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【制作の裏側を公開!前編】初音ミク「マジカルミライ 2026」楽曲コンテスト受賞クリエイター3名に聞く、楽曲制作のこだわり

2026年8月10日 12:01 by mas

初音ミク「マジカルミライ 2026」楽曲コンテストにて、数多くの応募作から選ばれた7曲の受賞作品。

本ブログでは前後編の2回にわたり、グランプリ・準グランプリを受賞したクリエイター7名のインタビューをお届けします。楽曲への想いや音作りの工夫、使用したプラグインやソフトウェアまでそれぞれの制作の裏側をご紹介。

前編となる今回は、imieさん、Rulmry.さん、夜未アガリさんの3名にお話を伺いました。受賞作品はどのように生まれたのか。

クリエイターたちのこだわりや制作プロセスを、ぜひ楽曲とあわせてお楽しみください。


imie

マイクで録音したアコースティック楽器の音を中心に、民族音楽などを取り入れた音楽を作っています。

imie

〈受賞曲『こたえて』〉

imie『こたえて』

楽曲の特徴・注目ポイント

生楽器とアコースティックなアンサンブルをバックに、初音ミクほかピアプロキャラクターズが、みんなで一緒に歌っているイメージの曲です!

実際にケルト音楽で用いられる楽器を使った民族音楽のテイストを感じていただきたいです。

制作で意識したポイント


楽曲のプロジェクト画面①
楽曲のプロジェクト画面①

今回の曲は、BPMとキーが違うAメロとサビをBメロで繋げていくという少し変わった作り方をしました。


楽曲のプロジェクト画面②
楽曲のプロジェクト画面②

Bメロでは初音ミクがその他のクリプトンキャラクター5人のコーラスとの掛け合いをしながら歌い、サビは6人で歌っています。

制作で使用した主な製品① – iZotope『Neutron 5』


iZotope 『Neutron 5』
制作で使用した主な製品①

主要な楽器のトラックにはほぼ全てに使用しているFXです。

EQやコンプレッサーが一つにまとまっていて扱いやすいです。色々な機能が内蔵されていますが、シンプルにダイナミックEQとマルチバンドコンプレッサーとして使っています。

これだけで録音した音のバラつきや音質上の問題点はほぼ全て解消できます。

制作で使用した主な製品② – Native Instruments『Raum』


Native Instruments 『Raum』
制作で使用した主な製品②

パッドシンセのような質感を加えられるリバーブです。

基本的に自身の曲のMIXでは楽器の音を整える程度で大きく音の印象を変えるような加工はしませんが、思い切りリバーブをかけてエフェクティブに聴かせたい時に使っています。

今回はハープとティン・ホイッスルにかけました。

楽曲制作やボカロ制作に取り組んでいる方へ向けて、一言メッセージをお願いします。

作りたいものを考えたり、こだわりに率直になるのはとてもめんどくさくて時間がかかります。

直感的に思いついたものを短時間で効率よく作るのもいいですが、最大限に遠回りして作る事にもまた違った良さや面白さがあると思います。


Rulmry.

Rulmry.(るりまる)です。

ファンクやディスコを軸に、踊れるポップスを制作しています。時たまこういったチルで温かい曲も作ります。

Rulmry.

〈受賞曲『アフター・ザ・カーテン』〉

Rulmry. 『アフター・ザ・カーテン』

楽曲の特徴・注目ポイント

「幕が下り、次の物語がまた始まる」がコンセプトです。

極力シンプルな楽器構成で温かさ、優しさを感じてもらえるような楽曲にし、加えて飽きがこないように尚且つ自然に展開を変えるよう努めました。

ゴスペル風とチルを融合した「ゴスチル」な音楽を楽しんでください。

制作で意識したポイント

制作で意識したポイント① – ノリの変化

サビより前は8分のノリで、サビからは8分3連のノリにしました。

個人的によく使う手法で少し後ろに重心を置くことでサビでの緩やかであったり、広さのある曲調を演出しています。またこの曲中何回かこういう変化があるのでそこにも注目しつつ聴いて見てください。

制作で意識したポイント② – ゴスペルチックな演出

B二番のサビ後半は、一旦8分ノリに戻って観客とミクが一体になって歌えるような展開を意識しました。みんなでクラップをして自由に未来への希望を歌うイメージで制作しました。この後ラストサビに入るのですが、ここで速度をつけてまた8分3連に戻ることで大きく揺れてノれる曲にできたのかなと思っています。

制作で使用した主な製品① – Addictive Drums2『FUNK』『MODERN SOUL AND R&B』

制作で使用した主な製品①

途中で出てくるキレのあるフレーズはファンクで、それ以外はR&Bで作っています。

『Addictive Drums 2』は内蔵音源を変えても親和性が高く一緒に使えるものも多いと思っているのでこうやって2つのキットを混在させて制作することが多いです。今回はキックだけは統一しています。

