SONICWIRE

関 正道 氏(DIGITAL SONIC DESIGN)より、パワフルな響きと壮大な世界観の大編成ストリングス音源「CINEMATIC STUDIO STRINGS」のレビューを頂きました!

2017年11月24日 09:00 by T

最近ではTVアニメ「ブラッククローバー」などなど、数多くのドキュメンタリーやアニメ、ゲームの音楽制作会社の代表取締役として、またマニピュレーターとしてサウンド&レコーディング・マガジン のDAW AVENUE でお馴染みの関 正道 氏より、パワフルな響きと壮大な世界観の大編成ストリングス音源「CINEMATIC STUDIO STRINGS」のレビューを頂きました!


ここ数年劇伴楽曲制作では、ほぼ全てStringsの音源に「CINEMATIC STRINGS 2」(CS2)を使用して作業してきました。

CS2は前のレビューでも書きましたが中低域が豊かでありながら、EQで調整すると高域の奏法ニュアンスも聞こえてくるとても劇伴向けのストリングス音源で重宝しています。そして、今回同じメーカーの「CINEMATIC STUDIO STRINGS」(CSS)というスタジオ収録感のストリングス音源という事で、CS2よりも自分で音を作り込むタイプになったのかと思ったのですが、意外にもシンプルな音源でした。

あまりにも素で収録された音はかなりミックス時にEQやリバーブなどを調整して作り込む余地を残しているものもありエンジニアの腕にかかるのですが、このCSSは見た目も操作もシンプルで、スタジオで聞くような音からホールの壮大な感じまで表現出来る様になりCS2より幅が広がったと感じました。

CS2は劇伴のオーケストラにとても使いやすいですが、CSSは歌モノなどバンドのバックでのストリングスからオーケストラまで使えると思います。CS2もCloseマイクで音作りをすればそれなりにバンドサウンドにも混ぜて使えるのですが、CSSは直ぐにバンドサウンドに馴染むと思います。CS2とCSSの違いとしては、Run Modeが無くなってしまいました。CS2のRun Modeは私にとって凄く便利なアーティキュレーションだったので残念だと感じたのですが、CSSのMarcatoを鳴らした時、あぁ…これの方がスタジオ演奏でのRunに聞こえ、もしかしたらCS2とCSSを混ぜて使用する事によって、かなり大きなストリングス編成の音を再現出来そうな期待感を持ちました。そしてCSSではスタッカート音色のバリエーションが多く演奏終わりに弾ききるSfzの音はとても使えると思います。

Measured Tremoloは、二度弾きのアルペジオパターンなどをMIDIで細かく打たなくても、ザザッと実際の演奏ニュアンスで直ぐに演奏出来てしかもホストシーケンサーのテンポに追従するスイッチもあるのでとても魅力的です。

Con sordinoからHarmonic音色まで豊富なアーティキュレーションをカバーし、スタジオセッションからホールのオーケストラまで再現出来るシンプルで使いやすい音源に仕上がっています。

CS2と合わせて持っているとパラメーターも近いので、かなりの威力を発揮するストリングス音源になるでしょう。

株式会社DIGITAL SONIC DESIGN
代表取締役 関 正道