【ボカロP必見】ボカロ曲での『SPITFIRE CHAMBER STRINGS』活用方法【大漠波新/駄菓子O型/SEE】
SONICWIREで一番人気のストリングス音源『SPITFIRE CHAMBER STRINGS』は、日本の音楽シーンにマッチした小規模な編成の音源となっており、ポップスから本格オーケストラ作品まで幅広く重宝されています。
本記事では、ボカロ曲での『SPITFIRE CHAMBER STRINGS』の活用方法を探るべく、ボカロPの大漠波新さん、駄菓子O型さん、SEEさんに本製品を使用したデモソングと製品レビューをご提供いただきました!
- メーカー:SPITFIRE AUDIO
- カテゴリ:ソフト音源
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- カテゴリ:ソフト音源
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- カテゴリ:ソフト音源
大漠波新
こんばんは。ボカロPとして活動しています、大漠波新です。
今回音源を使用するにあたって、実際に投稿予定の楽曲で試してみました。
この楽曲のアレンジは、歌を聴こえやすくするためにシンセ系の音を一切使っていません。楽曲における電子要素を初音ミクに限定させるために生楽器を中心に編成してます。その為に存在感のある音が必要でした。
駄菓子O型
初めまして!駄菓子O型と申します!本当にO型です!
今回SONICWIRE様よりお声がけいただき、7月末に発表したEPの1曲目「ミスティーユニバース」を本製品のデモソングとして書き下ろしました!
SEE
こんにちは!ボカロPのSEEです。
今回は、SPITFIRE AUDIOさんの『SPITFIRE CHAMBER STRINGS』をレビューさせて頂きます!紹介に際して、「贅沢するんだね」というデモソングを作成させて頂きました。
『SPITFIRE CHAMBER STRINGS』に収録されている音源から数種類を用いて、メインリフからカウンターメロまで幅広く使用できました。
とてもよかったです。とにかく良い音です。ストリングスは今までシンセサイザー内のプリセットを用いることが多かったのですが、これは今後も使用していきたいと思う音源でした。音色の方向性としては生音に近い、というか打ち込み次第ではほぼ生音なんじゃないかと思うぐらいにはリアルです。
生楽器をここまで中心に据えた楽曲は今回初めてだったのですが、音がとても力強く埋もれることなく楽曲に採用できました。ベロシティやオートメーションをそこまでこだわらなくても元の音が良いので、生楽器に対する知識が無くても扱いやすい音源だと思います。現に自分がそうなので、demoを聴いてもらえればそのサウンドがわかりやすいと思います。
プラグインを立ち上げてまず感動したのは、圧倒的な出音の良さです!多くのポップスや商業流通している音楽作品で耳馴染みのある「これこれ!」という音が自分のパソコンから出てビビります。音色自体は後期ロマン派的でドラマチックな表情をもっているように感じました。テンションも創作意欲も爆上がりで、これからどんな曲を作ろうかとワクワク必至です。
実に様々な奏法が収録されておりますが、使い始めは「Performance Legato」パッチが一番手軽にこの音源の魅力を味わえました!このパッチをMIDIキーボードで演奏すると、弾き方に応じて自動的にstaccatoやlegato、portamento等の奏法に切り替えてくれます。まるで自分が弦楽器をそのまま演奏しているかのようで、ソロパートのスケッチはぜひこれでやっていきたいですね。これが本当に楽しすぎて1時間くらいずっとニヤニヤしながら弾いて遊んでおりました…
とにかく奏法、サウンドの種類が多いです!「こういう音を出したいな〜」と思ったものが大体収録されており、自分のようなストリングスを取り扱うのは専門ではない人間にもストリングスアレンジを取り扱える手軽さがありました。
『SPITFIRE CHAMBER STRINGS』の特徴だと感じた部分は、収録されている反響音のクオリティがとても高く、且つ調整しやすいという点です!C(クローズ)、T(ツリー)、A(アンビエンス)の、3マイクポジションのサウンドが収録されており、これらのミックスを自由に調整できます。ポップスではクローズのみを使用してタイトなアンサンブルに、またツリー、アンビエンスではホールで鑑賞しているかのような奥行きのある反響が得られます。
奏法や音色の多さが良いポイントだと思います。今回の楽曲はアタック音の強さが必要なパートと、ゆっくり滑らかに聴かせたいパートに分かれており、そういう点でも音色がたくさんあったのは便利でしたね。
複雑だったり分かりづらい機能も現状無いですし、プリセットから音を選んで直感的に使える、そして何よりベタ打ちでも成立するんじゃないかというレベルの良い音。これは重宝すると思います。音楽を作るというのは瞬間的な発想やアイデアが大事で、それを邪魔することなくスムーズに実現できる音源が最も良い音源だと思ってます。そういう意味ではベタ打ちでも良く聴こえるというのはストレスが無くて良いですよね。
UACC(ユニバーサル・アーティキュレーション・コントローラ・チャンネル)という機能が圧倒的に便利です!
