SONICWIRE

音の説得力に打ちのめされるストリングクインテット

SPITFIRE AUDIO PRODUCT Review - Presented by SONICWIRE

伝説的な Abbey Road Studios の Studio One のフルオケの音をざっくり大まかにデザイン出来る「Abbey Road One」とは打って変わって、「Abbey Road Two」は細部まで作り込めるストリングクインテットのライブラリです。

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音が良い

サンプルライブラリにとって最も重要なことは何かと問われたら少なくない人が音が良いことと答えるはずです。この「Abbey Road Two」はその点に於いて比肩するもののないソロ弦のライブラリと言えます。

Abbey Road Studios の Studio Two のゴージャスな機材群(マイク、コンソール、コンプレッサー、テープマシン等)とそれの扱いを熟知したエンジニア Sam Okell氏 によって作られたマイクミックスはうっとりする音に仕上がっています。特にチェロやコントラバスの深みのある低音は流石という他ありません。

音色のバリエーション

「Abbey Road Two」は、 AIR Studios の Lyndhurst Hall で録られた「Spitfire Symphonic Orchestra」のような濃密で広大な響きを持っているわけではありませんが、適度にデッドで自然な響きを伴っておりポップスから劇伴までジャンルを問わず使いやすい音だと思います。

また Professional版 では多彩なマイクのバリエーションが用意されており、マイクの立っているポジションこそそこまで多くのバリエーションは無いものの作りたい楽曲に応じてステレオ感やトーンを相当細かく選べるようになっています。

ミキサー画面にマウスカーソルを持っていけば Neumann M50 や Chandler REDD Microhpone といった中々お目にかかれないマイクを選べるようになっていることが分かります。他のデベロッパーが中々 Spitfire Audio を真似できないのはこういうところです。

恐らくクインテットを録るには Decca Tree だと大き過ぎると判断したと思われますが、「Abbey Road Two」ではセクションのサイズに合わせてLCRのツリーも縮小されおり、ステレオイメージがぼけることもなく使っていて安心感があります。

また、Studio Two のチェンバーリバーブやプレートリバーブ等13種類のリバーブプリセットが用意されており「Abbey Road One」と混ぜるような使い方にも外部にリバーブを用意することなくある程度対応出来ます。

Long、Short共に幅広いニュアンス

録り音が良いだけではなく、Long と Short それぞれについて細かく奏法が選べるようになっているのも Spitfire Audio のありがたいポイントです。

Long は Flautando や Sul Pont、Sul Tasto、Harmonics等 強奏から弱奏まで様々なニュアンス、トーンを実現出来、Short も音価、鋭さの異なる Spiccatissimo、Spiccato、Staccato、Marcato といったバリエーションがあるので刻みのフレーズを作る時に難儀することも少ないと思います。

レガートの追従力

日本的な曲作りをする上で死活問題になるのがレガートの追従具合ですが、「Abbey Road Two」は他の Spitfire Audio のライブラリと比べてかなり反応が良く、ランを手で打ち込んでもそれなりにランっぽく鳴ってくれますしグレースノートを打ち込んでもまあまあしっかり聴こえてきます。

レガートには Performance、Slurred、Portamento(PortamentoはProfessionalのみ)の3種類がありますが Performance にしておけばベロシティの値に応じてアタックが強くなるのでフレーズの入りのニュアンスもつけやすいです。

セクションの隠し味に

クインテットをアレンジするのに使ってもいいのですが、マイクミックスの仕方次第で非常にフォーカスのあった音にすることも出来るのでセクションのライブラリに混ぜて輪郭を持たせる用途にも使えそうだと感じます。その場合は Core でも十分かもしれません。

パッチの切り替えは MIDI CC や Keyswitch、MIDIチャンネル で行えるので、設定を追い込めば大体のストリングス音源とMIDIトラックを共有出来ると思います。

注意したい点

他の Spitfire Audio のラインナップと比較して敏捷性は高いと感じますが、あくまで Spitfire Audio の哲学で作られたライブラリなのでいわゆるアニソン、アニメ劇伴的な歌い回しをさせようとすると弓の圧やビブラートの深さが物足りなく感じると思います。

また、所謂無限ボウイング的な編集はされていないため白玉系のアレンジをすると意図しないタイミングでボウを返してしまうことがあり、アレンジに一工夫必要になるかもしれません。

Professional版 は 300GB 近くのストレージを必要とするため容量にもご注意下さい。マイクチャンネルのバリエーションを活用するためには最低でも SATA の SSD くらいの読み込み速度がないと厳しいでしょう。

バージョンの違いについて

「Abbey Road Two」には Core と Professional の2バージョンがありますが、最も大きな違いはマイクチャンネルの数です。ポップスやTVで再生される曲のアレンジをするだけであれば Core で十分だと思われますが、アンビエンスマイクやORTFのステレオ、X-Yリボンマイクによるステレオ、Chandler REDD Microphone を用いた LCR など多彩な音色、ステレオイメージを操りたい場合は Professional の方が適しているでしょう。

また、重要なポイントとして Professional版 にのみポルタメントのレガートが収録されています。スローテンポで艶っぽく歌い回す時にポルタメントが絶対に欲しいという方は Professional版 がオススメです。

まとめ

とにかく音が良い上に自分好みにトーンを作り込めて演奏の表情もかなり細かく付けられるライブラリなので、まだソロ弦のライブラリを持っていない人には特にオススメしたいと感じました。

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青木 征洋
株式会社ViViX代表取締役/東京大学工学部卒/プロデューサー/作編曲家/ギタリスト

2008年に株式会社カプコンに入社し、「戦国BASARA」シリーズや「ロックマンXover」の音楽制作を担当。2014年に同社を退社した後は「ストリートファイターV」の作曲を担当する等ゲームコンポーザーとしてグローバルに存在をアピール。WWise-201技能検定に合格し、インタラクティブミュージック制作にも精通。2015年アーケード音楽ゲーム「CHUNITHM」への楽曲での参加を皮切りに「GITADORA」「太鼓の達人」等にも楽曲を提供し、音楽ゲームの世界においてもテクニカルギタリストとしての立ち位置を確立する。また、TVアニメ「メイドインアビス」のOP主題歌の作曲を一部担当する等ゲーム以外のフィールドでの活動も広がりをみせる。 プロデューサーとして株式会社ViViXの前身となったギタリスト専門レーベルViViXを2004年に設立。2005年にギターインストの流布を目的とした「G5 Project」を開始。4thアルバム「G5 2013」ではオリコンCDアルバムデイリーチャート8位にランクイン。また、世界中の若手ギターヒーローを集結させたプロジェクト「G.O.D.」のプロデューサーも務める。

青木征洋 Twitter »

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