【製品ピックアップ】下準備の面倒な逆再生を簡略化するプラグイン『RP-REVERSE』!
「逆再生」とも呼ばれる「リバース・エフェクト」、みなさん使ったことはありますか?
身近なところだと、打ち込み系の音楽でよく聞くような「リバースシンバル」が代表的な例ではないでしょうか。
シンセなどの音階を持つ楽器でも、例えば音を伸ばした「サステイン」を逆再生してイントロやパートの入りなどに配置するとカッコよさを出せたり、あるいはあえて逆再生したボーカルを使うような曲も時折見かけます。
ただこのリバース・エフェクト、カッコいいのは確かなのですが、制作に慣れている人でも準備がかなり面倒です。例えば、通常リバース・エフェクトを作成しようとすると、一例として以下のような工程が必要になります。
- 打ち込んだものをバウンスしてオーディオにする
- 書き出したオーディオをDAWで逆再生し、またバウンスする
- そこから波形の余計な箇所を切ったり貼ったり、必要に応じてパンニングやエフェクトのオートメーションを地道に書く
筆者もリバースを使いたいのは山々なんですが、毎回下準備で骨が折れる思いをしています。単音であればいざ知らず、楽曲の中で継続的にリバーブ音を鳴らし、そこにアトランダムにパンニングやエフェクト適用をしたい時はかなり大変です。
今回はそんなカッコいい、でも面倒な「逆再生」をプラグイン化し、+αで様々な効果が得られるプラグイン『RP-REVERSE』をご紹介します!「リバース・エフェクトを今まで使ったことがない」という方も、本製品を使って是非制作に取り入れてみてください。
製品概要
『RP-REVERSE』は、Rob Papen社が販売しているリバース・エフェクト・プラグインです。
『RP-REVERSE』は、トラックから入力された音を逆再生して原音に重ねる構造になっており、入力された波形とそれを逆再生した波形が画面中央にリアルタイムで表示されます。
GUIからも分かる通り多くのパラメーターが搭載されており、単純にリバースするだけのプラグインではないことが窺えます。
「REVERSE」モジュールの2つのノブで、音をどれぐらいの頻度でリバースさせるかを設定できます。HOLD TIMEはリバース・エフェクトが発動する間隔、REV TIMEは発動時に再生されるリバース・サウンドの長さを設定します。例えば、HOLD TIMEを「1/4」、REV TIMEを「1/8」に設定すると、4分音符の間隔で8分音符の長さのリバース・サウンドが再生されます。
またその右側の「REVERSE ENV」モジュールでは、リバース・サウンドのアタックとディケイを設定できます。
主にこの2つのモジュールを調整することでリバースサウンドが定まってくるので、これに対してLFOやフィルターをかけ、サウンドを微調整していくのが『RP-REVERSE』の設定の大まかな流れです。
また画面上部には、予め用意されたリバース・パターンのプリセットメニューが表示されています。
プラグインを使う下準備
早速、『RP-REVERSE』を使ってリバースを適用していきましょう。今回使う素材は筆者が即席で制作した、リズムとピアノで編成されたこちらのトラックです。リズムのバス・トラックとピアノに対して、それぞれエフェクトを適用していきます。
まずは『RP-REVERSE』をトラックのエフェクトとしてインサートします。もちろんエフェクトとして直接インサートもできますが、今回は筆者的に調整のしやすいセンド・リターンの形でインサートしてみました。この時、プラグイン側の「DRY」のツマミを最小にして、原音が戻ってこないようにしておきましょう。
今回はドラムとピアノの2トラックだけですが、実際の楽曲はもっと多くのトラックで構成されていると思います。そんな中で複数のトラックをまとめてリバースさせたい時など、センド・リターンを用いれば一括で処理できますね。
ドラムに適用してみる
まずはドラムのバス・トラックへと適用してみます。
今回ドラムトラックのリバース・サウンドは、画像のように4分音符間隔でリバースを繰り返し、さらにバスドラムの低音が過度に重なってしまわないようにハイパスフィルターをかけています。リバース・サウンドの出だしはアタックを調整することでほんの少し緩やかにしてみました。
裏拍感が少し増し、単純だった4つ打ちに少し色がついたようなビートになりました。今回はバス・トラック(ドラムの波形全体)への適用でしたが、バスドラ、スネア、ハットと各トラックへ個別に適用することで、より細かい音作りができるはずです。
ピアノに適用してみる
次にピアノへと適用してみます。
今回は「HOLD TIME」を「REV TIME」よりも短めの設定にしてみました。これによってリバースを繰り返す間隔の途中でリバース・サウンドが途切れるので、リリースカットピアノのようなメリハリの付いたリバース・サウンドが生成されます。
まずはフィルターでローとハイを削り、ローファイのようなサウンドにします。そこにディストーションを足してサチュレーション的サウンドにしています。またアタックをドラムよりも長めに取って、少しだけ入りのフェードを感じさせるようなサウンドにしました。
LFOにはS&H(サンプル&ホールド)を設定し、不規則なサウンドになるよう設定。さらにその音をパンのつまみで左右に振っています。
比較的シンプルなリズムのフレーズに複雑になったリズムのサウンドが重なることで、跳ねのあるノリの良いフレーズへと変化したのではないでしょうか。今回のフレーズはあくまでコード弾きですが、しっかりしたメロディのフレーズに適用するのも面白そうです。
最後に、『RP-REVERSE』をバイパスした状態のサウンドをもう一度聴いてみましょう。かなり変わっていることがわかりますね。
まとめ
本来であれば準備が非常に煩雑なリバース・サウンドのエディットですが、『RP-REVERSE』を用いることでこの作業がかなり楽になりました。LFOやフィルターなどのエフェクトも含めてこのプラグイン内で完結しますし、かなり細かく設定ができるので理想のサウンドに限りなく近い音を生成できます。
さらに本製品はリバースのトリガータイミングも自由に操作できます。MIDIコントローラーでリアルタイムに操作することで、局所的にリバースを適用したり、ライブパフォーマンスにも活用できます。またリバースのトリガーを行うオフセットも設定できるので、タイミングの微調整が容易なのも嬉しい点です。
今回はリバース・サウンドをずっと鳴らしっぱなしにしていましたが、より時間をかけて作り込んでいくことでさらにクールなサウンドになることでしょう。
価格もかなりお手頃なため、楽曲に取り入れるエフェクトの選択肢の1つとして持っておいて損はないプラグインです。制作のお供としておひとついかがでしょうか。
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