#18【超入門】曲を完成させよう!最後の仕上げとなるミックス調整の流れ!
前回の記事では、「Piapro Studio NT2」でのバックコーラス制作手法を解説しました。
本記事では、曲作りの最後の工程となるミックス調整の全体的な流れを解説します。
1. ミックス調整の比較確認
まずはミックス調整前と調整後のサウンドを確認しましょう。
ミックス調整前
ミックス調整前は、伴奏の上に歌声が乗っているだけで、カラオケのように分離して聴こえます。伴奏に広がりがなく、少し窮屈な印象です。
ここから歌声も含めた各楽器のミックス調整を行い、伴奏に左右の広がりを与え、歌声と伴奏を馴染ませます。
ミックス調整後
今回は、ミックス調整における定番項目として以下の調整を行いました。
- 音量のバランス調整
- パンで再生位置の調整
- イコライザーで周波数の調整
- コンプレッサーで音量差の均一化調整
- リバーブで歌声と伴奏を馴染ませる
2. 音量とパンの調整
音量の調整
「Cubase LE」の「MixConsole」にある各チャンネルのフェーダーを上下に操作し、音量バランスを調整します。

パンの調整
「Cubase LE」の「MixConsole」にある各チャンネルのパンポットを左右に操作し、各楽器のパン(定位)を調整します。
左右両方から音を鳴らしたい楽器がある場合は、対象トラックを複製します。パンを左に振るトラックと右に振るトラックの2つに分けることで実現可能です。
今回のデモソングでは、ハーモニー用サブ楽器のストリングスと、装飾フレーズ用のグロッケンの2つを、左右両方から鳴るようにトラックを複製して調整しました。

オートメーショントラックでフェードアウト調整
アレンジウィンドウの各トラック左端にあるアイコンをクリックすると、「Cubase LE」のオートメーショントラックを表示できます。
オートメーションカーブを描画することで、音量やパンなどのパラメータを時間的な変化に合わせてコントロール可能です。

今回は、曲の終わりまで音が持続しているトラックに対して、音量がフェードアウトするように描画しました。
3. エフェクト処理
エフェクト処理の主な方法には、チャンネルストリップにセットされているエフェクターを使う方法と、インサートスロットに使いたいエフェクターを追加する方法があります。
チャンネルストリップとインサート
「MixConsole」の各チャンネルにある「e」ボタンからチャンネルストリップを表示できます。ここから、コンプレッサー(Compressor)やイコライザー(EQ)などのエフェクト処理を簡易的に適用できます。

また各チャンネルのインサートスロットをクリックすると、「Cubase LE」に収録されているVSTエフェクトや、別途用意したVSTエフェクトを追加できます。

今回は、チャンネルストリップで簡易的にイコライザーとコンプレッサー処理を行いました。さらに、インサートスロットに「Cubase LE」付属のコンプレッサーとリバーブを追加して調整しています。
イコライザー(EQ)
イコライザーは、音に含まれる周波数帯域ごとに音量を調整できるエフェクターです。

例えば、音量が大きくなりやすい100Hz以下の帯域をカットし、楽器同士の低音域のぶつかりを抑えます。
逆に楽器の特性に合わせて特定の周波数帯を持ち上げれば、フェーダーで音量を下げても特徴的な音を埋もれさせずに目立たせることが可能です。
コンプレッサー
コンプレッサーは、音量のバラつき(強弱の差)を抑えて均一に整えるためのエフェクターです。

例えば、コンプレッサーで飛び出た音を抑えて音量差を整えます。その後、全体の音量を底上げすることで、音に厚みや存在感を加えます。
リバーブ
リバーブは、音の自然な反射音や残響音をシミュレートするエフェクターです。

リバーブを適用すると、音に空間の広がりや奥行きを与えられます。すべての楽器に同じ残響音を加えることで、同じ空間で鳴らしたような効果を与え、楽器同士を馴染ませる用途にも使えます。
今回は、歌声と伴奏の音を馴染ませる用途に絞ってリバーブ処理を適用しました。
4. クリッピングの確認
クリッピングとは、許容される最大音量を超え、音の波形が切り取られて歪んでしまう現象のことです。
「Cubase LE」で再生した際、「MixConsole」右端のマスターチャンネル下の枠が赤く点灯した場合は、クリッピングが発生しています。

クリッピングは音割れの原因となるため、ミックス調整時は発生しないよう注意が必要です。
イコライザーで低域の音量を下げることも、クリッピング回避の有効な手段です。
5. ミックスダウン
すべての楽器のバランス調整が終わったら、最後にオーディオミックスダウン(オーディオファイルへの書き出し)を行い、曲作りは完了です。
書き出したい範囲をサイクル設定し、「ファイル」メニューから「オーディオミックスダウン」を選択します。

書き出しオプション画面が表示されたら、ファイル名やファイル形式を設定し、「オーディオを書き出し」ボタンをクリックします。

処理が完了すると、指定した保存先にオーディオファイルが出力されます。
ファイル形式は非圧縮の「Waveファイル」を選択します。サンプリングレートは「48kHz」、ビット深度は「24bit」に設定すると、様々な場面で扱いやすい汎用的なフォーマットになるため推奨します。