皆さんはキースイッチ式のオーケストラ音源で、pizz.がどのキーだっけ?…VnとVcだとキースイッチが別の位置だから個別に設定しなきゃ…あ、奏法を読み込みすぎて再生が途切れ始めたな…という経験はありませんか?UACCを使えば全部解決します。UACCは各奏法をMIDI CCで指定できる機能で、1~127それぞれの値が奏法と1対1対応しているため複数パッチを横断して指定できます。本製品では奏法ごとに個別のパッチが用意されているので…なんと自分が使いたい奏法だけKONTAKTに読み込み、UACCで自由自在に切り替えることができます。
基本奏法のセットパッチから使わない奏法をパージ(読み込まない)して、ポップス頻出のfallだけ追加で別読み込みするなど、非常にカスタマイズ性が高いです。
前項でも触れましたが、音源の取り扱いやすさが個人的にポイントです。
皆さんも経験があるかと思いますが、本格的なインストゥルメント音源になると、奏法の切り替えなどの為にオートメーションやキースイッチによる操作が必要なこともあると思います。それによるハードルの高さから、新しいプラグインの導入を敬遠しがちになってしまうこともしばしばではないでしょうか。
その点『SPITFIRE CHAMBER STRINGS』には奏法別にライブラリが用意されており、サウンドのセッティングもあらかじめ作り込まれているため、気軽に導入することが可能です。勿論、キースイッチ等を活用することでより本格的なサウンドの作り込みも可能です。
今回のように生楽器中心のアレンジで楽曲を制作する場合、一つ一つの楽器の音に存在感が必要で、そのような楽曲を制作するには最適な音源だと思います。
僕は普段ボカロ曲を作ることが多いのですが、ボカロ曲特有のテンポのはやい楽曲にも埋もれずに採用できると思います。また、普通のポップスやオーケストラ系の曲でも使えると思います。
今回はできませんでしたが、TrapやUK drillなどと言ったジャンルでサンプル的な感じで使うのも面白そうだと思います。ジャンルとしてカバーできる範囲は相当広いと思います。
上質でドラマチックに泣かせるストリングスが欲しい!快活で歯切れのいい元気なストリングスが欲しい!flautandoやsul tasto、col legnoなど繊細なニュアンスを使い分けた弦アンサンブルを入れたい!これらが全て高水準でできます。非常にオールマイティだと思います!
