックとのダイナミクス・レンジの整合を取ることができました。
チェックを終えて
初代『SMART:COMP』は自然なコンプレッションが可能なものの、音を強くする方向は苦手な印象がありました。
『SMART:COMP 2』では“Style”パラメーターの登場により、音作りの自由度が飛躍的に向上。精度の高いオートゲインやサイドチェイン・フィルターのリッスン機能、デルタ(差分)の試聴など至れり尽くせりの仕様が1画面に収まっており、操作性の高さも非常に魅力です。
数々のコンプレッサーを使用した経験がある筆者も思わず購入に至る『SMART:COMP 2』、デモ版も用意されていますので、皆さんも是非チェックしてみてください。
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