大胆な飛び道具としても、
純粋なサチュレーターとしても非常に優秀
OUTPUTからまた面白そうなプラグインがリリースされました。
Portalなどを愛用している事もあり、とても注目しているデベロッパーです。
今回リリースされた Thermal は一応 Distortion Plugin との事ですが、空間系エフェクトなども内包したマルチエフェクターと言ってよいでしょう。OUTPUTならではの操作性、GUI、そして個性的なプリセットを備えており、思わずガッツポーズしたくなるような仕上がりです。
ここではオススメの使い方を二つご紹介したいと思います。
まずは所謂飛び道具的な使い方です。
好みのプリセットを探し、画面中央の丸い窓や右側のツマミ2つをグリグリ動かすだけで他のプラグインには無い大胆な効果が得られます。
この手軽さと直感的な操作性はOUTPUTならではで、これだけでも十分に導入する価値があると言えます。
例えば、アクセントとして一瞬で曲の場面転換になるように使い方や、上記のツマミ2つ(MACRO1、MACRO2)やWet/Dryのオートメーションを書き込み、1セクションかけてグラデーションの様に音を変化させていく使い方も面白いと思います。
ちなみに画面右下のDRY/WET調整スライダーの下の鍵マークをオンにすると、DRY/WET値を固定したままプリセットを変えられます。これは非常に有難い機能ですね!
そして二つ目はサチュレーターとしての使い方です。
これ1つでウォームでナチュラルな歪みから、エッジの効いたザラついた歪み、デジタル歪みまで、歪みだけでもかなりの種類が選べる上にクオリティも高いので、純粋なサチュレーターとしても非常に優秀です。
ガッツリ歪ませても良し、ほんのりサチュレートさせても良しで、ボーカルやシンセなどにエッジやパンチを加えたい時にトーンシェイパーの様な感じで使っています。
例えば、1曲通して鳴っているPadを、バースでは素の状態、サビではThermalでサチュレートさせつつWIDTHで拡げて、曲に展開を付けたりしています。
その他モジュレーションやWIDTHの効き方も良いですし、それらのエフェクトを任意の周波数帯域にだけ適用する事も出来るので、かなり奥が深いプラグインと言えます。
僕もまだまだ試していないプリセット、触っていないパラメーターがあるので、これからもガンガン使って面白い使い方を見つけて行きたいです。
見た目はシンプルながら、細かいパラメーターを調整することも可能。昨今のエフェクティブなポップス楽曲制作には最適なプラグインとなっている。
(ミキシング/レコーディングエンジニア)
1985年生まれ
文化村スタジオ、ABS Recordingに勤務した後に独立。
米津玄師、Official髭男dism、小袋成彬、Yaffle、藤井風、iri、TENDRE、PEARL CENTER、宇多田ヒカルなどを手がける。
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