【音楽配信Tips】音楽配信でどのくらい稼げるか試算してみた。
SpotifyやApple Musicなどの音楽ストリーミングサービスでの音楽視聴体験が一般的になった現代(いわゆる『サブスク時代』)では、個人の音楽クリエイターが自身の楽曲を収益化する手段の一つとして、「音楽配信」は必要不可欠です。
アーティスト個人が楽曲を音楽ストリーミングサービスに配信するためには、楽曲を各配信サービスへ供給するディストリビューションサービス(通称ディストリビューター)の利用が必要です。
以前公開した記事「【音楽配信Tips】アーティストが配信売上でマネタイズするには」では、配信売上を一律に収支額を比較し、アーティストステージ毎に最適なディストリビューターをご紹介しました。
今回は、1再生あたりの配信売上を一律0.4円と仮定して、「音楽配信で稼ぐために必要な再生回数」をご紹介します。
音楽配信にかかる費用と還元率
配信登録費用と更新費用
ディストリビューターの利用には、「配信登録費用」や「年会費などの更新費用」のどちらか、もしくは両方が必要です。
配信登録費用はシングル1曲で1,000-1,500円程度、更新費用は配信登録費用と同額であることが一般的です。
還元率
本記事での還元率は、配信事業者からディストリビューターが受領する配信売上の内、クリエイターへお支払いする際の還元率を意味します。
また、還元率は、配信登録や配信の維持にかかる費用が高額なほど高く設定されることが多く、還元率が低い代わりに配信登録費用・更新費用が無料というサービスも存在します。
比較するサービス
1.年額契約型ディストリビューター
還元率:100%※
必要経費:配信登録費用+更新費用(1~3年ごと)
シングル1曲 1,551円(税込)
アルバム1枚 5,225円(税込)
※条件により100%ではない場合があります。
2.払いきり型ディストリビューター(ROUTER.FM)
還元率:80%
必要経費:配信登録費用
シングル1曲 1,380円(税込)
EP(~5曲) 2,980円(税込)
アルバム1枚 4,600円(税込)
シングル1曲配信時の必要経費と還元率
比較条件
後ろ盾の無いアーティストが、ユーザーに楽曲を聴いてもらう、見つけてもらうためには、継続的にリリースを重ねて地道にリスナーを獲得する必要が有ります。
今回は、「4年」の期間を設定し、前述した2つのディストリビューターにおいて、下記条件のもと音楽配信で稼ぐには何回の再生が必要かを比較しました。
比較条件
・1再生あたりの配信売上を一律0.4円と仮定
・1年でシングル4曲リリース(計16曲)
・2年に1度アルバムリリース(計2枚)
配信必要経費
前述した比較条件下での配信必要経費は以下です。
※青字:配信登録費用 / 赤字: 更新費用
年額契約型ディストリビューター
1年間の合計:6,204円(1,551円×4)
2年間の合計:23,837円(1,551円×4+5,225円+1,551円×4+前1年間の費用)
3年間の合計:47,674円(1,551円×4+1,551円×8+5,225円+前2年間の費用)
4年間の合計:82,940円(1,551円×4+5,225円+1,551円×12+5,225円+前3年間の費用)
払いきり型ディストリビューター
1年間の合計:5,520円(1,380円×4)
2年間の合計:15,640円(1,380円×4+4,600円+前1年間の費用)
3年間の合計:21,160円(1,380円×4+前2年間の費用)
4年間の合計:31,280円(1,380円×4+4,600円+前3年間の費用)
4年間の配信必要経費を回収するために必要な再生回数
– 年額契約型:207,350回(82,940円÷0.4÷100%)
– 払いきり型: 97,750回(31,280円÷0.4÷80%)
前述の条件下において、4年間の配信必要経費を回収するためには年額契約型で約20万回、払いきり型で約10万回の再生が必要という結果になりました。
次項では、上記の配信必要経費を回収したうえ「音楽配信で稼ぐ」という視点で、配信期間(曲数)と再生回数に応じた利益を複数パターン算出しました。
