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『FINAL FANTASY VII REMAKE』SONICWIRE SPECIAL INTERVIEW
鈴木 光人(SQUARE ENIX)

Presented by SONICWIRE

1997年に発売され伝説的にヒットした『FINAL FANTASY VII』。そのリメイク版となる『FINAL FANTASY VII REMAKE』が2020年春に登場した。細部まで作りこまれた グラフィック や システム でユーザーに新しい体験を提供している一方で、“音楽”も飛躍的な進化を遂げた。

  • Original Soundtrack PV(予約受付時のもの)

  • 美麗なグラフィック

冒頭部分を聴いただけでプレイヤーをゲームの世界観に引き込み、そして一瞬で記憶に残るほど豊かで緻密に仕上げられている各楽曲は、果たしてどのようにして組み上げられたのか。音楽を担当した鈴木光人氏にお話を聞いた。

今回、音楽を担当されるにあたり、特に気を付けた点があれば教えていただけますか。

鈴木光人 氏:まず幅広い年齢層の方々がプレイされるのが前提としてありましたので、オリジナル版から遊ばれてるプレイヤーには懐かしさと新鮮さを、そして今回新たに遊ばれる方には斬新に響く楽曲制作を心掛けました。社内外問わず沢山のサウンドスタッフで楽曲制作を行ったので、結果様々なジャンルのアレンジを網羅した新しい世界観が構築出来たと思います。

楽曲制作はどこから着想を得て、着手することが多いですか?

どの場面で使用するかが重要になってくるのですが、例えばカットシーンだったらまずは映像を見て尺の確認と全体のテンポ感を出します。テンポが決まればガイドとなるリズムに合わせてピアノもしくはストリングスなどで縦軸と横軸など音楽的な骨格を作ります。歌ものならこの地点でリズムとガイドコードとメロディという感じですね。

着想は様々ですが「5W1H」や「喜怒哀楽」などの感情表現を前提に考えると、曲調はおのずと見えてきます。今回は新曲とアレンジの両方を担当していますが、最後まで原曲のメロディを乗せず新曲感覚で作る事も多かったです。でもまぁこれはケースバイケースなんですけどね

楽曲中にジャンルを横断するトラックは、どのようにイメージを膨らませ、まとめていくのでしょうか?

たしかにジャンルの組み合わせは色々ありますね。クラウドをはじめ個性豊かな登場人物の動きや状況に左右される事が多く、バトルだったら基本スピード感がある曲調、カットシーンを挟むと音を薄くしたり音量で抑揚をつける、怪しい雰囲気になるとエスニック調のアレンジに変わるなど、ストーリー進行を楽曲で補佐する感覚でまとめると言えば分かりやすいかもしれません

楽曲の空間や空気づくりで気を付けていることはありますか?

必ずしもゲーム内のロケーションに合わせるわけではないのですが、例えば今回のイベントの一つで「蜜蜂の館」というホールでダンスバトルをするミニゲームがあります。ダンスに合わせてタップするゲームなのですが、そこで使用した楽曲はあえてドライの方向性でミックスしています。リアル感を出すならホール鳴りを考慮したミックスになるのですが、ダンスミュージックでしかもタップとなるとアタック感とタイミングが命なので、リバーブによる音像がぼやけるのを避ける為にドライにしました。楽曲単体の場合なら奥行きのコントロールについてはそれほど難しくないのですが、ゲームに合わせあえて切り離して処理する事もあり、こういうのはゲームならではのMIXと言えるでしょう。

「蜜蜂の館」でのダンスバトル(ミニゲーム)

エリアやシーンによって音楽がインタラクティブに変化するケースも見受けられました。こういった場合は、どのような「ルール」のもとに制作が行われるのでしょうか?

今回は二通りのパターンがあるのですが、一つは最初から最後まで尺もテンポも構成も同じ作りの楽曲を複数用意して、状況に合わせてクロスフェードするパターン。もう一つはゲーム上のある一定条件でフラグが立ち、楽曲の再生ポイントが変わるパターン。特に後者の方は再生ポイントやループポイントを自由に設定出来るので、ある程度どこでループ出来るか事前に決めて楽曲を作る必要があります。結果、通常の楽曲よりもファイル数が多くなるので管理には注意が必要でした。

今回、ソフト音源やプラグインも使用されていると聞きました。お使いいただいたソフト音源やツールについて、どのように使用し、どういった点が気に入っているか教えてください。

Spitfire Audio『Albion One』

マスト音源です。特にStringsパッチのレンジ感、音像と滑らかさはSpitfireならではの美しさで他に代用がききません。取っ掛かりとしてSpiccatoで作曲を始める事も多いですね。僕の担当曲のストリングスでは必ずと言ってよいほど使用してる音源の一つと言えるでしょう。

