ミックスのお手本にしたい楽曲 5選+α
ミックス上達の近道は、とにかく「良い曲を聴くこと」。でもミックス初心者にとっては「どの曲が良いのかがわからない」ということもしばしば。
そんな悩みを持つ方におすすめしたい、筆者が自信をもってオススメする「音質の良い楽曲」を7曲ご紹介します!
Eric Clapton「Blue Eyes Blue」
プロのエンジニアでも、リファレンス楽曲として活用している人が多い定番楽曲です。
アレンジの秀逸さも相まって、各楽器が生き生きと、埋もれずに、それぞれの役割をしっかりと果たすように楽曲を構成。ギタリストによる楽曲であることもあってか、アコースティックギターは高域の煌びやかさが強調され、楽曲に華やかさを演出しています。
周波数のバランス、ダイナミクス、広がり感のどれをとっても非の打ち所がない一曲です。
Natalie Merchant「Ladybird」
筆者のイチオシ楽曲で、是非ボリュームを上げて聴いていただきたい一曲です。
さながらレコーディングの現場で聴けるようなミックス前のダイナミクスレンジに近く、歌唱や演奏のニュアンスを最大限味わうことができます。このようにコンプレッション/リミッティングがあまり施されていない(音圧が低い)楽曲は、リスニング・ボリュームのスイートスポットが高いため、良質な受聴環境が求められる傾向にあります。
歌唱や演奏にどっぷりと浸からせてくれるような、じっくりと聴きたくなる一曲です。
Pay money To my Pain「Pictures」
先ほどとは真逆の、高いラウドネス・レベルの楽曲です。Youtubeのラウドネス・ノーマライゼーションにより、大きく音量が絞られた状態で再生されます。
通常、コンプレッション/リミッティングが強く施された(音圧が高い)楽曲はダイナミクス感が弱く、平べったい印象になりがちです。しかしこの楽曲は、抜けるようなスネア、キメ頭でギターのボリュームを少し大きくするなど巧妙なテクニックによって、しっかりとダイナミクス感を演出し、バンドサウンドとしての迫力を両立しています。
音圧の高い波形を“海苔波形”と呼ぶこともありますが、良い海苔と悪い海苔があることに気付かされた一曲です。
藤井風「青春病」
最近の楽曲からピックアップするとすれば、SONICWIREのレビューにもお応えいただいた小森雅仁 氏による一連の楽曲は外せません。
どっしりと腰を据えたベースにもかかわらず、しっかりと抜けてくるキック。あらゆるジャンルの各楽器を尊重しながら、しっかりと前面に出ているボーカル。コンプレッションを感じさせない、立体的で自然なサウンド。これら全てを成立させている手腕・技術は並大抵ではありません。
Anderson Paak「Come Home (feat. André 3000)」
一聴して引き込まれる、Lo-Fi感の強い一曲。
ドラム・トラックの各パーツはモノラルで配置されています。Lo-Fi的なコンセプトを達成するほか、自然界に存在しない「完全なモノラル」を一種の違和感として“聴かせる”効果を狙ったものと思われます。
音楽的な工夫が随所にちりばめられており、何回聴いても新しい発見に驚かされる一曲です。
紹介したい楽曲は他にも多数・・・
Kirk Whalm「The Say It’s Wonderful」
Chon「Fall」
など…
他にもご紹介したい楽曲は沢山ありますが、今回は厳選してご紹介しました。
聴感だけでなく、各種メーターを活用して“数値で”自分のミックスと比べていくことも非常に勉強になります。
音に手を加えるエフェクト・プラグインの数々とは異なり、普段なかなか注目する機会のない“メーター”も重要なツールの一つです。これを機に是非チェックしてみてください。
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