制作で使用した主な製品② – 『Splice』


『Splice』
制作で使用した主な製品②

この曲のメインともいえるピアノのフレーズはサンプルを使用して制作しています。

またトランペットやサックスもサンプルを切り貼りして組んでいます。

打ち込み+サンプルにすることにより曲の空気感やリアリティ、メリハリが増すので個人的によく使います。

制作で使用した主な製品③ – Three-Body Technology『VO-TT』


Three-Body Technology『VO-TT』
制作で使用した主な製品③

最近ボーカル用に導入した簡単操作でしっかり処理の行えるプラグインです。

5帯域にかけて細かく調整できるのもいい点で、見た目もOTTに似ているので親しみやすさがあると思います。効きすぎるので上手にノブと耳で調節しましょう。

楽曲制作やボカロ制作に取り組んでいる方へ向けて、一言メッセージをお願いします。

どれだけ自分が踊れるか、ノれるかが大事だと思っています。

いつもプレイバックしながらクネクネしてます。正解は無いので自分が踊れる最高興奮音楽をやっていきましょう!


夜未アガリ

初めまして。ボカロPの夜未アガリです。エレクトロニックな質感のサウンドメイクを積極的に取り組み、初音ミク・重音テトを中心とした音声合成ソフトを用いた作品を国内外へ発信しています。

また、多様なアーティストに向けての楽曲提供も行っています。

夜未アガリ

〈受賞曲『シャッターチャンス』〉

夜未アガリ『シャッターチャンス』

楽曲の特徴・注目ポイント

80年代アメリカで流行したジャンル「New jack swing」を現代風に再解釈してみた楽曲です。本楽曲のテーマが「いつどのタイミングもバッチリ盛れるシャッターチャンス」ということもあり、曲中にいろんなカメラのシャッター音などの効果音が練り込まれています。

制作で意識したポイント


楽曲のプロジェクト画面
楽曲のプロジェクト画面

どこを切り取って聴いても印象に残るような楽曲を目指し、一つ一つの音を大切に制作しました。

中でも特に聴いてほしいところは1番のサビ終わりからのパートです。全体的にポップな楽曲ですが、メリハリを付けるため、ここだけはちょっぴりダークでクールなテイストになっております。

また、サビではミクちゃんとリンちゃんが交互に歌うことを意識したメロ作りをしております。

1番サビとラスサビでは歌うパートが逆になっているところもポイントです。

制作で使用した主な製品① – Minimal Audio 『Current』


Minimal Audio 『Current』
制作で使用した主な製品①

本楽曲のほとんどのシンセサウンドはこちらの『Current』で音作りをしています。直感的で分かりやすいUIに加え、内蔵エフェクターも充実しており、繊細で美しい音から、ダブステップなどで用いられる激しいサウンドまで幅広く対応できる、即戦力のシンセサイザーだと思います。

制作で使用した主な製品② – Xfer Records『Serum2』


Xfer Records『Serum2』
制作で使用した主な製品②

以前からサウンドメイキングにおいて重宝していた『Serum』ですが、バージョンアップでさらに使いやすく、音作りの幅も広がりました。主に内蔵エフェクターのConvolveを使用し、生楽器のような質感のシンセサウンドを制作しています。

制作で使用した主な製品③ – Cableguys『ShaperBox 3』


Cableguys『ShaperBox 3』
制作で使用した主な製品③

シンセサウンドのダッキングや、グリッチっぽいサウンドを作る時に使用しています。

ダッキング・コンプ・ディストーション、トランジェントシェイピング等、何でも出来ちゃうので、どの楽曲でも重宝しています。本楽曲では、1番サビ終わりのトラップパートにおいて、左右に配置されたグリッチサウンドの音作り(Liquidを使用)およびパンニングに使用されています。

楽曲制作やボカロ制作に取り組んでいる方へ向けて、一言メッセージをお願いします。

普段、私が楽曲制作で意識しているところは「楽しむ」ことです。楽しいと自然と試行回数が増え、「もう1パターンだけ試してみよう」ができるので、偶然の当たりや新しい発見に出会いやすいと思っています。行き詰まったときは、作業を止めるのではなく、優先順位を変えています。メロが思いつかないならリズムや音色を触ったり、歌詞が詰まるならタイトルを先に決めたり、別のアプローチをするようにしています。

数字や評価だけを制作の目標にすると、うまくいかない時期が来た瞬間に心が折れやすいと思います。でも制作自体が楽しくなると、どんな波が来てもまた制作に戻って来られると思います。