SONICWIRE

とにかくエクストリームな音が出るドラム

TOONTRACK Product Review - Presented by SONICWIRE

『SDX - AREA 33』は汎用性を度外視したクセ強の問題児ですが、間違いなく長年のToontrackファン全員が待ち望んでいたライブラリでもあります。

SDX - AREA 33

SDX - AREA 33

『Drumkit From Hell』制作時のメンバーが再集結して制作された、モンスター級SDXライブラリ!

¥22,000

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『DRUMKIT FROM HELL』が帰ってきた!

「Meshuggah」の“Fredrik Thordental”がエンジニアの“Daniel Bergstrand”とタッグを組んで、「Pain of Salvation」のドラマーの“Leo Margarit”と共に[Dogout Productions](商品説明では何故かArea 33という呼称になっていますが)で収録したという説明だけでも、コアなToontrackファンであれば出音が想像出来ると思います。

そしてその想像は当たっています。詳細な特徴は後述しますが、僕がこれを触った時の第一印象は「drumkit from hellが帰ってきた!」でした。1999年に発売された一番最初のToontrack製品である『DRUMKIT FROM HELL』のDNAをこれほど色濃く感じるドラムライブラリは、これまでに『dfh SUPERIOR』、『EZX - METAL HEADS』『SDX - THE METAL FOUNDRY』以外にありませんでした。

サウンドについて

出音については公式サイトで確認して頂ければと思いますが、非常に紙っぽいペシャペシャしたキックと強烈にプロセスされたスネア、大胆に歪ませた(HAに突っ込みすぎたような音の)タムとシンバルにフォーカスしたオーバーヘッド、そして数多のアンビエンスのオプションが用意されています。音作りの幅としては狭くエクストリームな音しか作ることは出来ませんが、とにかくアンビエンスのチャンネルが多いため音像の選択肢は多いでしょう。

実際に触ってみると一つ一つの音の線の細さに驚くと思いますが、裏を返せば32分音符で埋め尽くすようなドラムアレンジに適しているという意味でもあります。

Out of the boxの状態でプリセットも何も読み込んでいない音と、ガッツリプロセスしてメタルっぽくした音を切り替えながら聴くとこんな感じです。

キックのローを躊躇なく10dBブースト出来るくらいの思い切りの良さが必須なので、普段メタルを聴いたり作ったり演奏したりしないエンジニアには扱うことが難しいでしょう。

ちなみに全てのキットがステレオペアのペンシルマイクでも収録されているというサンプリングならではアプローチもとられていて、これによりクロースマイクの音にナチュラルな広がりが出ています。

モノのクロースマイクの音は全体的に強烈にプロセスされたコンセプチュアルなものですが、このステレオペアのおかげで最低限のナチュラルさが保たれている…のかもしれません。

まとめ

とにかくエクストリームな音が出るドラムなので、初代『DRUMKIT FROM HELL』と同様とにかく手数で埋めまくるタイプの音楽を作った上でエクストリームに歪ませたギターやベースを重ねてエクストリームなボーカルを載せた時に最も良い仕事をすると思います。

逆に普通の(?)図太い音でベーシックな8ビートを叩かせたいのであれば他に選択肢は沢山あります。ジャンルによりけりですが『SDX - THE ROCK FOUNDRY』『SDX - FIELDS OF ROCK』『SDX - DEATH & DARKNESS』あたりになると思います。

"良い音"を定義するのは中々難しいものですが、この『SDX - AREA 33』は一般的に良い音と思われてきたドラムサンプルと全く違う方向に連れて行ってくれるショッキングなライブラリでしょう。ただ、初代『DRUMKIT FROM HELL』ユーザーであれば同時に実家のような安心感も覚えると思います。

SDX - AREA 33

SDX - AREA 33

『Drumkit From Hell』制作時のメンバーが再集結して制作された、モンスター級SDXライブラリ!

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青木 征洋
株式会社ViViX代表取締役/東京大学工学部卒/プロデューサー/作編曲家/ギタリスト

2008年に株式会社カプコンに入社し、「戦国BASARA」シリーズや「ロックマンXover」の音楽制作を担当。2014年に同社を退社した後は「ストリートファイターV」の作曲を担当する等ゲームコンポーザーとしてグローバルに存在をアピール。WWise-201技能検定に合格し、インタラクティブミュージック制作にも精通。2015年アーケード音楽ゲーム「CHUNITHM」への楽曲での参加を皮切りに「GITADORA」「太鼓の達人」等にも楽曲を提供し、音楽ゲームの世界においてもテクニカルギタリストとしての立ち位置を確立する。また、TVアニメ「メイドインアビス」のOP主題歌の作曲を一部担当する等ゲーム以外のフィールドでの活動も広がりをみせる。 プロデューサーとして株式会社ViViXの前身となったギタリスト専門レーベルViViXを2004年に設立。2005年にギターインストの流布を目的とした「G5 Project」を開始。4thアルバム「G5 2013」ではオリコンCDアルバムデイリーチャート8位にランクイン。また、世界中の若手ギターヒーローを集結させたプロジェクト「G.O.D.」のプロデューサーも務める。

青木征洋 Twitter »

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