ALBION ONE

アルビオン・ワン

壮大な世界を創造する、新世代シネマティック・オーケストラ音源

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UJAM『VIRTUAL GUITARIST Bundle』

実はVIRTUAL GUITARIST 1の頃から愛用しており、一時期Cubaseで使えなくなってしまい途方に暮れた時期がありました。開発元であるUJAMからのリリースは凄く嬉しいニュースでした。またAMBERやSILKに加え、今回『FINAL FANTASY VII REMAKE』の開発が始まる前にBundle版をインストールしました。VIRTUAL GUITARISTの特筆すべき点は「とにかく簡単」な事。右手でコードを弾いて左手でフレーズスタイルを指定するだけで手早くギターパートを楽曲に加える事が出来て重宝しています。最終的に「生」に差し替え前提で使用する事も多いのですが、なんやかんやで結局そのまま使う事も多いです。「忠犬スタンプ」では生ギターとAMBERを同時に使用してるので、聞き比べると面白いかもしれません。

VIRTUAL GUITARIST BUNDLE

バーチャルギタリスト・バンドル

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VENGEANCE SOUND『AVENGER』

EDM界隈で人気を誇るAVENGER。豊富なプリセットと自由度が高いEDIT機能などが人気の秘訣だと思います。もちろん音色自体もパンチがあって骨太な感じで出番が多い音源です。今回は「蜜蜂の館」のキックで使用。(DrumsカテゴリーのDR EDM Longkick)音程を奏でられるようにアサイン範囲を広く設定してある音色なので、キックとユニゾンしたベース的に使用する事が多いです。一発鳴らすと世界観が出来るので、土台として「まず一発」率が高い音源です。

XFER RECORDS『SERUM』

AVENGER同様にエレクトリック・ミュージック全般で使われる事が多いのがSERUM。エレクトロニック・プロデューサーのDeadmau5が開発に携わってるのも密かに話題になりました。ウェーブテーブル方式によるシャープでキレのある音色が得意なSERUMですが、エンベロープポイントをLFOの様に簡単に複数設定できるソフトシンセはなかなかありません。SE的な音色を作りたい時など困った時に立ち上げる事が多いです。

SERUM

セラム

圧倒的音質と操作性を誇るウェーブテーブル・シンセ音源!

¥29,227

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BIG FISH AUDIO『GOTH』

GOTHというネーミングの通りメタル系音源ですが、テンポに追従するドラムパターンやギターフレーズなど使い勝手が良くて随分と長い間愛用してるソフト音源です。「クレイジーモーターサイクル」は最初GOTHを使って原型を作り、生ドラムや生ギターをダビングしていく手法で完成させました。タイムストレッチ機能のエンジンがもう少し精度が高くなると音色劣化も少なくなると思うのですが、期待を込めて密かにGOTH 2のリリースを心待ちにしています。

GOTH

ゴス

激しいメタルサウンドで演出する、シネマティック・メタル音源!

¥34,001

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IN SESSION AUDIO『SHIMMER SHAKE STRIKE + EXPANSION』

主にシェーカーとタンバリンなど小物の刻み系で活用しています。テンポ追従するので便利です。

AUDIONAMIX『XTRAX STEMS 2』

2mixをステムに分離して書き出す事が出来るツール&ソフトウェアです。「蜜蜂の館」のボーカルネタを被せる時、ネタ用素材の抜き出しに使用しました。SeparationBalanceでVocals,Music,Drumsの抜き出したい帯域バランスを簡単に調整する事が可能です。例えばブレイクビーツ用途にリズムのみ抜き出したい時など、ほんと面白い程簡単に分離出来るので便利ですよ!

実際にレコーディングされた音源に限らず、ソフト音源やプラグイン、ツールもかなり活用されているのですね。

『FINAL FANTASY VII REMAKE』のサウンドトラックは2020年5月より好評発売中。

FINAL FANTASY VII REMAKE Original Soundtrackのご購入はこちら(www.jp.square-enix.com)»

鈴木光人(SQUARE ENIX)

スクウェア・エニックス所属の作曲家

『ファイナルファンタジー VII リメイク』、『ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII』、『メビウス ファイナルファンタジー』、『スクールガールストライカーズ』などを担当。近年ではゲームのみならず、TVアニメ『スクールガールストライカーズ Animation Channel』の楽曲制作、音楽専門誌での機材レビュー執筆や舞台音楽の制作にも携わっており、多方面で才能を発揮している。

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