今回公開された無償サンプルパックを使って僕なりに楽曲制作をしてみました。その際に気をつけた点などを解説していきたいと思います。

▲楽曲完成時のトラック全体像

個人的には、リズムパターンが決まっていると楽曲の雰囲気を掴みやすくなるため、最初に取り掛かることが多いです。

今回制作した楽曲の基本的なリズムパターンは、サンプルをオーディオのまま配置していく方法を取りました。この方法のメリットとしては、書き出しや難しい出力設定をしなくてもパーツごとに音量等を調整できる点だと思います。

注意点としてループ素材や長い素材を切って使用するとプツっと言うノイズが入る場合があります。その際はオーディオの最後をフェードアウトさせると解決します。

▲オーディオの終わりをフェードアウトすることで、素材を切った際のノイズを消すことが可能

作っていく際、いきなり全体のパターンを埋めようとすると難しいと思うので、各セクションごとにメインのパターンを考えていくほうが取り掛かりやすいと思います。

今回は一貫して同じサンプルを使用していますが、セクションごとに使っているサンプル自体を変えるのも面白いかも知れません。

また、同じハイハットのループを2トラック重ねてズラし簡易的に倍のテンポにしています。この方法だとサンプルのテンポを変えた時(タイムストレッチ等)と比べて音質の変化も無く、独特のノリも生まれてカッコいい場合があります。

▲2つのトラックで同じハイハットのループをズラして配置し、倍のテンポにする

普段は自分で演奏することが多いギターやベースですが、今回はせっかくなのでサンプルをフル活用してみました。

やっていることはどちらも一緒で、サンプルの一部分を切り取り一音ずつピッチを変化させてフレーズにしています。

▲ギターとベースのループ素材をカットし、ピッチを変化させている

高価な音源に手を出せない初心者の方にとってかなり役に立つと思います。

また楽器未経験者の方でも、自分で演奏するのが難しいようなフレーズを試せるので制作の幅がより広がりますね。

ピッチを極端に変化させると音が破綻してしまうのですが、今回収録されているサンプルはある程度耐えてくれたので質の良さを改めて実感しました。

最後にボーカルについてです。

無償サンプルパックに収録されているボーカロイド『初音ミク』のサンプルで、簡単なボーカルチョップ（ループ素材をカットして並び変えることで新しいフレーズを生み出すテクニック）を付け足してみました。

楽器音源とは違った存在感があるので、ここぞというセクションで試してみると良いかもしれません。

▲サンプラー※にオーディオ素材を取り込み初音ミクのボイスサンプルを変化させている

※音源を取り込むことで、ピッチを変化させるなど自由に音を加工・再生ができるもの。

サビの部分では『初音ミク NT』でクワイア的な要素を足しています。

今回の楽曲はバッキングギターとボーカル以外全てサンプルパック収録音源となっています。

また音質調整のためのEQもかけていません。音源のトリートメントに費やす時間を短縮出来るのは大きなメリットです。

こういったサンプルパックを使用する際に他の人と被ってしまう事がどうしても気になる場合でも、記事の中でお伝えした使い方を試していただけたらきっと個性的な楽曲になっていくと思います。

まずは気楽に組み合わせを考えて、パズル感覚で楽曲制作を楽しんでみてはいかがでしょうか。