ポップスでドライに使う際はCマイクだけにして、ガッツリコンプを掛けた後に高域を足すと賑やかなオケでも輪郭がはっきりします。Cマイクだけにすると強めにLRが振られるので、KONTAKT内蔵のStereo Modellerでややモノラルにしてパン調整しておくと扱いやすくなります。
また現代奏法的なFXがいくつか収録されており、これ自体をサウンドソースとしてグラニュラーシンセに読み込み、エレクトロニカに室内楽的なニュアンスを添加するなどもできます(デモ映像ではFXをリバースしたものにボコーダーをかませています)。
主には、高品質なストリングスサウンドを必要とするシーンにおいて活躍すると思います。
ジャンル問わず、様々なシーンで繊細なストリングスサウンドを必要とされることもしばしばかと思います。ギター等とは異なり、本物のストリングスのサウンドを都度レコーディングすることは、殆どの方にとって不可能に近い選択肢になってしまうかと思います。
『SPITFIRE CHAMBER STRINGS』は、それらの選択肢と同等のクオリティーを持ちつつも、アレンジャー自身の手元で細かな調整をすることが可能であり、最新のDTMシーンにおいて最善の選択肢に成り得るのではないかと思います。今回のデモソングではポップスでの使用を想定しましたが、シンセサイザーとレイヤーをするなど、手軽に高品質な音源にアクセスできる『SPITFIRE CHAMBER STRINGS』ならではの強みを多く感じました。
最初オーケストラ音源に対し難しい印象を抱いたり不安もあるかと思います。ですが、良い音源ほど説明いらずというか案外複雑じゃなかったりします。この音源はまさにそういった部分を体現した音源だと感じました。この世にはたくさんのプラグインや音源が存在しますが、個人的には自分の技術力などは一度度外視で初心者の人ほど良い音源を買うのが良いと思ってます。
誰がボタンを押しても普段耳にする曲と同じ音が出るというのはモチベーションが上がります。それってクリエイティブな分野において物凄く大事なことで、案外そういったことの繰り返しで技術は向上するものだと思ってます。僕はDTMを始めたと同時に一気に音源を買い揃えましたが、今思うとそれのおかげでここに至るまで楽しく楽曲を制作できてた気もします。決して安価な値段ではありませんが、一考の余地ありだと思います。
生のオーケストラは個人で録音しようとすると、ウン十万以上の莫大な金額と労力がかかります。しかしソフト音源なら、一度手に入れてしまえばいつでも自分の好きなだけ贅沢に使えますし、複数立ち上げて非現実的な人数に演奏させた音色をエミュレートすることもできます。この意味で、オーケストラ音源には単に生オーケストラの代替に留まらない意義と表現可能性があります。
まだオーケストラ系の音源をお持ちでない方からすると、2024年現在は円安もあり価格だけ見ると物怖じしてしまうかもしれませんが、明らかに価格の何倍もの価値がありますのでおすすめです!非常にオールマイティですし、EDMに使われるようなシンセサイザーほど音色の流行り廃りも早くないので、向こう数十年は使い続けられるのではないでしょうか。購入して後悔することはありません。家に帰れば自分だけの弦楽アンサンブルが鳴らし放題!という最強の状態を手に入れましょう。
オーケストラアレンジはDTMにおいて大きなハードルの一つだと思います。分からない部分が多い分、使用するプラグインに求められる取り扱い易さ、選択肢の多さは、スキル獲得への近道になります。そして、本格的なものであるほどプラグイン自身を通して学ぶ機会が多くあります!(「このサンプルどうやって使うんだろう〜」といった感じに)
また、これは個人的にかなり大事だと感じている部分ですが、有名なプラグインであるほどわからないことを調べるときに関連情報に辿りつきやすいです!多機能なオーケストラ音源でこそ、その部分はかなり重要になって来ると思いますので、名の知れた『SPITFIRE CHAMBER STRINGS』であれば、その部分の強みがとても大きいです!これから触れる方にこそ、おすすめできる音源になっていると思います!
2021年1月ボカロPとして活動開始。
VOCALOID特有の電子的な音使いとメッセージ性の強い唯一無二のリリックが特徴。
代表曲:
- 「あいのうた / 初音ミク・重音テト」
- 「のだ / ずんだもん・初音ミク・重音テト」
- 「わかれみち / ゲキヤクβ・カゼヒキβ・初音ミク・重音テト」
札幌市出身、関東在住のアーティスト。
2022年10月よりボカロPとして作品を発表しており、ピアノ即興伴奏、弾き語り、DJなど幅広く活動中。ちょっと複雑なポップス作編曲が得意。
代表曲:
- 「あちこちデートさん」(ボカコレ2024冬 ルーキー1位受賞)
ピアノ参加作品:
- 内田真礼「永遠なんかありえない」
- キツネリ SPECIAL STUDIO LIVE
- 濁茶「キリンに日がさせば」等
ボカロP。2020年活動開始。
バンドサウンドからエレクトロまで幅広い作風を得意とし、抒情的な作品に定評がある。
DJからバンド形態でのライブまで、幅広く精力的に活動している。
代表曲:
- 「ラルネ」
- 「動揺しちゃった」
- 「乙女を頬張ってよ」
folder NEWS, SONICWIREニュース, SPITFIRE AUDIO, インタビュー/レビュー, クリプトンDTMニュース, ソフト音源, 活用方法
label SPITFIRE AUDIO, ストリングス, ボカロP