音楽配信で稼ぐには何回の再生が必要か
1再生あたりの売上を0.4円と仮定すると、再生回数あたりの利益は下記の計算式によって算出できます。
計算式:再生回数の合計×0.4×還元率 – 配信必要経費
例)年額契約型ディストリビューターを利用し、1年目に10万回再生された場合の利益
40,000円(再生回数10万回×0.4×100%) – 6,204円(1年間の配信必要経費)=33,796円
今回仮定した条件下で1~4年目の間に合計再生数が10万回・50万回に達した場合のそれぞれの利益を見ていきましょう。
1年間(シングル4曲配信時)
10万回再生
– 年額契約型:33,796円(40,000円-6,204円)
– 払いきり型:26,480円(32,000円-5,520円)
50万回再生
– 年額契約型:193,796円(200,000円-6,204円)
– 払いきり型:154,480円(160,000円-5,520円)
2年間(シングル8曲/アルバム1枚配信時)
10万回再生
– 年額契約型:16,163円(40,000円-23,837円)
– 払いきり型:16,360円(32,000円-15,640円)
50万回再生
– 年額契約型:176,163円(200,000円-23,837円)
– 払いきり型:144,360円(160,000円-15,640円)
3年間(シングル12曲/アルバム1枚配信時)
10万回再生
– 年額契約型:-7,674円(40,000円-47,674円)
– 払いきり型:10,840円(32,000円-21,160円)
50万回再生
– 年額契約型:152,326円(200,000円-47,674円)
– 払いきり型:138,840円(160,000円-21,160円)
4年間(シングル16曲/アルバム2枚配信時)
10万回再生
– 年額契約型:- 42,940円(40,000円-82,940円)
– 払いきり型:720円(32,000円-31,280円)
50万回再生
– 年額契約型:117,060円(200,000円-82,940円)
– 払いきり型:128,720円(160,000円-31,280円)
今回の比較条件下では、どちらのディストリビューターも初リリースから4年を迎えるまでに50万回再生に到達すると、10-20万円の利益を出すことができました。
まとめ
今回仮定した条件下において、利益としてある程度まとまった額である10-20万円の利益を出すためには、初配信から4年目までに約50万回の再生が必要ということがわかりました。
前述した2つのディストリビューターを選ぶ際の目安として、「配信後3年間の再生回数」が挙げられます。上記の結果から、初リリースから3年間の合計再生回数が50万回を超えるペースで増加している場合は「年額契約型」、その他の場合は「払いきり型」が利益を最大化できるサービスと言えそうです。
多くの楽曲の再生回数はリリースから緩やかに落ち着いていきますが、年額契約型のディストリビューターを利用して配信し続けるには、10年20年と更新費用を払い続けなければなりません。
例えば、長期で一定の再生が見込めるシングルは年額契約型で更新し続け、再生数が比較的落ち着いたシングルや更新費用が高いアルバムは払いきり型に引っ越しすることで、必要経費を抑えつつ、利益を最大化させましょう。
払いきり型ディストリビューションサービスなら「ROUTER.FM」
クリプトン・フューチャー・メディア株式会社が運営する、独立系ミュージシャン向けの楽曲配信流通サービス。ユーザーはウェブ上の簡単な手続きだけで、Apple Music/Spotify/AWA/LINE MUSIC/YouTube Musicなど、日本国内のみならず中国を含む世界の主要音楽サービスでの配信を実現できる。利用料金は、1曲のシングル配信が 1,380 円(税込)、5曲までのEPで2,980 円(税込)、6曲以上のアルバム配信が4,600円(税込)。次年度以降の年会費が発生しないため、一度の登録で半永久的に配信することができる。またハイレゾ音源の配信にも対応している。
▼ROUTER.FM公式サイト:https://router.fm/